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2009年11月19日木曜日

人間市場 お絵描き市篇

突然絵を描きたくなる。

絵を描く時はいつもそうだ。プロの絵描きさんは周到に計画を立てて描くらしい。

私はズブの素人、まるで無計画。

真夜中から朝までかけて五十号を一作描いた。今年に入って七作目。描くというより絵具を大量に無駄使いした。筆はほとんど使わずに描いた。絵具で一気に描いていく。

四年前恥を知らずに銀座で個展をやった。脳梗塞で倒れ、リハビリ中の友人(嘱託社員)を手伝わせ、多大なストレスを加えてしまった。言い訳がましく言うと、何か目的を持ってもらえば気が入っていいのではと思った。今でも絵を描く度に友人の顔が目に浮かぶ。ゴメンヨ、ゴメンヨと思いながら描く。本人とよく話した上だが心が痛む。

私の絵は頭の中に浮かんだイメージをどんどん描く。絵具は溶かさないで使うので二、三十本分が直ぐ無くなる。絵を描いている時は何も考えない。一心不乱。

脳の中がパレットになる。右手に軍手を付けて描く。左手は時々外す。

手の平で描くために、指で描くために。


十五年前、二年程プロの先生の教室に通った。

週一回(日曜日の朝)三時間位、小学生と一緒。大人は私一人。

何でオジサンはボクたちと一緒なのと聞かれたから、頭を指さしオジサンはここが悪いのと言ったら、八人いる子供たちが親切にしてくれた。私の目標は子供の様な絵だ。しかし、子供の絵には近づけない。発想力、想像力がまるで違う。

画廊を観て歩くのが好きだ。しかし、みんな似たりよったりだ。買って貰う事を考えて描いている。闇がなく、光がなく、性がなく、破滅がなく、歓喜もない。

芸術ではなく、技術だ。

個展の時に、先生とそのお仲間数人が来た。君の絵は究極の素人絵だなと評された。褒められた代物でない事は確かだ。今度の休みに絵具のバーゲンがある。(藤沢の世界堂)この頃はすっかり油絵描く素人さんがいないんですよとなじみの店員が言っていた。


子供がお絵描き教室に来ないと先生はこぼしてた。月謝が払えないからだと言う。

情操教育の無い国は必ず滅びます。子供はみんな天才です。辻堂どんぐり教室で調べるといいですよ。

先生の名前は田澤茂さん、青森出身お国訛りが優しいお方です。

先生の教えは、大きく描くんだよ。

色をいっぱい使うんだよ。それだけです。判ったか、ハァ〜イです。


私の友人、増田久雄さんが製作、監督した矢沢永吉のドキュメンタリー映画

「E.YAZAWA Rockぜひ観て下さい。1121日(土)封切り。

そこんとこ、ヨロシク!



2009年11月18日水曜日

人間市場 左々舎市篇



神田明神下に「左々舎」(ささや)という河豚ちょうちんを灯りにした店がある。

その昔、神田芸者の人が住んでいた処をそのまま使っている。


博覧強記の親友、加藤雄一さんに紹介してもらい、すっかり気に入っている。江戸情緒がそのままだ。激しく降る雨の中、明神様のお賽銭箱の横で人を待つ。お賽銭、奮発して千円。母の事、知人の事、親友の事を二礼二拍手一礼。

待つ事五分。おっ、来た。遠くから小走りに走ってくる黒のシルエット。身長一六五位。

近づけばやはり黒づくし、黒い髪、太いニットの黒ロングカーディガン、同じ素材のロングマフラー、黒系のプレーンなスカート(?)、グレーのVゾーンのセーター、形のいいバスト、銀のネックレス、この日の圧巻は黒のロングブーツ、エナメルの様に光る先が鋭いピンヒール、銀のベルト巻き式(?)歳は二十四歳。マイッタか、神田明神。恐れ入ったろ。(神田明神始まって以来でしょ)

