黒澤明の名作に「生きる」という映画がある。
余命半年と宣告された市役所の役人がどうしても公園をつくりたいと思い、その実現を目指す。
だが自分が長年勤務していた役所とは実に厄介な所であった。
“役所”というから色んな役をする所がある。○△局、○×課、□△係、それから更に□×局、××課、△□係と書類は回され時間が過ぎていく。
そして有名なシーンになる雪降る公園のブランコで、主演の志村喬が「命短し恋せよ乙女」を歌う。
むかし運動会に障害物競走というのがあった。
ヨーイドンすると、はじめに平行棒、次に網くぐり、次に水たまり越え、次に米俵の中に入る等と続く。
私は今、ある開発のお手伝いをしているのだが、正に「生きる」の映画の如く、むかしの障害物競争の如く、次から次に役所の壁が出てくる。一つの役所にどっさりクリアしなければならないシステムがあるのだ。
どうしたら早く事が処理できるかではなく、どうしたら時間が多く掛かるかとなっている。
「蜘蛛巣城」という映画も黒澤明であった。
何か一つ世のため、人のためになる事をするには、正に蜘蛛巣城を攻める寄せ手にならねばならない。
映画では寄せ手は体を木の葉で隠してじわじわ城に迫った。
有識の材を集め、戦略、戦術を身にしっかり備えねばならない。
東急ハンズに行って木の葉をどっさり買って来る事としよう。