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2017年7月4日火曜日

「週現川柳」

東京発湘南ライナー小田原行。20時30分発。全席座席指定である。発車音が切れる寸前に乗った。

キオスクで夕刊二紙と夕刊紙を二紙買った。胸に〝ヨウ〟と書いてある名札をつけている若い女性に五千円札を出した。ハイ、オツリオオキイノ、イチマイ、ニマイ、三マイ、四マイと数える。朝毎で100円、日刊ゲンダイと夕刊フジで280円。
オツリワヨンセンロピャクニジュウエンデスとていねいに勘定してくれた。
キオスクは殆んど中国人か韓国人の人である。若い男は〝テ〟と一文字書いてあった。
テさんとヨウさんがいた。

東京駅9番ホーム湘南ライナーは乗車前にキップを見せてパチンと穴をあけてもらう。
昨夜はよく太ってパンパンの定年少し前位の男であった。身長155センチ体重89キロ位だろうか。
乗車券を出すといつも手が震えている。キップを渡すとやはり手が震えてた。
アル中(?)と聞くとポッカンとした。
飲みすぎちゃ駄目だよと言ったら、コクンと頭を下げた(気がした)

座席はいちばんうしろ。窓側にはすでにアルコール度9%入りロング缶を飲み終わって一人の中年男が眠っていた。(確か天海祐希さんがCMに出ていた)
男のヒザの上に週刊現代が広がってのっていた。
ふとそれを見る。
「週現川柳」のページが目に入った。最優秀作「吸い過ぎに注意は人も蚊も同じ」お題が「蚊」であった。
「採血は看護師よりも蚊がうまい」「たたかれて直ぐに潰れる蚊と社員」「蚊帳をつる俺の田舎はまだ昭和」「蚊よ頼む吸うなら脂肪抜いてくれ」などが読めた。
次週のお題は「長生き」であった。
「柔肌好きは蚊も同じ」そんな川柳もあった。
列車はいつのまにか大船駅に着いていた。
巨体の男はずっと眠っていた。

2017年7月3日月曜日

「寄せ木の集まり」




天気晴朗なれど波高し、都議選の結果は衝撃的であった。
大乱の始まりである。

8%弱の無党派層が投票行動を起こしただけで、世の中が引っくり返ることが証明された。民主党政権誕生の時もそうであった。

物言わぬ国民が怒りを一票に託した時、トランプ大統領のような異形のリーダーが生まれ、フランスのマクロン大統領のような彗星のようなリーダーが生まれる。
既成の政党以外のところに一票が集中する。

戦い済んで夜が明けて、午前十一時、東京都の巨大な権力者となった小池百合子都知事は、とりあえずビールでと言っていた。
その目の先には、次の巨大な権力の姿が見えているのだろう。
今年中に五人以上の国会議員を集め政党助成金を手にする体制をつくるだろう。

人との出会いは別れの始まりであるように。
寄せ木の集まりはバラバラとなる終わりの始まりである。
世田谷区なんかで、マック赤坂氏が8000票近く集めていた。
恐るべしマックだ。

応仁の乱は11年続いた。それに近い大乱となり、集合離散が繰り返されるだろう。
いち早く動いた人間は勝者になることはできない。
忍耐こそが人間を大きく育てるのである。

たくさんお金をもらっている選手ばかりなのに、弱者の集団と化した読売ジャイアンツはどこか暗示的である。
気合だ、気合だ、気合だ、責任のなすり合いをしている場合ではない(私はヤクルトファンです)。

2017年6月29日木曜日

「流転」


一泊500円の中村荘という宿泊所で数人の老人たちが焼死した事件が二ヶ月前にあった。
現代社会は一日前に死んだ人の名を直ぐに忘れる。
人の噂も75日ではなく75時間から75分だ。

中村荘で焼死した一人の老人は七十七歳であった。
あるテレビ局の追跡調査によると、老人は一流電機メーカーに33年間勤めていた。
しかしホームレスになる。友人の保証人となり数千万円を支払う債務を負う。
老人はホームレスとなりながらも身だしなみをちゃんとしていた。
借金の追い込みから避けるため離婚した。
家族や親族に迷惑をかけないように家を捨てざるを得なかった。
ホームレス生活をしながらも人間としての尊厳を持っていたという。
生活保護の収入を借金の返済にあてた。
ホームレス生活の10年位は商店街のアーケードの下の床面であった。

