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2010年9月9日木曜日

湘南の嵐便り 「バツイチ」

かつて芸者さんをしていた女性に聞いた話だ。

三味線に使う猫の皮は一度お産をした猫の皮がいいという。実によく弾け艶っぽくしっとりとした音色を出すらしい。化け猫はどうだと聞いたら笑っていました。


この頃活躍している女性達にバツイチの人が多い。
一度結婚を経験し、時に一度お産を経験した女性は、誠に多岐に亘り魅力的になるらしい。


言葉遣い、仕草、目配り、色っぽさ、何もかも一回りも二回りもスキルアップするのだ。
竹内結子、広末涼子、加藤紀子、藤原紀香、60歳のショーケンを虜にしたカリスマ主婦、周りを見ればバツイチだらけ。



離婚後暫くするとフェロモンの出方が全然違ってくる。
生活臭さが消え、開き直った女の性が男を虜にする。彼女らは決まってこういうという。「惨めなオバサンになるのは嫌」と、夫に捨てられた女と見られたくない、別れた旦那を必ず見返してやる、見下ろしてやる、その決意が又一段と輝きを増す。

沢尻エリカに捨てられた男は「男やもめにウジが湧く」という通りウジウジしている。
一方開き直った沢尻エリカはやりたい放題だ。
金の切れ目が縁の切れ目、げに女性は恐ろしい。

バツイチを口説く時に下手な同上は逆効果、“寂しいんじゃないの?”なんて冗談でも言ってはダメ。それよりも辛い経験がアナタをより魅力的にしたねなんて離婚経験を肯定してあげるといいらしい。

バツイチ女性は経験豊富というイメージが強い、よし俺なら前の男よりきっと心も体もしっかり掴んでやる、なんて意気込む男が多く、色んな貢ぎ物をしてアプローチするのです。
だがしかし女っぷりが上がった女性は相当手強い相手である事を肝に銘じてください。

次の一手が見つからない人は私が相談にのります。よろず相談室ですから。


2010年9月8日水曜日

湘南の嵐便り 「台本」


土曜の朝九時半から十時半まで日本テレビで「ぶらり途中下車の旅」という番組がある。
家にいる時は必ず観る様にしている。

番組の中に色んな楽しい所や楽しい人達や職人さんや名人達が出て来る。
番組の中に人と人、町と町、食と人が触れ合っている長寿番組だ。

過日私が辻堂にいる頃通っていた「玉寿司」という店に取材が入ったと床屋のご夫婦から聞いた。テレビに写ったのはほんの数分だが、取材は一週間に及んだそうだ。

はじめに制作スタッフが打合せに来る、次に撮影や照明、録音スタッフやらが来る。
テスト撮影などをする、又制作スタッフが来て当日の香盤(撮影スケジュール)の打合せ、次に当日のメインのメニュー、板前さんの芝居やセリフの打合せとすすんでやっとディレクターのお出ましとなる。

食べ物番組やこの手の番組「ちい散歩」はこの番組のパクリです。
で食べる時は、はじめのひと口、うまい!そしてカメラはカットされ中頃のひと口、そして又カットされ最後の完食シーンと決まっている。


全部食べ歩いたらタレントはみんな糖尿とか痛風、高血圧、高コレステロールになってしまうからだ。事前にタレント事務所やマネージャーから申し入れがある。
阿藤快とか太川陽介とかあの人は今的な人々に久し振りに会える。

で、「玉寿司」はもう二度と取材はお断りと言っているとか、一週間仕事にならず常連さんから苦情殺到。テレビ局の友人が言うにはぜひ取材して下さいという申し込みが多いとか。まあ全ては台本通り。


玉寿司

その友人はやはり日本テレビの看板番組「笑点」を制作していた事がある。
あの番組は落語家や色物たちの憧れの番組、売れっ子ばかりなので三週間分位を一緒に収録する、だから台本を用意しないといけない。

