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2023年11月24日金曜日

つれづれ雑草「雨の朝にて」

長~い間、太田胃酸い~い薬ですと言ってたが、ズルーイ薬となっている。分量がかなり減っている。布製のガムテープは、丸々と太かったが、バウムクーヘンみたいになっている。ティッシュペーパーの箱は枚数が減らされて薄形になっている。老舗ブランドのかっぱえびせんや、ポテトチップスは、袋はパンパンだが中身は半減している。スーパーの刺身は薄切りにされてヘラヘラとなり、大根のつまをてんこ盛して見た目を海鮮盛に見せている。世の中は何もかもが実質値上げとなっている。ザ・ケンジヤないわよね、マツタク、ズルイ、セコイ、スクナイ。星乃珈琲店内、私が小さなテーブルでシコシコと雑文を書いているうしろのテーブルで、女性三人がスーパー、コンビニ、さらに長い歴史を持つブランドへの悪口雑言。アレモヘッタ、コレモヘッタ、ヘッタヘッタで腹減ったと、どこぞで買ってきた助六寿司のパックをパクッと開けた。これ見てよ太巻きが細巻きに、おいなりさんがこいなりさんになっていると、見せている。何よ、ガリがたった三枚じゃないと言う。店の近所に幼稚園があるので迎えに来ているらしい。一人はワニのような顔で、一人はニワトリのようで、一人は黒い金魚みたいであった。声が大きく、笑い声は不気味であった。何だかオカルトチックになったので店を出た。顔はトイレに行った時に、マジマジと見た。ウルセイナと言いそうだったが、同感することもありそっとスルーした。過日、新幹線の車内で見た女性は三十五・六歳であった。ZARAの紙のバックと、シャネルの小さな白い紙バックを空席の横に置いていた。手には本麒麟の赤い缶ビール。つまみに“とびっこのくん製”と、ナッツの袋入り。これが臭いのなんので、顔をマジマジと見た。相手も私をドキッと見た。誰れかに似ているなと思った。そうだ京都へ行こうじゃなくて、そうだ時々行くラーメン店の奥さんだ、と思うとあの奥さんはいつもハキハキしていて、かんじいいもんなと思った。勿論別人だが世の中には、二人ソックリな人がいるという法則があったはずだ。オット見ると、どこぞの車両から連れの男が来て、紙袋をどけて座った。同じ会社の人のようだ。えっ何! 電球の球を取りかえる時に、椅子から落ちて大怪我をしたの、そんな会話が聞こえた。女性は赤い本麒麟をグイ、グイと飲みこんだ。CMの定番のセリフ、プハァーウマイ! は言わなかった。それじゃ行っても会えないわけ! と強く言った。女性の方が上司らしい。私も切れた電球の球をとりかる時に、グラグラして何度か落ちそうになったので、この頃は行なっていない。ということは家の中のことは何もやってない。実に使いものにならない存在なのだ。