もう一人の老人は六十五歳、スーパーマーケットの食品部に勤めていたが糖尿病の悪化で視力を失っていった。視力が弱いと食品の鮮度がしっかり見比べれないと退社した。
かすかな視力で日雇いの仕事をしながらホームレスとなった。
人に迷惑をかけたくないというのが口グセだったという。

一泊500円、むかしドヤ街というのがあって一泊100円だった
黄色い血の問題はドヤ街から広がった。そこは売血者の宿泊所であった。
自分の血を売って生きていたのだ。使い回しの針からさまざまな病気が広まった。
中でもC型肝炎ウイルスのキャリアになって、やがて肝臓癌になって行った。

私の先輩もその一人で山谷のドヤ街で血を売っていた。
私はそんな先輩を探しに行っては連れて帰ったが、先輩は針中毒になっていた。
針中毒とは血管に針を刺すことが快感なのだ。
やがてホームレスになり五十二歳で死んだ。
両腕はドス黒くなっていて、すでに針を刺す個所がなく、足の指の付け根や、太ももに打っていた。

人に迷惑をかけたくないが口グセだった。
会社の仕事でミスをし、叱責され逃げ続けるように会社を辞めた。
先輩は消えてしまった。
錦糸町のドヤ街で死んだという知らせが入ったので友だちとそこへ行った。
すっかり骨と皮であり、ラグビーで鍛えた体は見る影もなかった。
ミイラみたいな体を毛布にくるんで車に乗せていたら、ドヤ街の住人たちが合掌をしてくれた。私は1000円札二枚を一人の男に渡してありがとうよと言った。

私は芸者稼業だから上にいる人間よりゴーリキーの「どん底」の人間の方が親しみがある。日本中で老人が孤独死している。
老人もかつては可愛い赤ん坊であり、元気な幼稚園児であり、スポーツを楽しむ小・中学生であったはずだ。
高校から一流大学、一流会社に入った人間がホームレスになるプロセスに私は興味がある。
人生は流転する。





「人相占い」




人生は流転する。坂の上から落した石は転げ落ちる。
ローリングストーンだ。

お金を借りた人間と貸した人間、どっちが強いかと言えば圧倒的に借りている人間の方が強い。返したいけど返せないと、開き直るともうどうしようもない。
貸した人間は借りた人間がオシャカになっては元も子もないので、元気でいてくれよとアレコレごちそうする。

私の知る限り貸した人間より、借りた人間の方が食欲旺盛だ。
よく飲み、よく食い、よく遊ぶ。貸した人間は時々、オソロ、オソロ言う。
あの金いつ返してくれるのと、相手はもうチョイ待って必ず返すから、ソロソロ神風が吹く気がしてるんだと言って、チャーシューワンタンメン+ギョーザ+春巻+シュウマイをペロリと食べる。

コノヤローと思いザーサイを顔に投げつける。
フザケンナヨと怒りながらザーサイは相手のメガネにペタッとくっつき視界不良となるも相手は箸を動かす。
チキショウと思いながらふと気がつくと、自分がローリングストーンになっている。

よく借金をする人間は病気だと言う。不治の病とも言う。
この人間たちは、友情とかは一切感じない。
人と付き合っているのではなく、金と付き合っているのだから。
出るものが出て来なくなれば、ハイそれまでよとなる。

金の切れ目が縁の切れ目と言う。
私は人生の内で一度だけ人相占いというのを吉祥寺で受けた事がある。
老占い師はこう言った。「保証人になるのは止めなさい」と。これがよく当たった。
私は保証人地獄をたっぷりと味わった。人相はそれ以来ずっと悪相となった。

2017年6月27日火曜日

「次の号外」




人工知能にも似た14才の少年、藤井聡太四段の29連勝に日本中がビックリしたなぁもぉ~となり、ビックリ仰天キーポッポとなり、あっとオドロクタメゴロー状態になっている。
昼にアレを食べたとか、コレを食べたとかがニュースとなり、号外まで出回っている。

14才の少年が“望外”のよろこびとか“僥倖”です、なんて言うと大人たちはスマホで漢字を調べて、そうか思いがけずというような意味なのかと驚く。
凄い少年だと思いながら、不気味なガキだと思っているはずだ。

不愉快、不条理、不潔、不信、不満、不倫、不の連鎖で梅雨空の下のようにどんよりしている国民にとって唯一明るいニュースなのだろう。
私が日頃言っているように一部の有能な人間以外の東大法学部卒の勉強バカは、信じられない言動と行動をする。
違うだろ―アデランス、違うだろ―アートネイチャーと叫びわめき暴れる。

