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2017年3月9日木曜日

「ヤッパ(刃物)とサバの塩焼き」




エリア・カザン監督の名作映画に「欲望という名の電車」というのがある。
今この国に起きているさまざまな出来事を見ていると、この国は「絶望という名の電車」に乗っているのではと思ってしまう。

深夜、布団の上に座り沈思黙考。
その日の自分の有り様を振り返ると強烈な疲労感と恥ずかしき思いが全身を襲う。
総理大臣夫婦が私人と公人の違いを分からず、教育者もどきはもどきすらでないエセ右翼、役人は役を放棄し権力の下でペロッと舌を出す。
野党などという存在はスピッツ犬の様に吠えるだけで、猟犬のように獲物を仕留められない。

愛するもの、恩義ある人々に少しでも役に立ち、常日頃の反省を込めて一途に生きて希望への電車に乗りたいと思っているのだが、欲望という名の電車に乗っている人間の、人とも思えない所業に顔色を失うしかないと悶々とする。
パンドラの箱の中にあったのは、たしか希望の二文字だったはずだ。
腹の底から笑うこともなく、心の底からの歓喜もない。
法の正義などという言葉は、粗大ゴミのように黒いビニール袋に入れて捨てられる。
反骨、反発などという言葉は薄ら笑いをしている。

チクショウ負けてたまるかと思うが、泉谷しげるの春夏秋冬の一説を口ずさんでいる。
♪~またひとつずるくなった 当分てれ笑いが続く 今日ですべてが終るさ 今日ですべてが始まるさ。
♪~明日という字は明るい日と書くのね、なんて唄った歌手を思い出す。

人に物事を相談する人にはストレスはない。
一升瓶に二升は入らない。背伸びは滅びる。
人のリスクを背負った人が報われるケースはこの世にない。

ある年私のところに借金に来た人間は、なんとタクシーで帰り、私が人の借金を背負っている時こんな電話をして来た。
ヒトゴトであまり無理しないでくださいよ、体を壊しますから。
録音スタジオで箱弁をスタッフと食べていたら、六本木の高級寿司屋からどーんと出前が届いた。何だこれは頼んでないと言えば、電話の主からだった。
バカヤローシメるぞと本当に怒ったのを思い出す。

スタッフは夜も寝ずにがんばっている。休日返上でがんばっている。
私もがんばろうと思っているが、実は大迷惑をかけているのではと、布団の上で黙考している。

売り上げという数字はこの世の数字の中でいちばんのヤッパ(刃物)だ。
午前一時過ぎ遅い夕食を食べ始めた、こんな気分の時はサバの塩焼きと、浅利の味噌汁に限るのだ。

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