超美人は一年に一度しか願い事をしないので、この日は明神様に手を合わせず。

いざ、「左々舎」の河豚だ、フグ行こうなんてダジャレている胸の内。急な階段を降りて、左に徒歩二分。鳩ポッポのような含み笑いに足許が滑る。


この店は、かの小説家山口瞳さんがこよなく愛したとか。先生の生原稿やら、色紙やらが変わるがわる飾ってある。

冬は河豚一式。夏は鱧しゃぶ、秋は鯛しゃぶとなる。

入って右にカウンター、五人位座れる。突き当たりの上りの座敷に、六人掛けのテーブルが二つ。左奥に個室。ただし襖は閉めない。四人掛け、芸者さんが使った三味線が自然に置いてある。カウンターの正面は、掘りごたつ式のテーブルが二つ、四人掛け。テーブルはそれぞれ大きい。

なんともいい人柄のご主人夫婦と一人の女性。この三人に会うだけでも行く価値有り。

時々娘さんがいる。親娘一族、祭りになると一変するらしい、三社命なんです。

その時の写真が数々、有名人、著名人の色紙がそれとなく、貼ってある。


先日ある代議士先生と行った時、お店は沈んでいた。何故ならいつも入り口で迎えてくれる愛猫が二十歳の生涯を閉じた。何でも、店の前で車にぶつけられたとか。地元の人なら、この猫の存在を知っているので車は徐行する。あくまで猫ちゃん優先だ。

よそ者が何も知らず路地に入って来たのだ。私が行った日は丁度四十九日。みなさんシーンとしてました。入り口の竹の長椅子の上に小さな赤い座布団が悲しく置いてありました。帰る時素敵な先生と写真をパチリしました。夫婦でピース。この日はかなり元気に回復してました。

話してた超美人を連れて来たよと言うと、まぁ~、なんてなんて美しい、とため息。

私の点数がぐ〜んと上がりました。

さて、食した品は、順次二人で、(小)生ビール、河豚づくしのオードブル、河豚刺し大盛り、河豚ちり。この間、ヒレ酒二杯ずつ、そして河豚のおじや。ここで私は、焼酎のロックスを二杯、抜群の味のお漬物。旨い、上手い、ウメェ~。もう私は汗だく。

相手はきれいな真っ白い歯を出して、鳩の様なこぼれる笑い声。

この女性には魔性があるのです。将来はある分野できっと世界に名を馳せるでしょう。

その時公表します。

夢とロマン、芸術と文学、旅と風俗、砂漠と荒野、都市と建築。話は弾みに弾むのでした。日本とは、日本人とは、密度はディープです。おじやを二杯食べて、お漬物食べて、デザートです。大きな栗の煮たものが一個。栗をすり潰して作ったアイスクリームがひと山。ほてった体に絶品です。

お勘定は二万四千二百円(税込み)。

今どき、高いと言えば高い。安いと言えば安い。でも、何とも言えないいい笑顔のご主人夫婦、それを見るだけでも、又、お店のしつらえ、雰囲気に触れるだけでも癒されるから、やっぱり安い。コースは七千円から。何しろ食の世界では鬼より恐い、かの佐藤隆介先生が、「左々舎」はいい、忘年会は決まりだと、命を下されました。

どうか、江戸情緒、神田の粋、絶品の笑顔とお料理に会いたい方、ご利用してみてください。期待を裏切ることはまずありません。

できれば美人と。あるいはそれなりの人と。

2009年11月17日火曜日

人間市場 小黒市篇

小雨そぼ降る十三日の金曜日。


四人での酒席、楽しかった。所は新橋演舞場の入り口斜め前に、かの有名な料亭「金田中」、その斜め前の「くーた」。博多出身のご主人が東京へ進出して来たのです。

ここの魚はとにかく旨い。あんまり旨すぎて、上手く書けない。


友人の広告代理店社長、大泉勉さん(この店の常連)、監督の中野裕之さん、そして、メインゲストはあの「ブルータス」の名物編集長だった、小黒一三さん。永遠の文学青年にして現在ANAの機内誌「翼の王国」、ロハス系の月刊誌「ソトコト」の編集長、自身のラジオ番組「LOHAS TALK」のパーソナリティ。と、まぁここまでは編集者なんですが、この先が凄い人。