私は提案したい、官僚にもっともっと私大生を入れるべしと。
自分以外はみんなバカと見下し、卑下する。
肩書と出世欲しか無く、ウソ八百のつくり話しを、ややこしい官僚言葉でウニャムニャにする。

ヨイショ、ヨイショのタイコ持ち時事通信の田崎史郎のヌルヌルの顔を見るとアタマに血が昇る。このバカは権力にへばりつくタニシか小判鮫みたいな奴だ。
このバカは講演で高いギャラを取る。ただの裏話で。

大人たちがこんなんだから藤井聡太少年は実に爽やかな凄いガキなのだ。
これでずっと年の離れた彼女でもいれば言うことなしなのだが。
少年時代にいちばん大切なのは淡い恋、切ない愛。
胸がドキドキする次の一手なのだ。

そう遠くない日安倍総理退陣表明なんていう号外が出るかもしれない。
そんな予感がする。
小さな池に棲息するしたたかなババアはグリーンのジャケットでその次の一手を練っている。あー嫌だ嫌だなのである。

あじさいの花には雨が似合う、かたつむりが似合う。
葉っぱにへばりつく姿がまるで私のようだ

“天災は忘れた頃にやって来る”寺田寅彦さんはそう書いた。
長野が不気味な地震で揺れている。ふだんの防災を忘れずに。
懐中電灯の電池入ってますか(?)

2017年6月26日月曜日

「ひとまずホッ」




六月二十三日金曜日、出版記念パーティーは大盛り上がりでした。
オープニングは北野理沙さんのソプラノと平林龍さんのバリトン、桃瀬茉莉さんの電子ピアノで、オペラ椿姫の中から「乾杯の歌」、ラストは森山良子さんが小さなオルゴールを伴奏に使って美しい声で「エターナリー」、大拍手でした。

案内状を出して都合により欠席されたのは十数人でした。
著者田中珍彦氏の人徳です。

私は司会やら何やらで5時間半ほど立ちっぱなしで汗ビショでした。
やっていいことはやっぱりやるべきだと思いました。
我が社の尾崎未知さん、全てを仕切った上原女史は何も食べず、何も飲まずオツカレさんでした。

殆どみんなの人がいいパーティーだったと言ってくれたのでホッとしました。
「珍しい日記」田中珍彦著、木楽舎刊、ぜひお買い求めをお願いします。

2017年6月23日金曜日

「ドライ+2」




梅雨でベタベタ。ムシムシムンムン。四畳の隙間で眠る私はまるでカタツムリ。
今日は一月年頭から作り始めた本のめでたき出版日。
「珍しい日記」の出版パーティーの前に、やること有り。
梅雨は体調を崩しますので十分に気をつけてください。

ただ今午前三時十一分〇三秒。目覚まし時計を八時にセット。
きっとあと一時間は眠りに入れません。
アタマの中で今日のパーティーの司会のシミュレーションをしているのです。
ルームエアコンをドライ+2にしました。かなりヒンヤリです。
本日はここまでです。

2017年6月22日木曜日

「『珍しい日記』出版開始」




明日二十三日(金)午後六時~八時頃まで、私の天沼中学時代の大先輩、元東急文化村社長、田中珍彦(うずひこ)さんの著書「珍しい日記」の出版記念パーティーを渋谷東急百貨店八階、イタリアンレストラン「タント・タント」にて行う。

年頭一月に生原稿を見せていただきやっと二十三日に出版となった。
約150~180人の日本を代表する文化人の方々が御祝いに来ていただける。
木楽舎小黒一三編集長、早野隼編集者が出版を可能にしてくれた。

私は本の題名、本作りのアートディレクション、そして出版パーティーびプロデュース&司会をする。本のカバーデザインは永石勝さんにお願いした。
全体のプロデュースを上原有美女史が担当してくれた。
出版パーティーへのお誘いの挨拶状の全文を載せます。
木楽舎刊「珍しい日記」を書店で見かけたらぜひお買い求めください。
心よりお願い申し上げます。

2017年6月21日水曜日

「今日の朝」



六月二十一日午前二時頃外は風が強い。
海から潮騒が聞こえる。左手に一匹の蚊が止まったので右手でバシッと打ちつける。
極小の体はつぶれたが私の血をしっかり吸っていた。