うどんを食べ終って、どんぶり位自分で下げれるでしょ、と怒気を放っ声がした。入ってくるものが減りつづけ、出ていくものが値上げラッシュで増えたせいか、殺気を感じる。この季節家に帰ると、一枚、二枚、三枚とかつて仕事を一緒にした人や、お世話になった人の奥さんからの葉書が来る。夫が旅立ったので……、との一枚だ。毎年思うのだが圧倒的に奥さんからのが多い。やはり男より女性の方が生命力が強いのだ。男は絶対女性を敵に回してはいけない。勝つ見込みはない。テメェ~、ナメンジャネーヨ、若いホストに1千万近く突っ込んだ、若い女性がカッターでホストを斬って、叫んでいるニュースを見て、ドキュメンタリー番組で見た、ある女性医師のことを思い出した。エルメスのバックに何故か700万の札束(銀行の帯付)をブッ込んで、お目当ての店に行き、一晩で700万を使い、明け方新宿の街から去って行く。時々ある地方からやって来る。ホストに入れ込んで風俗へ売られ、やがてアジアの国に売られ、臓器まで売られて行くケースを知っている。有名な事件があった。ある地のホスト界のボスが、後輩のホストたちに殺され、薬品を使って溶かされた。バスタブかなんかの中に、金歯だか銀歯が残っていた。ノルマ、ノルマを達成できないホストに、やりたい放題のヤキを入れたりしていたらしい。ホスト狂いをする女性に同情する声は少ない。行く方が悪いのだと思われるのだ。でも、シャンパンタワーで背負わされた借金を懸命に働いて完済して、しっかり立ち直り、幸せをつかんだケースも知っている。バカバカしさに早く気づき、強く生きる意志があったからだろう。夜の世界はちょっとやそっとでは学べない。入学は簡単だが、卒業は厳しい。そして学費は高いのだ。私の親愛なる友は、夜の歌舞伎町を知り尽くしている。困っている人は紹介する。場合によっては相談に乗ってくれるはずだ。現在十一月十七日金曜日、朝九時三十九分十六秒、外はどしゃ降りの雨だ。各局、朝の番組でエンゼルスの大谷選手がMVPを獲得したと報じている。生まれながら、才能と体力と知力に恵まれた選手が、人一倍努力をした結果だ。興味は800億円近いという契約金を何に使うかだ。ぜひ日本の映画界に投資してほしいと願う。それよりも若くして戦力外通告されて、これから妻子をどう養って行くか、途方に暮れている選手たちに、負けるな、人生はこれからだぞと声援を送る。“勝者には何もやるな、すでに勝利を手にしているのだから”、そんなことを、確かE・ヘミングウェイが書いていた。徳川幕府を倒したのは、関ヶ原の合戦で負けた、薩長土肥が中心だった。私もリングの上に立って、ファイテングポーズは失わない。バカはバカなりのケジメを求めて。◎前回倉敷の“ナマコ壁”を“マナコ壁”と書いてしまい、間違いを指摘された。この場にて修正する。(文中敬称略)