あれも全て台本通り、でも忘れちゃう師匠も多い。私は家にいれば必ず観る。寄席大好きでもなかなか行く機会がないので夜中CDを聞く。CDには台本がないからいい。
この世の行く末、落としどころは誰が台本を書いてくれているのだろう。


2010年9月7日火曜日

湘南の嵐便り 「男たちの挽歌」


香港のフィルムノワール(暗黒映画)の巨匠、ジョン・ウーの代表作に「男たちの挽歌」がある。その映画のキャッチフレーズが「恥じて生きるより熱く死ぬ」であった。

ポスターをひと目見てビビッと来た。



主人公の兄貴が抗争で刑務所に入り弟一人が街に残される。
片足を引きずる男は後に大スターとなるチョウ・ユンファだ。相手にこづかれ床に落ちた物を拾わされあらゆる侮辱を受ける、周りから何てみっともない男だ恥知らずとバカにされる、毎日相手方の店の掃除をさせられたりする。ひたすら兄貴の出所を待っているのだ。

そしてその日は来た。二人でバーに入る不自由な片足の(相手に刺されたが兄貴が出所するまで我慢していた)の膝の上にウイスキーのオンザロックを置き、足を上げグラスを口にくわえオンザロックを一気に飲む、兄貴お帰り待っていたよと二人はグラスを交わす、さあ、復讐だ。


このシーンが最高に良かった。
何度かバーで真似したが遂に上手くいかなかった。それ以来私の座右の銘は「恥じて生きるより熱く死ぬ」とアチコチに書いた。で二人が相手に殴り込む、どこか東映の高倉健の映画の様であった。

低予算で作った映画だが大ヒットして「男たちの挽歌」シリーズとなった。
チョウ・ユンファは香港最大のスターとなっていった。又、監督のジョン・ウーも世界的に有名になった。低予算でもいい映画は作れるのだ。それまではブルース・リーとジャッキー・チェンであった。


この頃ヤクザ映画の秀作がまるでない。私は何本かシナリオを書いている。
一億円か一億五千万円で最高のフィルムノワールが出来る。どこかに出資者はいないでしょうか。その筋の映画が好きな大金持ちを紹介して下さい。何処へでも飛んで行きますので。


思えば恥ばかりさらして生きているのだが。

2010年9月6日月曜日

湘南の嵐便り 「映画は猛暑」

八月二十九日(日)千葉県市原市の畑の中に通る一本道で来年のカンヌ国際映画祭の短編部門に出品する作品「水-water」の本番撮影だった。

市原市の畑の一本道



埼玉、茨城、栃木あちこちにロケハンをしてこの地に決めた。朝七時から陽が落ちるまで日陰が何もない畑の側、暑いのなんの乾いたタオルがびっしょりになってりまう程だ。

主役の女性は天村敏美さん。私の知人が経営する銀座の超高級バー「サロン」のマスターの義姉の人。時々店に出ていたが今はKUMONの先生であり空手家でもある。11歳になる男の子がいる。私のイメージにピッタリだ。


天村さん

男の子役は私の会社の専務の息子、清水光太朗君がわざわざ軽井沢から来てくれた、私のイメージにピッタリ。
お坊さん役は私の著作を手助けしてくれている出版社無双舎の編集長の神崎東吉さん、私のイメージにピッタリであった。

光太朗君と神崎氏


スタッフみんな猛暑の中監督とカメラマンの指示のもと一切の無駄なく、暑い暑いという事もなく動いてくれた(私は時々ロケバスに避難した)。


監督はCM界の売れっ子ディレクター寺尾学さんが引き受けてくれた。寺田さんは必ずNO.1になる若手の旗手。既に海外でもたくさんの賞を受賞している。
カメラマンの猪俣克己さんは私の長年のコンビ。今回も無理をお願いした。

