「私たちは高価な品を売っているのではありません。高級な品を売っているのです。」
広告の本場アメリカのある高級ブランドのキャッチフレーズである。日本には「安物買いの銭失い」という言葉がある。安物には安物の理由があり、最高級にはその理由がある。
30年近く前にある人から頂いたダンヒルのブルーのカシミヤセーターは、今でもプルシヤンブルーのままであり、型くずれもしていない。その間私自身が買い求めた安物のセーターは、何度もイカレポンチとなり捨てた。
ユニクロはユニクロであり、H&MはH&Mであり、ZARAはZARAである。靴下は”靴下屋”という靴下屋(ややこしい)で2足1000円とか、がんばって1足1000円位で履きつぶして来た。革靴はスーツをあまり着ないので、軽いスポーツシューズとかリングシューズとか1足8000円~10,000円を履きつぶして来た。
ワンシーズン持てばOK主義である。
ジーンズも同じだ。が結局は安物買いの銭失いで、高いけどいい物をしっかりメンテナンスしている人の方が、年月を経ると圧倒的に得をしている。
一昨日の大雪の中を、この5文字が通ったら日本中があっと驚くタメゴローのようなアイデアを込めたある箱を、依頼人のところへ届けに歩いた。箱は優秀な我が社のアートディレクターがイメージ通り作ってくれた。
午後九時半頃には銀座を白座にしていた。
隣にあるセブン•イレブンの前には雪ダルマがつくられていた。
傘を決して買わない主義(仕事上雨はロケを中止にするので、縁起悪いので持たない)丁度打ち合わせに来てくれていた、ウェブデザイナーの方が白いビニール傘を差して、箱の入った大切な袋を雪から守ってくれた。
すでに人影はなくフツーなら10分位のところに行くのに20~30分はかかる。
タクシーは来ない、オッ来たと思うと迎車のランプ、二人でズブズブと雪の中を行軍する。
黒のオーバーコートは、白のオーバーコートになっていく。
水分を含み重くなる。オッ開いててよかったデニーズだ。朝から何も食べてなかった。
四つの仕事を朝早くから一日中打ち合わせをしていた。
狭い狭い仕事場に依頼人が来ては帰った。私は大きなビル、広いオフィス、沢山の人がいる所が大の苦手なので、(はじめて入った会社が百貨店だったのでトラウマがある)ひたすら狭さを好む。
で、雪中行軍をした。
デニーズでコーンスープの暖かいのをスプーンで口に運びながら、足先がまったく冷えてないのに気づいた。
そうかヨージ•ヤマモトの靴下だからだ、過日経理担当の女史からヨージ•ヤマモトのソックスを頂いた。
多分1足4000円位はする高価な品である。
素材は厚いが柔らかく実に気持ちよくフィットする。
ホットしてフィットなのだ。靴下屋の1000円とはやはり物が違った。
それと先日仕事場の側にある、PATRICのシューズのあかげだ。
安物が破れてしまった。
シマッタ今日は夜お客さんと会食、その店は靴を脱いで上がらねばらない。
その手の商売の人は脱いだ靴、脱いだコート、持って来た傘で値踏みをするという。
ヤバイ破れている、が時間はない。PATRICはいいシューズだが高い。仕方ないと思って買った。これがまるで紙のように軽くてジャストフィット。
そしてこれもホットしてフィット。水分を全て弾いてくれて靴下まで染み込まない。軽いトレッキングシューズであった。傘を差し続けてくれた人には、ビーフシチューとビール中ジョッキを。
やっぱりいい物をいい値段で買った方がいいのであった。その後家に帰るまで苦難は続いた。今週末から月末まで、出張が何回かある。400字のリングは途切れ途切れとなる。
昨晩一合の酒を飲む。「♪~風が呼んでいる マイトガイ」小林旭の唄う声が聞こえていた。雪の白座はなんともいえぬほど美しかった。
※画像はイメージです。