2023年11月12日日曜日

つれづれ雑草「倉敷とアナキストの妻」

岡山県倉敷市に美観地区という場所がある。この地区をみんな、みんなが大切にしている。派手な看板やネオンサインもない。高い建物もない。そこに林源十郎商店という、ステキな施設がある。ずっと昔は漢方薬店であったらしい。一人の熱血漢が次々と新しいことに挑戦し発展させている。“めをみはる”とはを実感する。男の名は「辻 信行」さんだ。10年ほど前にそこでアートディレクターをしていた女性に紹介された。女性は何年か私たちの会社の仲間であったのだが、ご主人が岡山出身で、その地で仕事をしていたため結婚後、岡山での生活となった。ご主人は下戸、女性は土佐出身でかなり飲める。今回は辻 信行さんより、「一棟貸の宿」をオープンしたので、ぜひ来てくださいと招待状を頂いた。丁度湯布院に同様の宿を建てているオーナーから、諸々アドバイスを求められていたので、仕事仲間と三人で取材に行った。かつては大きな病院であったとか、旧土屋邸をリニューアルをしたのであった。古きを残しつつ新しさと絶妙の調和をさせる。これが見事に大成功であった。美観地区とも調和するこの宿には、女中さんはいない。屋号の看板もない。「土屋」という小さな表札のみ、いくつかの箱庭には、腕のいい植木職人さんの細やかなセンスが生きている。座布団もない。テレビもない。座椅子はなく、上質な椅子がいくつもある。茶受けなどもない。ビックリするほど香り高いヒノキのお風呂が大小ある。料理は自分たちで作るか、外で食す。朝は隣接するカフェレストランで、八時から利用できる。私たちが泊る前日には、倉敷の“菊寿司”(そのおいしさはNo1だと思う)が出張してくれて来て、対面式のキッチンで握ってくれたとのことであった。(ウラヤマシイ)基本は自分たちで選んだ店に行って食す。つまり食事は出ない。自分の歯磨きだけ持って来てと言われた。何があるかといえば山ほどある。窓からは爽やかな風が汚れた胸を洗ってくれる。差し込むやわらかな美しい光が、ささぐれだった心をおだやかにしてくれる。雨戸や鉄のトビラなどはない。マナコ壁の美観地区と対話するような気分を縁側で味わえる。高瀬舟が川をゆく、2名、4名、10名と、三種類に区分けされる仕組みとなっている。私たちには全部を使わせてくれた。風と光、小さな置物まで、辻 信行さんのセンスが生きている。スバラシイ寝室なので、ペッタンコの床生活者の私には、豪華なベットと寝具がもったいなかった。一棟貸の宿は全国で生まれている。後継者のいない旧店舗や、1000万戸ともいわれる空家の利用だ。調理場もなく女中さんたちスタッフもないので、静かなること山の如しだ。人手不足の時代、こういうコンセプトを持った「宿」が増えるだろう。辻 信行さんは、酒津の“川辺のレストラン”とか、ジャムや焼菓子も作っている。それも自分たちの仕事場の中で、(旧屋敷をリニューアル)外にはサウナもあり、きれいな水風呂もある。実にオープンで、ユニークな仕事場だ。川辺のレストランは名所となっており、今度ピザの釜を造った。90秒でおいしく焼ける。釜の石組みも多色の石をつくり、一つひとつが鮮やかに存在している。究極の地方創生を行なっている。料金はフツーであるので、ぜひ行ってチョーダイ。バリアフリーなのでご心配は無用だ。裸足で畳の感触、窓から見る夜空は絶妙である。久々に本でも読むかと、瀬戸内晴美(出版時)の「美は乱調にあり」を持参したのだが、宿の美は実に整調であった。私は今アナキスト大杉 栄の妻で二十八歳で憲兵隊の甘粕正彦大尉に、殺され井戸に投げ捨てられた大杉 栄、甥の六歳橘宗一(道連れ)、そして妻の伊藤野枝のことに興味を持っている。ダダイストであった辻潤とのW結婚、大杉 栄が情人であった神近市子に刺された、有名な葉山の“日蔭茶屋事件”十年間に七人もの子を産んだ伊藤野枝の生命力、その血みどろの人生に、大正時代の熱愛を感じる。「平塚らいてう」の同人誌に詩作を送っていた伊藤野枝、すこぶる魅力がある容姿。大正時代の作家は血気盛んであった。神近市子は後に社会運動のリーダーとなった。熱情熱愛の行き先は殺す、殺されるか、あるいは自裁するか。芥川龍之介も、火野葦平も、ただなんとなくの不安でと死んだ。大正時代は15年間であったが、最も文学的で、劇場型の時代であった。作家は死んでこそその名を残した。令和の現在そのようなドラマタイズされたものは皆無であり、作家は不作揃いだ。伊藤野枝の子たちは今も生きている。(何人かは分からない)現在日曜日の朝六時三十四分、テレビのニュースで、藤井聡太八冠が竜王戦で勝って、インタビューを受けている姿があった。彼が強いのか、他が弱いのか。ボソボソ何を言っているのか分からない。私は彼に生身の人間性を感じない。彼にぜひ血みどろの女性関係(男関係もある)を経験してほしいと願う。つまり“人間になってほしいのだ”そうでないと、サイボーグ的で終ってしまう。お手本は囲碁の天才、「故藤沢秀行」だ。藤井聡太のライバルが言った。“彼は人間を拒否している”と。人生は乱調にありだ。(文中敬称略)






2023年11月5日日曜日

休筆のお知らせ

芸を売るために、数日間、旅に出るので休筆致します。

急に涼しくなってきたので、皆様、ご自愛ください。