東京西麻布に凄腕のマタギがいる。
その名は大島衛さん68歳。
自分で撃って仕留めた熊、猪、鹿、鳥類を刺身にし、網焼きにし、鍋にして食べる店を出している。
店の名もズバリ「マタギ」だ。又、漁船を持ち相模湾で漁をし新鮮な魚も出す。
長方形のテーブルの真ん中には灰を入れてあり、そこに炭を置く。又、個室式のコーナーもある。かなり広く30人は入れるだろう。横綱もチャンピオンんもアスリート達もここに来てパワーをつける。
その味絶妙、その効果絶大にして闘志漲る。元気のない人間も鼻血がブーと出る程だという。
どの肉も臭味はまるでない。柔らかく脂身がない、その力は深く広く体中に野性を呼び起こす、その味はたっぷりと内蔵に染み込む、北海道の熊などは松阪牛も飛騨牛も佐賀牛も束になってもかなわない。
ゴボウとの相性抜群で鍋は泣けるほど旨い。その後仕上げは水とんだ。味噌味に又、又、泣ける。
大島さんが我々の処に来た。白髪、筋肉降々、身長は175㎝位だ。
目が鋭く200mから300m以内ならほぼ外さないという。
3月30日(金)夜6時、5人で集まった。映画製作の打合せだ。
マタギ上がりの殺し屋と漁師上がりの殺し屋が主役、一人は九州出身の元不良グループ?のリーダ、今は劇団を主宰し銀座でBarを経営している指宿豪氏(通称レッツゴー)、その後輩というか役者仲間、現役のムエタイの世界チャンピオン、リヨン樺澤氏、群馬でジムを持っている。前橋から来てくれた。見るからに強烈だ。黒の革のスーツ上下。
それと180㎝以上ある監督の寺尾学ぶ氏、黒い革ジャンのプロデューサー、ヤクザ者よりヤクザっぽいキャスティングディレクターの江原立太氏だ。その四人と私だから知らない人は100%ヤクザ者の集まりと思ったであろう。
まずは顔合わせという場であった。
我々の場にマタギの大島さんが登場するともう大島氏の独壇場、その話はまるでマタギ小説そのもの。撃つ、殺す、解体する、手なずけた猟犬の話になるともう絶好調!なんでも紀州犬との交配から生まれた犬が最速、最強だと。
もうヤクザ風の怪しい五人組もたじたじ。最後の仕上げに水とん食べてウメーなどといって可愛く喜ぶのだ。
今度は肉食系ダイエットの人たちと、又デスクの女性と映画製作に多大な理解を持ってくれている広告界の売れっ子赤城廣治君と行こうと思う。鹿肉はいくら食べても、太らずその力を頼りに美しさが売り物の芸能人達がこぞって来るらしい。
8時30分すっかりお客さんでいっぱいになっていた。
超、超、超低予算の自主映画にしては豪華な味であった。映画ほど極上の獲物はない。