畑での撮影が終わったら急いで移動して銀座のバー「サロン」での撮影であった。ビルは休みだったが特別に二時間半使用させてもらった。

自主映画は何しろ低予算、映画好きが集まらないと製作できない。プロデューサーの奥野和明君、アシスタントプロデューサーの森美香君が苦労をしてくれた。全体の仕切は私のところの社長鈴木智暢が行った。スタイリストは私のデスク上原有美君。少ない予算の中やりくりしてくれた。



朝食はおにぎり2個、昼食は鮭弁だけ、夜食は無しであった。

ストーリーは水商売でがっぽり稼ぐ女性が畑の側でエンストを起こす(ベンツ5000CC)この女性は一万円札しかお金と思っていない、目の前に飲み物のベンダーがあるが一万円札を入れる所が故障中、小銭がないので飲み物が買えない。

女性はだんだんイライラ、カッカしてベンダーに八つ当たり、殴る蹴る、案山子の木を引っこ抜いて来ては張り倒す、チクショウ120円が欲しいとクタクタになる。そこに1人の少年がベンダーからジュースを買い美味しそうに飲む。オイガキ、そのジュースとこの一万円と交換しろと言うがアッカンベーと逃げられる。

チキショウ、携帯は二つとも圏外だこの役立たずと投げ捨てる。ヘタヘタになって泣きながら座り込む。そこに1人の坊さんが近寄って来る。さてどうなるか、とまあ大筋こんな映画なのです。

「一円を笑う者は一円に泣く」この教えを映像化してみたのです。

これから編集開始だ。音楽作り、効果音入れ、タイトル入れが待っている。
出来上がったらご報告を致します。
それにしても今までの撮影で一番暑かった。みんな本当に映画好きだった。

スイカがとっても美味しかった!

2010年9月2日木曜日

湘南の嵐便り 「キャタピラー」



先日有楽町で若松孝二監督の「キャタピラー」を観た。
寺島しのぶが今年のベルリン映画祭で最高優秀主演女優賞を受けた作品だ。
1時間27分、圧倒的なメッセージ性のある映画に驚愕した。


若松監督73歳、今最も世界の映画祭で光り輝く存在である。
かつてはピンク映画屋といわれ蔑まされた。しかし低予算の中で猛烈な早撮りの名手で独自の名作を生んでいった。今回の作品もなんと14日の予定を12日間で全てを撮り終え編集はわずか3日であったという。

ワンシーンに何回もだめ出しをし、ワンカットの為に一週間も十日もかけた小津安二郎監督、黒澤明監督、溝口健二監督たちとは対局にある。基本的にワンテイクである。
CM作家はスポンサーから沢山の予算を貰っているから一秒のカットの為に何テイクも撮る。それが当たり前となっている。誠に映画とは似て非なるものなのだ。
「実録、連合赤軍あさま山荘への道程」は三時間くらいの作品であったが、どの赤軍派映画も圧倒した。年を重ねる事に凄味を増し若々しい完成を発揮し凄まじい表現をする。

宮城県の高校を退学、中退し数々の職業を経てヤクザの世界に入る。ある時映画作品の見張り役兼手伝いをした事により映画の世界に身を投じる。映画の世界もヤクザな世界だからスムーズであったのだろう、その後ピンク界で伝説の映画を発表し続ける。
海外の映画祭に出品してブーイングを浴びる、それでも何のその不屈の魂で今やカリスマとしてリスペクトされている。勿論私もその一人だ。

午後1240分上映開始、映画館は満員だ。寺島しのぶが両手両足を失い、聴力も失い、顔も奇形となって帰還した夫をみて驚愕する。夫は「軍神」そして大日本帝国新聞の一面に紹介されている。村の人々も「軍神」様と崇めるのだ。



「キャタピラー」とは日本語で「芋虫」夫は芋虫になって帰って来たのだ。かつて「ジョニーは戦争に行った」というやはり両手両足を失って帰国した兵士とそれを看護する女性との物語の名作があった。江戸川乱歩の作品に「芋虫」というのがある。多分にその影響を受けたのだろうが若松孝二監督は見事に最高峰のメッセージの映画に仕上げた。