一度、ケニアに行った時、美しい空、美しい風、果てしなき大自然、野生の動物たち。それを見ていると、これは俺一人だけじゃなくみんなにも見て貰いたい、よしホテルを建てようと思い立ち、それを建ててしまった人なのです。

「ムパタ・サファリ・クラブ」見事なホテルです。

経済人、小説家、芸能人、画家、写真家、イラストレーター、ファッションデザイナー、スポーツ選手、建築家、広告人等々、その人脈は、アルプス山脈とアンデス山脈とピレネー山脈に丹沢連峰を掛けた位、広く、深く、親しい。

六時半集合、ヒョッコリやって来ました。少しハニカンダ仕草。それ程体は大きくないが、目がクリクリと大きく少年の様に澄んでいる。

口から出て来る話がでかい。単位はほぼ一億から始まる。二億、五億、十億、二十億、五十億と進んで行く。

全てはウァハハハ、ウァハハハ、何て調子。何しろ魅力的なんです。多分、坂本龍馬とか、高杉晋作はこんな人だったんだろうなと思いました。(二人は資金集めの天才でした。)

気宇壮大、構想拡大。夢実現、実に快男児。五十九歳、煙草は駄目、毛蟹は駄目なんて言って、牛タンステーキを喜んでました。焼酎のペリエ割りをグイグイ。中野さんとも意気投合。四人はまるで少年の様に夢を語り合いました。

ケニアで高橋尚子ちゃんとマラソン企画したの。ライオンやヒョウと走るのなんて(?)。今の悩みは、ホテルの屋根が古くなったので、ソーラーに変えたいとか、どっかから出してもらうか、ウァハハハと笑ってました。

カタカナ業界で小黒一三という名を知らない人は間違いなくモグリです。


「くーた」は博多弁で食べたの意味とか。魚料理抜群、牛タン、肉じゃがが安くて旨い店です。「ムパタ」とは世界的に有名な動物画家SGムパタから。

ケニアはエコツーリズムのメッカ。是非一度「ムパタ・サファリ・クラブ」へ行って

ライオンやトラやヒョウと駆けっこして下さい。

運動不足解消、ストレス解消に最適です。

まれに、ライオンやトラのごちそうになる人もいるとか(?)




2009年11月16日月曜日

人間市場 ウルセイ市篇 

朝5時30分。バ〜ンと007風に開始。


いやはや元気この上なく、ウルセイ事この上ない。

夜の銀座をそのままスタジオに持ち込んだように、みのもんた氏は出てくる。


顔は陽灼けサロンで灼いたのか、ドーランを塗り込んだのか、

糖尿(?)が進んで肝臓でも悪いのか、ドス赤黒い。

何時またぎ、何時またぎ、とまたぎにまたぐ。

汝は、なんじゃと聞きたくなる。


根本ク〜ンと言うと、ハ〜イと結婚を決めたカマトト風根本クンの天気予報。

たいがい喋ってる内にコマーシャル。(段取りが悪い)

パネルにのりをつけてパッタ、パッタ、騒ぐ。トチル。訂正入る。

あっそうで終わる無責任さは植木等の映画並み。

近ごろ、流行の紙の裏にはがせるのりをつけて、はがしに、はがす。

でまた、根本ク〜ン。ハ〜イだ。

この人稼ぎまくる。ギネス並み。趣味金儲け、銀座のクラブ活動。

むかし勝新、昨日、みのもんた。今日、様々とか。(大物がいない)



