世の中には山ほど名言や格言がある。
私は現在このひと言が一番だと思っている。
それは国民的歌手、三波春夫さんがいった「お客さまは神様です」だ。
売る方と買う方との関係は五分と五分(ヤクザ者の世界ではこれを『タメ』という)いいモノを作った人のところに、そのいいモノを必要とする人が来て買ったとするとお互いタメな関係だと思う。
買ってお金を払う人と、作ってお金をもらう人とはお互いに納得しあえば五分と五分、タメなのだ。
が、この考えはダメなのだ。
モノを作って売っている店が、その一店だけであればタメ口もいえる。
嫌なら買ってもらわなくたっていいんだぜ、他に欲しがっている人間はいくらでもいるんだからヨォ。なんていえる。ところが同じようなモノを作る店が二つ、三つ、四つとなると、そんなイキがったことはいえない。「お客さまは神様です」となる。
あそこの店のモノとは歴史が違う。あの店とは品質が違う。
そっちの店とは接客の仕方が違う、値段が違うなど違いを強調する。
私は何が一番大切な違いかを考えた、結論は接客の仕方だなと思った。
勿論商品がどこよりもいいモノである事は必要条件だが。
いいモノでもいい接客をしてくれないとダメなのだ。カンジワルーとか、エバッテルーとかまるでタメ口じゃんといわれる(京都にはこんな店が多い、特に東京の人間にはかなりキツイ)。
キラリトギンザ3階oluha(オルハ)ショップに一度行ってみて下さい。
ホレボレするような接客態度であなたに接してくれるはずです。
私のような慢性的不眠症にならないために。睡眠改善インストラクターの人が一人ひとりの眠りについてアドバイスをしてくれます。「お客さまは神様です」私などには絶対にかけない奥深い言葉です。
先日、出版社の人や編集者の方に私はこういいました。
本屋ほどカンジワリーとこはない。いらっしゃいませも、またお越し下さいお待ちしています、ニコッなんてことはまずない。お客さまという観念がないのだ。
売れもしない下手な文章の本を置いてやってんだ、というような態度がほとんどなのだ。この間銀座の教文館という本屋で、◯×の書いた×◯という本あると女性店員に聞いたら、ジッとパソコンを見て、入っていません!なんてシラッといわれた。
カチンと来てしまったのだがあまりに無表情なので、あっそういいや他で買うからというのが精一杯だった。
近藤書店、旭屋書店、イエナ、銀座から本屋が消えてしまった。
「お客さまは神様です」の心を持たなかったからだ。
神田の古本屋なんか店主がお客は万引きだみたいな目で次ジロジロ見張っている。
それ故私は神田の古本屋は嫌いなのだ。客を見て品定めする、その目利きが刑事みたいな店主ばかりだ。出版不況は接客にありだ。