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2013年8月2日金曜日

「午前三時のソーメン」


※イメージです


「畜生」という言葉が私は大好きである。
国語簡易辞典を引くと、鳥や獣など、家畜、人を罵るときに言う語とある。

私にとって畜生という言葉は自らへの励ましと明日へのチカラコブ(力瘤)である。
畜生負けてたまるか。
畜生アノ野郎許さねぇ。
畜生俺は何て馬鹿野郎なんだ。
畜生なんであんないい奴が死んじまうんだ。
畜生なんで人に出来た事が自分に出来ないんだ。
畜生なんで何もかも上手いかないんだ。
畜生なんでプレゼンに負けたんだ。

畜生!畜生!とずっと「畜生日記」をつけていた。
チキショウという人もいるが、チクショウの方が正しい。
私は痛い時は痛い、暑い時は暑い、寒い時は寒い、痒い時は痒いと何度も何度も正直に言う事にしている。その変わり畜生と後に続ける。
痛い、死ぬ程痛いでも畜生負けねえぞみたいにするのだ。
そうすると不思議に体に力が漲ってくる。

何故か「犬畜生」という言葉があるが猫畜生とか、鳥畜生とか、熊畜生とか、蛇畜生とかの言葉はない。犬は忠実な生き物、誠実な生き物、決して主人を裏切らないのに差別されているのが気に入らない。

かつて「泣いてたまるか」というドラマがあった。
渥美清が主演であった。「♪上を向いたらキリが無い、下を向いたら後が無い」丁度今がいいみたいな主題歌が好きであった。
それは市井で生きている人間たちが明日に向かって畜生負けてたまるか、泣いてたまるか、と心を期す日々の小さなヒューマンドラマであった。

人間畜生という言葉を持っていればきっと戦って行ける。
物の真理は細部に宿るというから、私はその細部を「畜生心」と思っている。

畜生それにしても蒸し暑い。
それにしても午前三時にすするソーメンのなんと美味しい事か。
それにしても人間は凄い、世界水泳のライブを見ていると、なんと地上27メートルから人間が4回転もしながら水中に落ちる。
時速100kmとか、ハイダイビングという新種目だ。
女性は20メートル。ドッバーンと足から落ちるとそこに黒い潜水士が待っている。
そして大丈夫、気を失って無い(?)OK(?)とか確認する。

畜生なんて根性ある奴等だ。全然負けてるではないか。
畜生なんて凄い奴等だ。 260万光年のアンドロメダ星雲をばっちり撮影する機械を開発するなんて。小さな事でセコセコ畜生というのは止めにするか。

一体地球って何で出来て、何で人間なんかが出来ちまったんだ。
畜生理科は1だったし、物理化学も1だった。畜生分かんねえ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして

昔、感銘した「灰とダイヤモンド」に興味を惹かれ
コラムを拝見させていただきました。

その他にもたくさん拝読させていただきましたが
簡潔で要領を得た文章と、
バラエティに富んだ内容の洞察力の高さに圧倒されました。

わたくしも拙いコラムやエッセイを趣味で書き散らしていていますが
このように表現できたらとうらやましく思います。

これからも楽しみに拝見させていただきます。