おっ、来た来た8時またぎ。

うるさい男で、番組全体が酔っ払っている。

番組の中に、毎日銀座のママを入れ替わりに入れるとか、ホステスさんを入れるとかするといい、もっとうるさいかもな。

しかし、カメラが外れると、疲れてんのか、腰が痛いのか直ぐ椅子にへったりと座る。

この人が、世の中のために一銭でも使ったという話は一度も聞いた事はない。

そうだろ、根本ク〜〜ン。ハ〜〜〜イ。か。

それから、この番組はやたら言い間違いが多いのが最大の特長。

みんな知ってると思うけど。

(テレビはなんぼ間違ってもスイマセンの一言で許される。小説家なら一文字でも校正ミスがあったらドエライ事になる。)



ところで、テレビはいつから新聞を紹介するメディアになったのだろうか。

ついでに、新聞はいつから旅行広告新聞になったのだろうか。

朝っぱらから、ウルセイ奴だ。

じゃ見なきゃいいじゃないかと誰かが遠くで言っている。

ゴモットモです。

2009年11月15日日曜日

人間市場 記事市篇

新聞記事を読むのが一日の楽しみであり、一日の苦でもある。

喜有り、怒有り、哀有り、楽有りの記事の中に世の中が見える、
ザラザラした紙の万華鏡である。

私は、朝日、読売、日刊スポーツを自宅に入れてもらい、
日経、毎日、神奈川新聞を駅売りで買い、通勤途中で読む。
夕方に日刊ゲンダイ、夕刊フジを、コーヒーを飲みながら読む。
この二紙には時として、事の神髄を読み取ることがある。
それを探す楽しみがあるからだ。(赤旗日曜版も入れてもらっている。)


朝日新聞に「素粒子」という題字の下のコラムがある。
私はこのコラムニスト(二人らしいが)の文章がすこぶる嫌いであり、
二度程葉書を書いた事がある。が、返事は来なかった。

14字×14行で書く人が一人、◎印を4カ所入れ14字×10行位で書く人が一人。
「素粒子」とはいえ、この二人は年収一人当たり2000万位の給与を貰っているらしい。

昼には高給ワイン付きのランチを女性と食す。
そのまま、行ってはいけない処に入ってしまう事もあるらしい。
ハイヤーは使い放題。

と、以前に読んだ「たかが朝日、されど朝日」に書いてあった。
ご両人は特権階級という。
他に「社説」「天声人語」の執筆者がいる。

山椒は小粒でピリリと辛くあって欲しい。
科学的に言う素粒子とは最も小さな存在だ。
低俗なチャカシ的、オチョクリ的、イヤミ的、ダジャレ的ばかり。

つまりは、恐ろしく下手くそなのである。
自分の会社、朝日新聞がどれほど社内闘争と社内政治に明け暮れ、
経営は赤字、広告の半分は旅行と通販と映画と書評ばかり。

その上で自らのコラムを書いて欲しい。
先日のコラムは、文字113字「」が10個、句点が10個◎印が4個であった。
これで年収2000万(?)。
多分日本一高いモノ書き両人である。

ご両人何か文句あれば、
文句待っています。

2009年11月14日土曜日

人間市場 ラーメン市篇 

タレントとは「才能」という意味。
さすれば彼等、彼女等は才能があるのだ。食べる事だけ、太る事だけが売りの人たち。

世はラーメンブーム。
予算が安いので番組が作りやすい。
(何しろお店側がタダでもいいから取材してとテレビ局へ売り込む。中には日当を払ってアルバイトに行列させる。裁判所の傍聴券をもらうのと同じ。それ専門の会社がある)
ああ、又、出ているギャラがタダ同然のタレント達。
あの人はイマの人たち。あの人はヒマの人たち。あっ、未だいたんだと妙に懐かしくなったりもする。

