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2015年12月21日月曜日

「ハーシーズのチョコレート」




あーあ、“すっからかん”だという状態を(おけら)という。
また今日は“ハイナシ”になった(無一文)ともいう。

先日亡くなった作家野坂昭如さんは「黒の舟唄」というヒット曲を唄った。
♪〜男と女のあいだには ふかくて黒い河がある それでもやっぱり逢いたくて エンヤコラ今夜も舟を出す…。そうです、男と女には永遠に近づけない距離がある。
それを知らず異常接近を図ると、男と女は水没する。

人間と競走馬との関係となると、男と女より遠い距離がある。
私は競馬中継を見るのは大好きだが、馬券は買わない。
今年のG1レースも次の日曜日の「有馬記念」だけとなった。
このレースはファン投票で選ばれたレース。千葉の中山競馬場で。
年末ジャンボ宝くじに夢をかけ、有馬記念に一発逆転をかける人々にとって正にドリームレースだ。
馬主とか、お金持ちの人々は自分の愛馬や好きな馬に一票を投じて競馬を楽しむ。
が、そうでない人々は、どんより、まったり、ひんやりしながら黙々と新聞片手に予想をする。モクモクと煙草の煙を出しながら、缶ビールやワンカップを片手に。

人間が願うように馬は走りません。ダミ声の予想屋さんは馬券を買いません。
人のこころ馬知らずだが、当たる人も沢山いる。
おけらやハイナシになった人たちはトボトボとガックリ肩を落として歩くのです。
JR下総中山駅と中山競馬場までの約2キロを通称「おけら街道」という。
負けた悔しさやかすりもしなかった予想紙への怒り(競馬評論家も)、を背中にしょって重い足取りで歩く。そこに人生の縮図がある。

今年一年世の中のレースといえば、八百長の連続、ウソばかりであった。
景気は低迷、大企業は不正ばかり、異常な犯罪が続発、警察官、公務員の不祥事、教育者たちのハレンチ行為の連続、格差拡大はついに山口組の分裂まで引き起こした。
人間と人間の間には、深くて遠い海があるのだ。

ともあれエンヤコラ 今夜も生きている。人間生きてる限りは、死んでない。
人生というレースを進まなければならない。
“おけら”や“ハイナシ”にならないためには、やはり知恵を出し汗をかいて働くしかない。
今年も残りわずか、ゴール間近だ。落馬をしないように気を引き締めよだ。
最もハズレ馬券のような人生もまたいいもんだ。
エリート街道を走っていた人間が何人も落馬している。

昨日野坂昭如さんの葬儀があった。
戦争は一日で始まる、そんな民主主義の危機を語っていた。
ウソ2万パーセントの橋下徹と嘘八百の安倍総理が3時間近く会食をした。
この国は、憲法改正というレースに向かってヒタ走っている。
但し、この憲法改正という馬には、実は獅子身中の虫となりつつある者が手綱を握っている。この人間が落馬する日が必ず来る。
自分こそが名馬と勘違いをする策士は策に溺れる、コレは歴史の常なのだ。

愚連隊の大スター、安藤昇さんが亡くなった。かつて渋谷はこの人の街だった。
プロ野球でいえば長嶋茂雄、プロレスでいえば力道山だった。
ヤクザ者が憧れたヤクザのようなヤクザでない愚連隊であった。
畳の上で死ねたのは、その人間的魅力といえるだろう。
八十九歳、特上の男の人生であった。あの世で久々に伝説の花形敬さんと会うのだろう。渋谷のハッピーバレーでもらった、ハーシーズのチョコレートの味は忘れない。

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