辻堂→小田原→名古屋→飛騨高山(打合せ)―高山にてチャーシュウメンをごちそうになり、→名古屋→新横浜→東神奈川→横浜→辻堂。早朝は小田原駅で待合室、大好きな駅弁、”デラックスこゆるぎ”を食した。
「旅芸人の記録」という名画があったが、私も、そのようなものである。
飛騨高山はとにかくラーメン屋さんが多い。今回はここがおススメと調べていただいていた。
「桔梗」という味のある店名のラーメン屋さんであった。
老夫婦と息子とおぼしき男の人が一人、年の頃は三十六・七才であろうか。
L字の形のカウンターに8人程座れる。小上りがあり、4人が座れるテーブルが三つあった。
建築家の先生、建築会社の人二人。広告代理店の人二人、施主の人二人、私の合計八人であった。
カウンターに五人、小上りに私と三人。午後一時少し前。店内は私たちだけで満員のようになった。
それぞれ大きな鞄とオーバーコートやダウンジャケットを脱いで、空いたところに置いたからだ。ラーメンが出来上がる前の話題に、私が待ち時間があった時、前日ある造幣局にテレビが取材に入ったのを見た話をした。新札の一万円がここで一年間に何枚造られるか。輪転機は猛スピードで印刷する。
そして断裁機でズドン、ズバッと断裁されて、刷り立ての一万札のぶ厚いブロックみたいなのができる。
ニセ札ができない工夫のところはボカされる。
勿論カメラが入るには、いくつもの鉄柵のようなところにつけられた厳重な鍵を開けなければならない。
さて、一年間に一万円の新札はいくらかと、造幣局の人に取材者は問われる。
想像もつかない。それじゃ教えます。一年間で12兆8千億円です。
へえ~、うへえ~となった。
私は直感的にソフトバンクの有利子負債14兆5千億円位を思い出した。
つまりソフトバンクは一年間に刷られる新札の一万円札12兆8千億より、2兆円近く多く借金し、利子だけで年間約数千億円を支払っている訳だ。
ラーメンは薄い醤油味、魚系のスープ。
麺は細目のちぢれ系、ラーメンの基本中の基本のようなものであり、ひと口スープを口に入れると旨い。チャーシュウが5枚でこれが実に旨い。
シンプル・イズ・ベストであった。
高山は水がいいので銘酒もたくさんあり、食べ物が美味しい。
飛騨牛店とみたらし団子店が多い。
朝市で有名な川にかかる橋の入り口で、これ以上小さな店は不可能という程小さなみたらし団子屋さんがある、おばさんが一人しか入れない宝くじ屋さんがあるが、それにほぼ近い。
三人でタクシーに乗って運転手さんに、あの店ずーと昔からあるねと言ったら、あの店でビルを建てましたよと言った。
へえ~そうなんだ。
高山の名物店である。
残念ながら団子は食べる時間がなかった。
雨が多い高山は幸い晴天であった。観光客の多くは外国人。
特にアジア系が多い。
最早日本国は中国、台湾、韓国、そしてアジア系を敵に回したら、経済は成り立たない。高山のラーメンに近いなと思ったのは、喜多方ラーメンであった。
天領でもあったから、格式は高い。
プライドもすこぶる高い。京都に近いところがある。
何の仕事で打合せをして来たかは、後日にする。
一人のカリスマと、一人の天才と、大巨匠をプロデュースしている。家に帰って深夜アンジェイ・ワイダの遺作「残像」を見た。いい映画はアタマの中をクリーニングしてくれるのだ。
「芸術とは卓越性だ」と主人公の画家は言った。
「人のやった事をいくらなぞっても、それは技術でしかない」
※画像はイメージです。