ひとすすりする。旨い!カメラカット、スープをひとすすり。
旨い!カメラカットする。次はスープ全部飲んで完食で〜す!
(でも飲んでいるところは写さない。全部食べてたら一日何軒も回れない)

あろう事か、ラーメン評論家が出て来たりします。
中には一年中、一日三食ラーメンです。
へぇ〜なんて。もう、八丈島か佐渡ヶ島送りにして根本的に治さないといけないラーメン中毒がいます。

ラーメン。
このカタカナ四文字は私にとって聖なる言葉。私は東京の荻窪で25年幼少より育ちました。
あの丸福、あの春木屋。駅前広場拡張で移転を余儀なくされた丸信、これがまず最高三大横綱でした。
絶対の存在であった無愛想な丸福は、脱税やら投資の失敗、マンション経営の失敗やら、近所のやっかみ、密告やら(噂です)でTHE END。終わりになりました。
次男は中学の一年先輩でした。

又、○○軒だ××屋だ、△△△店のオッサンが列を組んで人の店行って、オッ、旨くなったじゃねぇか。とか、ウンかなりだ、今一歩頑張れとか、オッ、何か入れたか、オイ、変わってないじゃねぇか。
なんて、なんて、なんて能書きたれる。
大体、金網で出来た丸籠で麺を茹でるラーメン屋なんて、
全然失格、退場、破門、絶縁、所払いです。
あろう事か、その丸籠から麺をお客に向かって投げる店がある。(ラクロスじゃないっていうの)止めとけです。
何とか切りと言って丸籠の麺を天地左右に振り回す。(辻斬りじゃないっていうの)

ラーメンの麺は煮えたぎる湯の中に入れ、平籠でオーダー分の麺を見事に湯切り、さばく。これが本筋です。
春木屋さん。銀座の中央競馬の馬券売り場の隣にある、共楽さん。
この二軒が筋者です。(荻窪にはかつての丸福風、丸福があります。遠い親戚だそうです。)

ラーメンだしの作り方だ、醤油だれの作り方にぐだぐだ能書き言ってる店に旨い店はまずありません。
死んだ丸福のおやじがいたら、ゴーツクぽい奥さんがいたら、長男と嫁がいたら、能面のような顔を真っ赤にしてそんなのラーメンじゃないって怒るでしょう。
昔オヤジさんにパチンコの出る台をそっっと教えていたら、人より2枚チャーシューが多かったのです。(他のお客とは別格でした)

この間、あるタレントが言ってました。食べて太る事で生計を立てている男です。
何が辛いって、まずいラーメン屋を、うまい!と嘘をつく事。
良心の呵責で痩せそうです(全然痩せれません)

黒いスープ。ステーキの様なチャーシュー。具がゴッソリで中々麺にありつかないもの。
頭に浮かんだモノは全部入れちゃえっていう変な物。
替え玉だなんて、本人を出頭させろだ。

大体つけ麺なんて、ラーメンの鴨せいろだ。
どっか半端でハッキリしねぇ存在だ。
そんな事を言っていたら、若い者たちが、いや〜やっぱりあそこのつけ麺は最高だったなんて言いながら帰って来ました。

西川史子という猫顔で、顔の大きさと、腕の細さがアンバランスで気持ち悪い不気味系の医師兼タレントが(本人は美人と思っているから始末が悪い)、とあるラーメン屋の取材で何人かと正体不明のラーメンを食べてました。
言葉は旨い。でも本当はスゲェまずいと顔に出てました。(泣きそうだった)
そのラーメンは、タンメン的、ジャージャーメン的、石狩ラーメン的、タンタンメンパーコーメン的。
食べてる人と同じ位不気味な代物でした。

