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2024年4月20日土曜日

「ばかな話その(8)ばかなNHK」

まえまえ(前々)から疑問に思っていたことがある。私の目の前には、“ワンタンメン”がある。かねてよりカレーライスとライスカレーの違いはあるやなしやかと思っていた。ないに決まっているのだが、どっちでもいいやとかんたんにはいかない。はじめに誰が“ライスカレー”と言ったのだろうか。あるいは“カレーライス”と言ったのだろうか(?)同様に私の中では、ワンタンメンをメンワンタンと言った人間はいなかったのかと悩む。両者(ワンタンとメン)が入っている、中華的入れ物にはでき上がった、ワンタンメンがほぼ同格に入っている。あきらかにワンタンのほうが多ければ、すんなりワンタンメンを受け入れるのだが、メンはメンでその存在を主張する。ワンタンとメンの仲裁として、メンマとかナルトがいる。マアマア、ワンタンメンのほうが呼びやすいじゃん、メンワンタンじゃ、なんかすっきりしないよとレンゲがいう。私はライスカレーとカレーライス論争を自分一人で行なった時、ライスがあって、その上にカレーをのせるのだから、ライスカレーが正しいと決めた。しかしカレーを食べたい気持ちから発する声は、ライスカレーより、カレーライスのほうが断然食欲に応じる。しかしレストランで美しい女性が、カレーライスとおねがいします、というより、ライスカレーとおねがいします、のほうが上品さを感じる。これは、“カレーうどん”か、それとも“うどんカレー”かの論争に発展したりする。美しい女性が、カレーうどんを一つと頼むのと、すみません“おうどんにカレー”をおねがいします、なんていうと、俄然カレーうどんは「うどんカレー」として品格は格段に上がる。さて、私はこれからワンタンメンという、メンズファッション的食べ物を食す。メンワンタンなら、まずはメンをすするのだが、ワンタンメンはワンタンというフニャフニャした腰抜けのようなものを箸でとり、レンゲの中に入れる。ところがこの腰抜けは、つかみどころなく、箸から落ちたり、逃げたりする。レンゲの中に入れると、どことなくフテクサレたように見える。逃げ切れずに捕まった犯人のように。たっぷり肉入りの店もあれば、肉少々のつくりのところもある。ワンタンはヒジョーに熱い。フーフーをしないでいきなり口に入れると、口の中は大騒動となる。アヂ、アヂ、とあわせて飲み込むとノドから食道にかけて、熱いのなんの、背中まで痛くなる。目から涙が出ることがある。フニャ、フニャ、ヘラヘラした見た目と違ったワンタンの粗暴さに対して、メンはおとなしい。箸の動きに忠実に従う。私はワンタンメンより、メンワンタンの順番で進んで行くことにする。こんなどうでもいい事を考えながら、我が身のこれからを思う。九州、島根をハードスケジュールで回って来た。松江で出雲そばを頼んだら、なんとロボット(トレイのお化け)が運んで来た。人手不足なんだとか。羽田→九州大牟田→佐賀→羽田→辻堂、すぐ次の日、辻堂→横浜→羽田→島根松江→米子→羽田→辻堂。飛行機、山陰鉄道、バス、タクシーと、頼りにする人と行動を共にした。原因はNHKのコードに、私たちのつくった映像の中のオレンジが、少し明る過ぎるところがあるから直すようにとの事であった。デジタルの時代、これだけの事で、東京←→島根を泊り込みで往復する。NHKがOKを出さないと民放はOKを出せない。一度島根に持って行ってNGとなり、東京のスタジオで直して、すぐに島根へ。この映像は8分間の政見放送用のフィルム。告示日前日にすべり込みセーフとなった。私の頼りにしている人の冷静沈着に対し、私はこんなのいいがかりだ、バカヤローと思った。NHKのスタジオ内にはたくさんのモニター、たくさんの人、ヒマなんじゃないのと言った。他は人手不足なのにと思った。いかにも何かに忖度しているような嫌な気分だった。民放2社の担当者はすぐにOKをくれた。NHKのばかめと思った。その夜「正欲」という映画を見た。“性欲”とは違う。人にはそれぞれ違ったフェチ(フェティシズム)がいる。稲垣吾郎と磯村勇斗が共演している。かなりの話題作だった。特に磯村勇斗がいい。稲垣吾郎は芝居がうまい。また声がいい。歌より全然いい。私の友人に“太った女性フェチ”(おデブフェチというらしい)がいる。それは単なるグラマラスではなく、よく肥えた、働き者の農家の嫁みたいなのだという。名画でいえば、“ルノワール”の描く裸婦が近い。陽灼けした肌、顔から落ちる汗、その汗をぬぐう太い腕、太い首には手ぬぐい。白いシャツはびっしょり濡れて、肌に密着している。友人はこのことを語り出すと止まらない。きっと大好きだったお母さんの姿を求めているのだろうと思う。4月19日から浅葉克己先生がキャンバスに印刷するというデザイン界初の作品を発表する。神宮前3丁目の「+81 Gallery Tokyo419日(金)~531日(金)まで。その会場で新作映画の上映の機会をいただいた。6時30分からと7時30分からの2回。4月18日夜、浅葉克己先生、井上嗣也さん、稲垣純さんと会場に行って、ギャラリーの社長さんと打ち合わせをした。雨が落ちて来た。すぐ隣りにあったインドカリー店に入った。“ナン”がナンともいえずウマイ。今まで食べたナンの中でいちばんだと思った。つまりナンバーワンだ。先輩の浅葉克己先生をやさしく支える井上嗣也さんの姿が印象的だった。天才と天才の認め合う絆だ。浅葉克己先生をタクシーで送り、東京駅に向った。皇居の前を通りふと思った、桜の花を見なかったなあ、今年もやはり小作人の春だ。(文中敬称略) 









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