ギャ~、ギャ~。地下一階食品売り場に外国人の声が広がった。辻堂駅北口にテラスモールという、ショッピングモールがある。これができていないと辻堂駅北口は何もない。一つ葬儀場があっただけだ。地下一階エスカレーター下に、タコ焼きの出店がある。人気があっていつも何人かが並んでいる。その中に50代の白人(アメリカ人だと思う)夫婦が、タコ焼きを手際よくつくるのに見とれている。ソースとカツオ節のいい香りが、強い熱によってつくられる。20代らしき女性が、丸型に凹んだ中でフツフツ焼き上がるタコ焼きを、長くて太い楊子で、刺しては引っくり返すを繰り返す。そして見事出来上がると、舟形の薄い竹の入れ物に入れ、ソースを塗りその上にカツオ節、粉状の海苔をまぶす。(これが決め手)その工程を見ているだけで、並んでいた人々は満足する。縁日のソース焼きそばや、広島焼き、ヤキトリなどと同じで、工程を見て味あうものは老若男女に愛されつづける。外国人夫婦はすっかり見とれながら、出来上がったアツアツのタコ焼きを、用意されている短い割り箸で、ブスッと刺し、ガバッとそのまま口の中に投入した。日本人の誰かがタコ焼きを食べる時は、こうしてフーフーしながら、丸い球を割って、又、フーフーしながら食べないと、ヒデェ~事になると教えてあげなければイケナイ。何も知らない外国人夫婦は、二人揃ってその熱さにオドロキ絶叫をした。おそらく口の中に入ったタコちゃんがノドチンコあたりに止まり、飲むことも、噛むこともできず、ウア~、と叫び、目から涙を流し、ウォーター、ウォーターと大騒ぎとなった。その少し前、私はタコ焼き店の兄ちゃんと、この頃タコがマグロより高いらしいな、などと話をしていた。そうなんでやんすよ、だから小さ目に切って、入れる数も減らして対応しているんでやんすよなどと。泣き叫ぶ外国人夫婦に子ども連れの奥さんが。ミネラルウォーターを飲ましてあげた。今度はその事がうれしかったのか、外国人夫婦の奥さんが、泣きながらサンキュー、サンキューと、若い奥さんを抱きしめた。かなりの人だかりができていたが、あ~よかった、あ~面白かった。外国人用に食べ方を書いた方がいいよな、などいいながらバラけていった。タコ焼き店には新しい人が並んでいた。外国人夫婦は、フーフーしながらタコ焼きを食べていた。日本で食べているタコの殆どは、モロッコ産である。近海ものは一般大衆の口に入ることはない。アッチコチにお正月のおせち料理受付けのポスターやチラシが貼ってある。実のところおせちは超一流店もコンビニ物も、真夏の8月位に作り終えて、冷凍されている。やっぱり広告ってウソばかりと言われそうだが、ウソばかりなんです。「ユダヤの商法」というベストセラー本がある。ビジネスの成功は、“女と口を狙え”と書かれている。日本マクドナルドの創業者藤田 田(フジタデン)がこれだ! と読み大成功。それを知ったソフトバンクの孫 正義とか、ユニクロの柳井 正も、藤田 田の門を叩いたという有名な話があるらしい。女(性)は男より金を使う。そして次から次へと食べるチカラを持っている。タコ焼きで絶叫した外国人夫婦のご夫人も、きっと帰国したら、タコヤキサイコーと自慢するだろう。フーフーの仕草をしながら。私は地下食品街に、食べ物を買いに行った訳ではない。時代の空気を見に行ったのだ。食品を探して、見て、決めるまでの必死な過程に、その人の物語を見る。食品街はアイデアの宝庫である。銀座の一流ブランド店などはガードが厳しくて入店できない。特に私のような見た目がヤバイ系の人間は、イケナイ目にあってしまう。今年も残り一ヶ月を切った。やっとこさ冬らしくなった日本だが、世界はタコ焼きのように沸騰している。シリアの独裁者アサドは亡命、イスラエルvsハマスは終りが見えない。フランスでは内閣が崩壊、ウクライナvsロシアは泥沼に、アジアも欧米も中南米も熱い。韓国では44年ぶりに戒厳令。超高級ブランド品を持つ美人妻に、国民は怒り爆発、大統領の国外出国を禁止。ロシアと北朝鮮は兄弟盃を交わしている。アメリカのトランプ政権の閣僚のメンバーは、もう目茶苦茶。日本の国家予算の半分近く(約53兆円)を企業評価額として持つ、イーロン・マスクが、ハイな状態になっている。そんな中で我が国JAPANは、冷えたタコ焼き状態だ。政治、経済に対して不満を充満させないために、マスコミは大谷、大谷、大谷だらけだ。この国のプロ野球のオーナーに人物はいない。マー君、神の子といわれ日本のプロ野球界に大貢献した。楽天(退団)の田中将大選手をどこも入団させようとしない。一シーズン24勝0敗という途方もないヒーローは、現在197勝あと3勝で名球会に入ることができる。楽天のバカなオーナーの、毎夜のバカ高い飲み代の一部を気前よく出せば、済む話だった。ヤクルトはエライ! 現在186勝、44歳の石川雅規選手と契約した。楽天のバカヤロー、ヤクルト以外のバカヤロー、日本中を熱狂させたヒーローに恩返しをしろと言いたい。大谷、大谷を見るたびに、私は全身がタコ焼き状態になるのだ。ある会社の若いオーナーが、マイルーム紹介なんていうのをやっている。このソファー5億、この灰皿1億、その絵は250億だよと言い回っていた。地獄へ堕ちろこの馬鹿者め。オッと忘れていた。手にしていたワインは一本150万円だった。日本人よもっと怒れ、タコ焼きになれ。私は一箱98円の紙パックの酒“鬼ころし”を飲む。マー君あきらめるなよと。
(文中敬称略)