2009年11月13日金曜日

人間市場 陽水市篇

1112日、行ってきました。

ところは、東京国際フォーラム。友人と井上陽水のコンサートへ。


時、あたかもオバマ大統領来日前夜、天皇在位二十周年。皇居前でエグザイルのコンサート・レセプション。もう、警察の黒い集団がビッシリ。昼は、右翼街宣車ガンガン。

エグザイル目当ての若者の渦。何かにつけてモメ事を起こす性分があるので、友人より押さえてと。で、八重洲富士屋ホテルのコーヒーテラスへ、エスプレッソでクールダウン。


635分、じゃ、行こうと、コンサート会場へ。

うぁ〜、いる、いる、いる。平均年齢、456歳(?)もっと上かもしれない。

712分、陽水登場です。いつものファッション。いつものギター。(3本使い分け)

「とまどうペリカン」「ホテルはリバーサイド」「ジェラシー」「少年時代」「最後のニュース」「風とライオン」。私の好きな「傘がない」「背中まで45分」を歌わなかったのが残念だったが、久々の陽水の突き通る様な高い声に痺れる。

何が痺れたか、右足がです。右隣のお客さんが、私の領域まで不法侵入。

中年少女(?)は荷物を足許へ。中年少年(?)と一緒。その荷物を避けるため変則的体位でいたら、右がつって、痺れて痛いのなんの。

丁度、「少年時代」を歌ってました。歌に痺れ、右足は痙って痺れで意識はステージから、右足へ。でも良かった、えかった、痛かった。

ご本人は、例の美川憲一的喋りで、クニャクニャっとしながら皆さんこんばんわ。

謙虚、謙虚で40年やって来ました。最近人がどんどん亡くなるの、なんて。

本当にやりたいことやるには500歳まで生きたいわ、皆さんもお元気でね、なんて。

もう満員の場内、ウケにウケる。アンコールは4曲。「アジアの純情」で総立ち状態。ラストは「いっそセレナーデ」であった。静かにお客をクールダウンさせました。

さすが超一級のプロフェッショナルの構成でした。

日本語の持つ美しさを独自の世界に引き込んで作った、詩的、文学的、哲学的、政治的、叙情的「陽水の世界」でした。

一つの不満は、このハコ物の建築がおよそコンサートを聞くという場になってない事。

アート色がなく、官庁の中で歌を聞いている感じであった。

右翼にも、警察官にも、ガードマンにも、寒い中で頑張っているから中に入って、23曲聞かせてあげたらと思った。

みなさん、お元気で、お気をつけて、おさようなら、おありがとう、で、お終いでした。


下りのエスカレータを降りながら、ふと、筑紫哲也を思い出しました。NEWS23のバックミュージックが陽水の曲だったからでしょう。今の時代にどんなメッセージを送ったでしょうか。多事争論、オブジェクションが、陽水の歌とダブって思い出しました。

そうか、陽水の歌はジャーナリズムソングでもあるんだ。


この日私は東京のホテルに泊まるつもりでしたが、どこも満室でした。

歴史は夜つくられるとも言う。

2009年11月12日木曜日

人間市場 異形市篇

男の顔は履歴書と言ったのは確か大宅壮一であったと思う。

生まれながらの顔に何度も手を加え、異形化し逃亡すること二年七ヶ月。整形は美しくなるためだから、この男がやったのはその逆の異形手術だ。


男は捕まった。

私が驚いたのは、その顔がまるでクローン人間の様に父親に似ている事だ。

職業は外科部長であったとか。母親は歯科医、典型的な医系家族だ。息子逮捕に対し門前で夥しいマイクの前でインタビューを受ける。話す度に、妻が強く頷く。自分たちの人生の誤りをそっくりな顔は淡々と語っていた。妻は2ちゃんねるやネット上に顔が出て恐いとも言っていた。はっきり言ってほっとしました。お金の仕送りは誓ってしてません。異形の息子に育てた親は茨の道を歩かねばならない。


人生の整形手術はもう出来ないのだろう。愛娘を失った両親の顔も又、美しい娘によく似ていた。二十二歳は人生に於いては未だ入り口だ。父親の無念の涙の量を計る術はない。

逃亡小説の名手、吉村昭ならこの逃亡をどう書くだろう。ふとそう思った。


十九歳の女子大生がバラバラにされる。

三十四歳と三十五歳の小太りの女が人を騙し、何人殺したか判らない。

一人、二人、三人、四人・・・・・もしかしたら八人(推定?)

