平成二十八年一月十二日、「400字のリング」のゴングが鳴った。
一年経つと壁にへばりつけた時計は二分遅れている。
テレビ画面の下に置いてある時計は三分遅れている。
正しく時を教えてくれているのはJ-COMのデジタルな数字だ。
このまま行くべえと決めた。直すのが面倒くさいと思い、また遅れた時間と付き合うのもいいなと思った。電池が切れればそこで直すとする。
新橋演舞場の前に喫茶店がある。
一月八日、午後四時頃新春歌舞伎を観るお客さんで超満員であった。
レジ前には何人もが並んでいた。原因は一人の中年女性が珈琲一杯分の勘定を払うのに、大きな鞄の中をガサゴソ、ガサゴソ財布を探し続けている。
混んでいるのだから席にいる時に用意しておけば早い、みんなそうしていた。
何やってんのヨォとか、何やってんだヨォと言いたげな人がガサゴソを見続けた。
で、私はみんなの代わりに言ってしまった。何やってんだヨォ、と。
やっとこさ財布を引き出し1000円でお釣りをもらったその女性は、今度は自動扉の前にずっと立ったまま。押すことをしないからだ。
自動扉には押して下さいと書いてある。また、みんな何やってんのヨォ、何やってんだヨォ、と言いたそうであったから私が代わりに言った。何をやってんの、ソコ押すの、と。
中年女性は振り返って言った、“ウルサイ”と。
マズイ、今年こそこういう事は言うまいと心に決めていたのに。
だがしかし私が後を振り返ると、よくぞ言ったという顔をみんなしていた。
一月四日国会が始まった。安倍晋三総理大臣が、挑戦、挑戦、挑戦を24・25回(新聞によって違う)連発した。この国も挑戦するのか、北朝鮮が一発水爆実験をやった。
否、水爆じゃないとか、あーだこーだと、お決まりの軍事評論家や北朝鮮専門家(?)があっちこっちのニュースに出まくっていた。
誰も何も予想していなかったのだから大した専門家たちではない。
北朝鮮は今年中に重大事が発生するだろう。
中国が金正恩の兄貴の金正男を大事にしていた策が表面化するだろう。
政府官邸は衆参同日選挙を考えている。
が、私は大反対!と自民党の実力者二階俊博総務会長が九日のぶら下がり記者会見で言った。権力闘争がついに表面化した。
オセロは腹心のイアーゴーのひと言で嫉妬の炎を燃やし、やがて破滅する。
あちこちの記事で菅官房長官が次の総理かと書きだした(官邸の誰かが書かしているはずだ)。影にいるべき人間が光あたる人間になった事、気がつけば敵ばかりだ。
沖縄の宜野湾市長選で敗けたら、アメリカから使えないとの烙印を押される。
やり過ぎたツケは大きい。
分裂した山口組は神戸山口組勢が押し気味だとか、神戸県警と愛知県警の戦いでもあるようだ。◯☓界、◯☓団体、◯☓協会、◯☓教、◯☓組、人間が生んだ組織や団体は、人事と金の問題でガタゴトになる。
1945年ヒトラーが自殺する直前に秘書に語ったという言葉があるらしい。
100年後にナチスみたいなファシズムが台頭するだろうと。
予言通りだとあと30年後になる。
ドイツではヒトラーの「わが闘争」が注釈付きで出版されるとか。
報道ステーションの古舘伊知郎、クローズアップ現代の国谷裕子が三月で降板する。
次はNEWS23の岸井成格となるだろう。言論は自由でなくなった。
どーでもいい事だが、ベッキーという人気タレントが“ゲスの極み乙女”という変な名のミュージシャングループのメンバーと不倫してゴメンナサイ、スミマセンと謝っていた。
“私以外私じゃないの”不倫相手が生んだヒット曲だ(天才的だな)。
快楽と絶望、愛とは罪つくりな行為のことなのだ。
日経平均株価が戦後初めて大発会から連続で大暴落。
アベノミクスという経済学上成功するはずのない一手は、将棋でいうところの悪手であった。同志社大学の「浜矩子教授」のいう通りアホノミクスとなった。
将棋でいえば、王様は詰んでいる、勝負でいえば負けである。
とはいえ私たちは生きて行かねばならない。
「人生はずっと、学生だ」今年はこの言葉を胸に勉強をして行きたいと思っている。
人の心の中がいちばんの学校だ。それ故新橋演舞場前喫茶店でのふた言を反省している。
「400字のリング」第一ラウンドは長くなってしまった。