全裸、騎乗位、全裸、騎乗位の繰り返し。
人間国宝尾上菊五郎と富司純子の娘寺島しのぶはここまでやるかというまで「夫」の食欲と異常な性欲に応える。だがしかし一方では「夫」を性の道具として自らの性欲を満たす。時として芋虫は肉の塊として寺島しのぶの上に乗る。その演技は絶品である。
ノーメイク、お尻の割れ目もアップで出し自ら夫のモノを何度も入れる(夫は手がない)その映像は神聖的ですらある。



ここまで演じたら断トツの世界NO.1だ。
寺島しのぶの夫のでっかく毛深いフランス人を知っているだけに尚更リアリティを感じた。
「忘れるなこれが戦争だ」と若松孝二監督は記した。

どうしようもなり映画ばかり観ていてうんざりしていたこの頃思わず立ち上がり拍手をしたくなった。「元ちとせ」の歌う主題歌が切なく悲しく心に刺さる。

一人でも多くの人に観て欲しい。低予算早撮りに拍手だ。

2010年9月1日水曜日

湘南の嵐便り 「シネマ・ラ・プラーヤ&東本」


折角短編映画をつくりながら上映の機会がない、上映する場所がない、そんな映画作りをしている人のためにスペイン料理の巨匠、児玉徹さんがスペースを解放してくれました。


児玉徹さん


短編映画製作人の私とスペイン料理の名店がコラボレーションして、シネマ・ラ・プラーヤ&東本を生み出しました。

美味しいワインと美味しいスペイン料理のランチ+短編映画2,3本を上映します。
限定30名様(予定)、午前11時半から午後2時まで。
料金は映画800+シネマランチ1500円(税込み、ワインは別です)の予定です、詳しくは後日。





友人知人をお誘い合わせの上是非参加下さい。又、作品募集をします、自主映画で短編を製作して是非観て欲しいと思っている人はご連絡下さい。

東本三郎YOROZU相談室 シネマ・ラ・プラーヤ&東本係
担当 上原 有美
TEL 03-3547-0581/Email:uehara@advision.co.jp

2010年8月31日火曜日

湘南の嵐便り 「目クソVS鼻クソ」

21世紀宇宙から「はやぶさ」が帰って来る時代にエイッ!エイッ!オー!ガンバルゾーだ。

日本はとんでもない政治後進国だ。
未だに国民投票で国の代表を選ばない。国民の誰もそれを声を大にして言わない。
マスコミも取り上げない。自民党や民主党の代表が国のトップ総理大臣となる、こんなのは中国や北朝鮮と同じだ。

マスコミは政局政界再編となると新聞は売れ、テレビは大騒ぎし、週刊誌も書きたい放題で売れる。又、又民主党の代表選、目クソと鼻クソの戦いである。

一番喜んでいるのはマスコミだ、この業界はクソミソだ。
政治家から政局を取ったらトンカツ屋からトンカツを、八百屋から野菜を、床屋さんからハサミを取り上げる様なものだ、それが仕事だから。

権力闘争は太古の昔から続いている。
会社でも人事を巡って一年中権力闘争をしている、それが一番の仕事だからだ。人間が群れをなした時から支配者を目指して血みどろの戦いをする。
応仁の乱や下克上の時代、戦国時代に比べれば今の権力闘争なんて「へ」見たいなものだ。
親を殺し、子を殺し、一族を殺し根絶やしにする、それが戦国時代だ。ロシアや中国や北朝鮮の権力闘争なんて凄まじいのだ。何千何万の敵対者が消えてしまう。この国は甘い、甘過ぎる。



菅直人なる政治家は、私が会った政治家の中で断トツNO.1に最低の政治家だった。
作り笑いの中にとんでもない体質を持っている。人の顔を見て話さない、時間を守らない、話している最中何度も携帯電話をいじりながら立ったり座ったり、会議室から出たり入ったり、正にイラ菅だ。人をずっと待たして何の挨拶もない二重人格、多重人格だ。