出会い系サイト、孤独につけ込む悪女たち。残忍極まる事件の数々。インターネットは相手の顔を見ずして出会う事が出来る。そこには、相手の履歴書が見えない。太った悪女にもきっとそっくりな親がいるのだろう。


報道ステーションで古館伊知郎が先日、大変な誤りをしました、市橋容疑者が整形手術したという病院の写真が、全然違う病院でした。関係者に大変ご迷惑をおかけしました、すみません。どんな過ちも報道は簡単な訂正で済ますことが出来る。そのくせ、正義の代表者の様に熱弁する。同じ日NHKニュースでは、テロップで市橋がずっと市川だった。鼻の穴が二つ天を向いている、木で鼻をくくった話し方をする見下しのキャスター田口五朗はシラッとしていました。この人には感情がありません。無感情なのです。女子アナがテロップで市橋が市川になっていましたすみません。それにしても、報道、特に女子アナウンサーの言い間違い、日本語の乱れは夜遊びも乱れているからか、酷すぎる。見た目重視だからだ。

小説家の文字が一文字でも間違って出版されたら一大事である。

例えば「生」が「死」に間違って出版されたとしたら。


ネット社会は顔のない社会。何が起きるか、誰も予測できない。

実際の社会では消す事ができない事もネット社会では削除して終わりだ。

但しサーバーの中には永遠に残る。一度とられた指紋と同じ様に。

ネット社会は闇の中に次の獲物を探す。その人は、あなたの隣にいる人かもしれない。


「誰も助けてくれない」という映画があった。ネット社会の恐さがよく表現されている。一人の子供が事件を起こすと、その一族郎党全てがネットによって追い込まれる。

もし、あなたの側に今なら防げる事があるのなら、しっかりと対処して欲しい。

解決法は愛情と誠意しかない。

2009年11月11日水曜日

人間市場 柿ピー市篇 

銀座四丁目の交差点に交番がある。

その前が、名店「あけぼの」おせんべい屋さんである。

その隣が三愛ビル、一階にオープンカフェがある。

そこのパイプ椅子に座りながらエスプレッソを飲む。



楽しみは人間ウォッチングである。少しでも時間が空くと一人でそこへ行く。

何で格好いい外人が連れている女性、もしくは結婚している女性は美人でないのか(?)。

何で美男美女カップルがいないのか(?)。

何であんな年を食った女性と若い男が手を握り合っているのか(?)。

何であんなに太った女性とスレンダーないい男が(?)。

何であんなに太った男と知的な女性が(?)

美女と野獣、大と小、太と細、阿呆と知性。

結婚と離婚と再婚。破壊と再生は繰り返されるかだな。

そもそも結婚なんてものは偶然の産物でしかない。いかなる科学者もその必然性を証明出来ない。蓼食う虫も好き好きだ。


おっ、「あけぼの」の隣のワッフルを焼く屋台風の店から良い香りがして来た。

若い女性が行列だ。みんなに買って帰るか、と思った時、隣の椅子に一人の教授風の太った人が座った。濃紺のスーツは中々の素材。ドサッっと書類の山。パラパラめくる。難しそうな字がビッシリ。グラフもいっぱいだ。