テレビでは大分県で震度5強があり気象庁が記者会見をしていた。
再放送を見なかったのでモニターを取ってもらっていた「睡眠負債」のDVDを見る。
寝不足や良い眠りをしていないと、癌やアルツハイマーや認知症になる確率が断然増えることが最新の研究で分かったとか。
成程、それでイロイロな不具合や失敗の原因が分かった。
睡眠不足は万病のもとなのだ。

頼まれている仕事のアイデアをシコシコと練っていたら午前五時を回った。
朝刊をポストから取って読む。新聞はちゃんとビニールにくるまれていた。
新聞を読みながらテレビを見る。森友学園、加計学園、火蟻。
オッ、オッとグッドアイデア(?)が浮かんだので、それを書き始める。

雨音が激しい。
気がつけば午前八時四十二分〇九秒、会社の仕事仲間に電話を入れる。
すぐに返しの電話…と言うことでヨロシクと言う。朝早いのにやけに元気よかった。
そうかフツーの人はこの時間は会社にいるんだなと思った。

私の仕事はヤクザ稼業、芸者稼業なので昼夜が逆転する。
もしくはずーっと起きている。「睡眠負債」はたっぷりと貯まっている。

現在午前十時四十六分、テレビでは高田純次が下総中山の町をウロウロ歩いている。
つまりずーっと起きていたので、これから少し眠ることにする。
雨強し、風強し、潮騒強し。
蚊に刺された左手がかゆい。
何十年も逆転の人生だ。

2017年6月20日火曜日

「ワンタンの教え」




ビシッと腰が定まっていなく、主体性もない。
ヘラヘラしていてユラユラしている。自己主張はしない。
箸でつかもうとすればフニャと逃げる。
レンゲに入れて口に運ぼうとすれば、無駄な抵抗をして口元からスープの表面にバシャッと落ちて白いTシャツにシミを作る。

昨日ワンタンを午後に食した。
いかつい男二人が、こらっ逃げるなワンタンと真剣になる。
私は荻窪の丸福、丸信、春木屋のワンタンを食べて育ったので、未だにその三店に勝るワンタンに出会っていない。

特に丸福は最高であった。
しっかり身が入っていて、肉の部分がこんもりと丸く突き出していた。
丸信は皮に厚みがあり、かなりの存在感があった。
現在杉並公会堂の側で営業しているらしい。
春木屋はお上品であり、ワンタンのプライドがヒシヒシと伝わって来る。

茅ヶ崎駅側のラーメン店にはじめて入った。
ソース焼きそばを食べている会社員風女性、チャーハンとラーメンを食べている職人さん、レバニラ炒めライスを食べている中年の会社員風の男。
ギョーザと春巻き、ザーサイを山盛りにしてビールをグイグイ飲む、シニアな人たち三人。

店の主人とその奥さんと思しき二人は汗だくで無言、オーダーされたものの名以外一切しゃべらない。と、そこへ人相のすこぶる悪い人二人が入って来て、ワンタンよろしくと言った訳である。友人はメンマのトッピングを頼んだ。
チャーシューワンタンにしたいのだが、チャーシューの旨い!店はちょっとやそっとではない。見た目で旨いか否かがチャーシューは分かる。
やはり丸福と春木屋が最高である。歯ごたえが固くサクサクした感じで、肉厚すぎるのはまずイケナイ、チャーシューの脂身部分が勝負を決める。
口の中で溶けるような味、少し小ぶりで肉厚でないのがいい。

銀座コリドー街にある新橋よりのガード下、喜多方ラーメンの「坂内」がかなりいけている。若い男女がワンタンを食べて、口元からツルツルバッシャンと落とすシーンがほほえましくて好きだ。

ホテルオークラ内に桃花林という、旨くもなくただ高いだけの有名中華がある。
そこでいかにも◯×風×□風のおじさんが子ども二人を連れていて、ワンタンを作ってくれと頼んだ。オーイチョットと手を挙げたら両手の小指がなかった。
ワンタンはこうして食べるんだよと、子ども二人にお手本を見せていた。
ワンタンはヘラヘラしていた。茅ヶ崎のワンタンはまるで気合不十分であった。
ソース焼きそばが正解だったようだ。

だがワンタンの生き方にはすこぶる共感をする。
中華の達人、達観なのだ。
あなたはワンタンを食べてますか、なかなかに奥が深い代物です。