奥さんが一番知っているのだろう、こんな人が総理大臣になって本当にいいのと正直に言っているのだから。又この国は人物がいない政治家が小粒になったわねなんて言っている。亭主得意の作り笑いだ。あっちこっち突っついて攻撃している時は得意然としているが一度せめられる立場になるとオタオタ状態になるだけだ。こんな男がいざとなったら真っ先に逃げ出すだろう。



小沢一郎なる男は張り虎の虎を演じるのが上手なだけ、小心翼々としてお白州と強制起訴を恐れているだけだ。普天間の埋め立ての為に買った山や利権をなんとしても無駄にしたくない。田中角栄、竹下登、金丸信ゆずりの利権政治家の典型だ。検察とどんな取引をしたのか予測はつくが後日にする。

鳩山は元ある業界の大立物の隠し子と云われている、その血が騒ぐのだろう、ジッと黙っていられない黒いど鳩だ。国民は何も怒らずジッと黙っている。この方が余程不気味だ。
今日小沢一郎と菅直人が手打ちの会談をするらしい?政界は一寸先は闇だ。


2010年8月30日月曜日

湘南の嵐便り 「命懸け」

皇帝ペンギンは自分の卵を守るために氷点下60℃の厳しい状況の中、約65日余り動くことなく卵を守る。その役目は父親(オス)である。

人間社会とは別に食べ物を捕って来るのは母親(メス)の役目である。風速数十メートルを越す吹きすさぶ嵐の中でひたすら卵を守る。

子の為に親は自らの命を懸けるのだ。人間が窮地に陥った時、子は皆「お母さーん」といい、「お父さーん」といって散っていった特攻隊員はいないと云える。
母親の中で10ヶ月守り育てられた小さな命はへその緒で繋がった瞬間から太い絆で繋がっているのである。


今から15年前私は突然心臓がバコバコして全く眠れなくなった。
2日で心臓外科を4つ周りいろんな検査をしたが心電図には全く異常ない。
その頃娘は20歳、息子は14歳であった。マズイ、なんとしても娘を嫁に出し息子を成人させる迄は命を落とす訳にはいかない。そう思うと余計に心臓はバクバクし横になるとオイッ地震だなんて口走りだした。

一日、二日、三日ずっと起きていた。
ウイスキーと市販の睡眠導入剤を飲んでも頭は覚醒している。眠りたいきっと夢を見ているんだ、そんな中でも毎日仕事に行った。会社に着くと床に横になりちょっと眠りたいんだと言った。

内科でないと思っていたので主治医の所には未だ行ってなかったが四日目に行った。
事情を言うと主治医は、ハイ直ぐシェルターに入って仕事の事は一切忘れる事と言って慈恵医大に電話してくれた。

先生駄目ですよ、子供達がいるんですよ、会社も仕事も心配だしと言うと、何言ってんだと凄く叱られた。その日強い薬を飲んで深い眠りについた。
君はね、人間じゃない生活をして体を酷使して来たから体が悲鳴をあげてもう勘弁してくれと叫んでいるんだよ。


翌日自宅に役員全員とお世話になっている方々が集まり入院を決意した。
自律神経失調症、慢性疲労から来る抑鬱状態であったらしい。治療方法はただ何もしないで頭と体を休め規則正しく投薬を続ける事であった。外との電話も駄目、人生で初めてのリタイア45日を経験した。それを期に毎日早朝一時間海岸のサイクリングロードを歩く事を決めた、ロケや出張の時はシューズをバッグに入れた。

十年間ほぼ毎日歩き続けた。
チクショウチクショウなんとしても娘の花嫁姿を見るぞ、息子を成人させる、ぞといい聞かせながら寒い日は目からボロボロ涙が、風の強い日は砂が目に入り目が開けられない。
雪の日は膝まで埋まりながら一歩一歩、行きは江の島に向かって、帰りは夜明けの富士に向かってひたすら歩いた。毎日新橋に迎えに来てくれた若い者の車は止めた。会社まで歩いた。

