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2012年9月7日金曜日

「絶望名人」

 


「絶望は愚か者の結論なり」と言った人がいた。
時代は絶望的な事件が相次いでいる。

ここに一冊の本を紹介する。
この一冊を読むとしばし絶望から解放される。
本の名は「絶望名人カフカの人生論」という。フランツ・カフカ20世紀最高の小説家といわれている。
ユダヤ人商人の子、生涯独身、生前は無名、「変身」「城」「審判」「失踪者」などを遺す。 
192443歳結核にて死亡、労働者傷害保険協会勤務。出版しても本は全く売れなかった。

超不眠症であった。鬱の様で鬱ではなく自殺は試みなかった。
「ぼくは人生に必要な能力を、何ひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない」
「将来に向かって歩くことは、僕には出来ません。将来に向かって躓くこと、これはできます。一番うまくできるのは、倒れたままでいることです」
「誰でもありのままの相手を愛することは出来る。しかし、ありのままの相手と一緒に生活することは出来ない」
「いつだったか骨を骨折したことがある。生涯でもっとも美しい体験であった」
「僕は37歳、もうじき38歳です。でも不眠と頭痛のせいで髪がほとんど白くなりかけています」
「僕の人生は、自殺したいという願望を払いのけることだけに、費やされてしまった」
「生きることは、たえず脇道に反れていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない」等々読むほどに絶望的になるのだが、不思議な力が沸いてくるのだ。

カフカは朝起きたら一匹の虫になっていた「変身」を書いた。
きっと不眠でありながら夢をみていたのだろう。私も超不眠、考える事が多々あって昨晩はほぼ起きていた。
この17年間ぐっすり眠った日は一日もない。だから人より一日を長く使える。
ただカフカの様な小説を書く才能が全くないのだ。

朝四時三十五分四十三秒朝刊が来た。
三匹の金魚にエサをあげたら大いに喜んでいた。
金魚は眠る事があるのだろうか。飛鳥新社/定価1,429+税。弱さという巨大な力を知る事ができる。






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