昨年の末のことであった。何だいテレビを見ると小池のババアばかりじゃねえか、チャンネル替えてくれ、と言ったのは私では決してありません。
おすし屋さんにいたお客二人の内一人のオジサンです。
築地の側なのでイロイロアタマに来ていたのかもしれません。
そうだよ都知事選が終わってからまい日、小池、小池、小池だからなと、もう一人のお客さん。オヤジゲソ焼いてくれ、オレはタコブツだとご注文。
もう移転はできねえな。マッタクどうなんてんだ東京都はヨォ。
で、私からオジサンたち築地の関係の人と聞けば、全然関係なく朝日新聞の人でした。
そうか本社近いしなと思った。朝日はダメだねと言うと、そうダメですと素直に言う。
全然ダメなんだよとイカのゲソ焼きのオジサン。
タコブツのオジサンは、薄くなった頭をグリグリしながら、いいんじゃないの朝日は永遠に朝日なんだからと訳の分からないことをつぶやく。
酒もう一本、ウーロンハイもう一杯と二人は続く。
私はかねてより朝日を見限っていたので、まあこんなオッサンたちが碌に取材もしないでヘコタレた記事を書いては、ボツをくらっているんだろうと思った。
二人の年齢は、一人は四十七、八歳、一人は五十二、三歳であった。
赤貝とホタテを一人が追加し、一人が穴子焼きを追加した。
店のオヤジが穴子は白焼きそれともタレでと言えば、ハーフ&ハーフと言った。
なるほど出てきた穴子は一匹丸ごと、縦に真っ二つに分かれている。
半分は白焼きでその上にワサビがのっていて、もう半分にはタレが染み込んでいた。
昨夜音楽関係の人とそのおすし屋さんに行った。
大作曲家の先生のところから独立したのでその御祝いをした。
防災の話、歴史の話、音楽の話、広告界の話と話は弾んだ。
お刺身を食べてさて次はとなった時、穴子焼きを頼んだ。
白焼き、それともと言った。一瞬思案していると、ハーフ&ハーフでいきましょとオヤジさんが言った。あっ、そうかと思った。
その日読んだFACTAという雑誌に朝日新聞27万部減という記事があった。
あの朝日の人たち新年早々どこかへ飛ばされていないかとふと思った。
ゲソ焼きとタコブツを頼もうと思ったのだが、話は関ヶ原の合戦に飛んでいた。