斬ったり刺したり撃ったり撃たれたりしていた頃、死ぬなんて事はどうって事はなかったが初めて命が惜しい、死んだらマズイと思った。

幸いいい知人、先輩、友人そして何よりタフで優しい一致団結の会社の幹部を始めスタッフが支えてくれた。

来年六月二日から八日、人生の集大成といえる画期的な展覧会を東急文化村一階ギャラリーで行う。それまではくたばる訳にはいかない。

娘は28歳で結婚し、息子は22歳で結婚した。



近頃子が親を、親が子を育てる事を放棄する残酷な事が日常茶飯事として起きている。
何とも痛ましい事だ。みんな何かせねばならない時ですぞ、世のため人の為に。

2010年8月27日金曜日

湘南の嵐便り 「見立て」


生け花の世界に「見立て」というのがある。

立派な花器、由緒ある花器でなく、割れた花器や壊れた籠や流木や死に絶えた葉っぱ等に花を生けるのである。



千利休は特に竹を見立てたと伝えられている。
実に侘びさびがあり、一度死んだ物に命を宿らせる事が出来る、つまりいい花器はそこいら中に落ちていたり捨てられたいたり流れ着いているのだ。

要はそれを見立てる人ブツのセンスといえる。
一片の枯葉に一輪の花、その仕上がりが瞬時にイメージ出来るからだ。



リストラ社会で大切なのは見立てだと思う。
それを仕事としている人は再発見、再活用のプロフェッショナルだ。

先ず話し方、その次に目の輝きを見る、髪の手入れを見る、足許の靴の手入れを見る、ワイシャツの手入れを見る、口許の締まり具合を見る、ネクタイとスーツのセンスを見る、フリースタイルの場合は更にセンスを見る。

おおよそこれだけでこの人は再生できるかを見立てられるという。
学歴やキャリアをひけらかす人物には興味ないという。
逆に私は会社から捨てられた人間ですから的な雰囲気の人もいけませんねという。私がよくいく海辺のカフェでそんな話をした。

私なんかどうでしょかね、何か使い物になりますかねと聞くと全然無理。
私も壊れ物、いいセンスの人が花を生けてくれたら結構行けるかもよと再度言うとダメダメ、生ける花がありませんよ、今のまま枯れ果てて下さいと言われました。


2010年8月26日木曜日

湘南の嵐便り 「貢ぐ女」


ゴルフを教えるプロに江連忠という人がいる。

上田桃子、佐伯三貴は江連氏のところを離れた、というより別れたのかもしれない。
江連氏はこの頃、諸見里しのぶを教えている。



鈍臭かった女の子がドンドン女性ぽくなっている。
ゴルフ以外のレッスンも受けているというのが業界の定説らしい。

優勝の副賞のショベルカーを江連氏が主宰するゴルフアカデミーに寄付、チーム江連事務所のリビングにある大型液晶テレビも諸見里がプレゼント、その他にも色々愛をプレゼントしている。



今年不調なのはゴルフ以外のレッスンが影響しているのではという業界スズメも多い。
女の戦いはそれは凄まじいものであるという。
勝てば可愛がって貰える、優しくレッスンしてくれるからなのだろう。

勝って貢ぐ女がいい女子プロゴルファーなのである。
試合前、試合後などは異様な化粧の臭い、香水の匂い、汗の臭いで鼻をつくとゴルフ記者が言っていた。

通常レッスンプロはその賞金の10%と聞いた。
一億なら一千万円というところか、ただし契約は複雑でもっと貢がされるという。

芸者に例えるとレッスンプロは置屋のヤリ手ババアで選手は芸者さん、勝っている内は花よ蝶だが、勝てなくなればお座敷がまるでかからなくなった老桜となる。

中々に辛く厳しい。
プライドと誇りと女の性をかけた猛烈な戦いの世界なのだ。

九月にある女子プロと食事をする予定だ。
勿論仕事の打合せである。