私の大好きな東海道線内のドラマが複雑になって来た。
上野東京ラインというのが生まれて、宇都宮とか前橋まで乗り換えなしで行くことが出来るのだ。ということは向こうから来ることも出来るのだ。
今までは、伊東行、熱海行、沼津行の乗客が旅行気分だったのでそれを警戒していればよかったが、これからは全てを警戒しないとならない。
湘南新宿ライン(高崎行)が大幅に拡大されたのだ。
通勤客と旅行気分客がごちゃ混ぜになった。
柿ピー、さきいか、塩豆、グリーンピース、笹かま、カラムーチョ、マヨあたりめ、魚肉ソーセージ、ベビーチーズ、サラミなどなどの臭いが充満する。
ワンカップ、氷結、のどごし生、クリアアサヒ、淡麗、スーパードライ、モルツ、一番搾り、ハイボールとなんでもあり。
お前ホントによくそんなにガリガリ、ボリボリ食べれるな、油っこい歌舞伎揚せんべいを食べながら缶ビールのロング缶をゴクッ、ゴクッ飲む隣の四十代男にいってやりたくなった。バタピーを袋ごと口の中に投入した。
私は夕刊を読んでいたのだが臭いと音が気になって活字が読み取れない。
前橋から伊東に向かっているようだった。
出張だろうか、何の仕事をしてるんだろうか、結婚して子どもがいるのだろうか、持ち家かマンション住まいか、クルマは何に乗っているのか、犬か猫を飼っているか、趣味は、血液型は、とどうでもいいことを考えてしまう。
いっそ話しかけてみようかと思うが意味がないから止めた。
これから先いろんな人物に会える楽しみが増えたと思えばいいんだと思った。
だが私は列車内の柿ピー系、歌舞伎揚系、カールおじさん系は苦手なのだ。
誰かに似ているなと思った。そうだソックリだ、大橋巨泉だ。
これから新入社員が研修などでどっと乗り込んで来る列車内はコンパみたいになる。
私はどこまで耐え忍ぶことが出来るだろうか。
コラッ、歌舞伎揚げがボロボロ落ちてるじゃねえか、ベタベタした指をナメてんじゃないよ、大橋巨泉。