一人の男がクロワッサンを食べていた。
このパンはなんでボロボロ崩落するのだろうか。
男のテーブルはパンの破片だらけだった。
一人の男がオムライスを食べていた。
このこんもりしたオムライスを食べている男は、なんで子どもっぽく見えるのだろうか。男の口の回りには赤いトマトケチャップがついていた。
一人の男がおでんの白滝を食べていた。
はじめどう食べるかと白滝を見つめていたが、男は絡みあった白滝を箸で上手にほぐし、やがてそばをすするように白滝をすすった。
皿の上に細い輪ゴムのようなものが残っていた。
一人の男がたこ焼きをお行儀悪く食べていた。
出来上がったたこ焼きを口にした男は余りの熱さに口の中でふぐふぐさせてゴクッと飲み込んでしまった。
食道を通過する頃、猛烈に熱くなり背中が痛くなり目から涙を流していた。
連れが背中を叩いていた。
一人の男が屋台のような店で出来たてのワッフルを食べていた。
お星様の変形のような形をしていたワッフルがアレッと割れて道に落ちた。
男はキョロキョロしていた、そしてそれを拾って口に入れた。
左手には残ったワッフルがあった。
一人の男が五目焼きソバを食べていた。
焼きソバの上にたっぷりと洋がらしがのっていた。
よくかき混ぜないで食べ始めた男は、洋がらしの固まりを食べてウギャッとビックリして喉元に手をやり、目をパチクリしながらコップの水を一気に飲んだ。
一人の男がスパゲッティを食べていた。フォークが上手く使えず、なかなかフォークにスパゲッティがからまない。
仕方なく大きな固まりを口に入れた、口の中からスパゲッティが緑色のピーマンと共に溢れ出ていた。
一人の男がうな丼を食べていた。
山椒の入れ物を持ってうなぎに向かってかけ始めた時、スマホがブルブルした。
それを見ながら山椒をかけ続けた。うなぎは半分山椒で見えなくなった。
男は山椒を箸で根気よくつまんで丼ぶりの隅っこに追いやった。
さあいざうな丼と思ったらまた、スマホがブルブルとしていた、その後ヒーヒーした。
一人の男が冷やしカレーうどんという不気味なものを食べていた。
半丼ぶりみたいな入れ物に黄色いカレーが入っていて、そこに白くて太いうどんを入れてすすっていた。熱くないから食べやすいやと油断していたのか、箸からうどんがズルズルと落ちてカレーの入れ物の中でバシャンとした。
グヘェ、男の白いシャツにカレーがババッとくっついた。
カレーをなめるとヒデェ〜ことになるのだ。
一人の男が寿司屋のカウンターでタコブツを食べていた時、急に大きなくしゃみをした。タコブツが口から飛び出し隣の人を飛び越して、次の隣の人の左腕にタコブツがブツかった。ブツけられた人は話に夢中になっていて気が付かなかったが、タコブツはしっかりカウンターの上にあった。
食は楽しい、食は嬉しい、食は人なり。
このエピソードの中に二つ私自身がいる。
あとは想像におまかせする。