「ポレポレ東中野」といえば、ドキュメンタリー映画の聖地だ。
本橋成一さんという世界にその名を知らしめているドキュメンタリー映画の大作家がオーナーだ(だと思う)。
一階にカフェレストランがある。
ビルの最上階に本橋成一さんのオフィスがあり、地下一階が映画館だ。
座席数は150席位である。
本橋成一さんとポレポレ東中野についてはネットで検索してほしい。
ここで書くのは先週友人三人で見た「ヤクザと憲法」という日本映画史上初のドキュメンタリー映画のことだ。またまた東海テレビの制作である。
公開以来ずっと満員状態、それ故ロングランにつぐロングランである(2/26まで)。
大阪西成地区を縄張りとする、指定暴力団二代目東組系二代目清勇会の事務所にキャメラは入った。東組の構成員は約250名、清勇会は27名であった。
「わしら人権ないんとちゃう?」がチラシのキャッチフレーズ、暴力団対策法から20年—「社会」の淵が見えてきた。
「ヤクザと人権をめぐる、東海テレビドキュメンタリー劇場第8弾」がサブコピーであった。
東京に本社を構える民放各社はお手軽なバラエティに視聴率を求めて、ドキュメンタリー番組を殆ど自社制作しない。
日本テレビの日曜深夜とフジテレビの日曜午後にあるのだけが続いている。
二代目清勇会の会長が15年の実刑を受けた殺人事件が暴対法のきっかけだと言われている。組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年を実の子のように可愛がるオジキ。組員の逮捕、家宅捜索、キャメラはヤクザ者の日常をずっと追う。
バクチといえば野球賭博を電話で受けてるシーンだけ。
殴り合いのケンカもハジキでドンパチもない。
若頭主催の幹部会は8人、その日の議題を出し静かに会はすすみ、そして終わる。銀行口座はつくれない。子どもの給食費が引き落とせない。
ヤクザ者に人権はなく、反社会勢力といわれ追い詰められている。
事務所内にある“任侠道”の大看板を背負って二代目清勇会は、やさしく、仲良く、時々怖く一日を送る。
ディレクターとおぼしき若い男の声で、マシンガンやハジキはないのかなどといろいろ質問をするが、テレビの見過ぎとちゃうかと笑う。
出てくるヤクザ者たちはみんなどこにでもいる人間と変わらない。
ヤクザ者の子がヤクザで生まれてくるはずはない。
親をヤクザに持った、政治家も、経済人も、教育者も、芸能人も、スポーツ選手もたくさんいる。出てくるヤクザ者とフツーの人間との違いといえば、目が決して笑っていないことだ。ファッションと歩き方がちょいと違う。
話題沸騰につき、上映延長決定!!と大きく書いてある。
ちなみに観客の中にヤクザ者はいないようだった。私たちがそれに間違われるほどだ(?)。実録じゃなくて「これは本物のヤクザの世界でキャメラが回る」チラシのもう一本のキャッチフレーズ通りなのだ。
このブログを書いていたら、元プロ野球選手のスーパースター清原和博が覚せい剤所持で逮捕されたことをニュースで告げていた。
甲子園球児の憧れだった清原和博は、ヤクザ者よりヤクザになってしまった。
二代目清勇会会長はボディーガードなし、一人で小さな食堂に入る。
そこのおばさんは言う。警察はいざという時何もしてくれないんや、この人たちがキチンと守ってくれるんや。