かなり下っ腹が出ているが、髪のモジャモジャ感は、数億円を脱税して忙しくって忘れてた人に似てる。

いや、むしろヌード撮影をしたら、そりゃイカンと家宅捜査を受けた写真家に近い。


黒い、大きな革の鞄から次に出した物はおよそインテリ(?)とはかけ離れた物ではないか。一袋、二袋、その名も名高き亀田製菓の柿ピーだ。

教授(?)はその袋を二つ一緒にバリバリっと破った。そして猛烈な勢いで口に入れる、というより投げ入れる。

時に目をつぶり天を仰ぎバンバン、バリボリガツガツ食べる。うるさいのなんの袋に触る音、噛む音、二袋をアッという間に平らげて三袋目を出す。

こうなると私も帰るに帰れない。


そこにオマタセーと、二十代前半の前半のウルトラ美女。

(着ている服は、ルチアーノソプラーニ風)

なんだい娘とデートか、それにしても全然似てねぇ親娘だなと思った瞬間、

な、なんと二人はキス。そう接吻を長々するではないか。

通行人もストップ、時間よ止まれだ。

オイ、オッサンの口の中には確か柿ピーがたっぷり入ってる。鳥のエサの口移しじゃあるめぇし。左手には三袋目をしっかりと。

オッサンじゃない教授(?)は目をつぶってました。

美女がギョロッと睨みました。正しくはガンを飛ばしてました。

すみません、直ぐ帰りますと席を立ちました。堅気じゃねぇな、と確信しました。

交番の前では長い木の棒を持った若いお巡りさんが、当然怒ってその光景を見ていました。


WAKOの時計が午後四時三十八分を指していた。

2009年11月10日火曜日

人間市場 理論市篇 

政権交代、攻守交代、みんな交代。

国民の一票の価値を、目の前に見る。このままいくと間違いなく自民党は社会党が解散した様になる。すでに斜民党、騙る平家と徳川十五代と同じ運命だ。

歴史的な役を終えた細胞組織は消えるしか無い。

かつてのすさましい権力闘争はひと重に自民党が与党であるための手段であった。

自社さ、自自、自公、悪魔にだってひれ伏す。

社会主義だって、創価学会にだって心も体を売る。四十八手何でもありであった。

これから自民党はかつて、森喜朗、野中広務がやった様に民主党のスキャンダル探しをやるだろう。しかし、かつての成功体験は再現できない。

まず、圧倒的に数が違う。野中広務の様な役者がいない。

当時の策士や凄腕は老人と化し、引退し相手の陣中に入っている者までいる。

人材を育てない組織は、一度崩れ始めると信じられない程脆い。

企業で言えば、ソニー、西武、カネボウ、ダイエー、トヨタ、三越、ミサワ、JAL

等々枚挙にいとまが無い。

これからも信じられない会社が信じられない事になる。

あっという間にそれは起きる。

ただ生き残るための合併は人心を乱れさせ、混乱を生み破壊する。

外から見ると生きているが、中に入ると死んでいる。

テレビを付けると、攻守交代した自民党が予算委員会で質問している。

その面子に驚いた。

何と、大島理森、町村信孝、加藤紘一だ。完全に終末だ。

若手の小泉進次郎あたりをぶつける勇気が必要だ。

新人の当選者五人を起用する位の度胸が必要だ。

ある企業に私がリスペクトしている一人の天才がいる。

その人が著書の中で面白い理論を書いていた。

「カマスの理論」という。

要約すると、水槽の中で小魚を食べ飽きたか見ることしかしなくなったカマスたち。

間仕切りにしたガラスを外してもそのまんま何もしない。

ガラスで間仕切りをされた事に慣れっこになり、それを外されても関心がないまったりしている水槽の中に一匹のイキのいいカマスを入れると、一気に小魚に襲いかかり始める。

するとのんびりを決め込んでいた他のカマスも本来の姿を猛然と見せ始める。

という事らしい。

弱者を強者がいじめるというのではなく、習慣性、マンネリの打破、無力感の蔓延作用を止めるという事と理解した。

怠惰な組織に入れるカマスを、あなたの会社に入れるカマスを育てなければならない。

手練手管の時代はもう来ない。

私はカマスに食べられる小鰯に過ぎない。

どうせ食べられるなら、若い者のエサになりたい。