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2016年2月3日水曜日

「話題沸騰!」



「ポレポレ東中野」といえば、ドキュメンタリー映画の聖地だ。
本橋成一さんという世界にその名を知らしめているドキュメンタリー映画の大作家がオーナーだ(だと思う)。

一階にカフェレストランがある。
ビルの最上階に本橋成一さんのオフィスがあり、地下一階が映画館だ。
座席数は150席位である。
本橋成一さんとポレポレ東中野についてはネットで検索してほしい。

ここで書くのは先週友人三人で見た「ヤクザと憲法」という日本映画史上初のドキュメンタリー映画のことだ。またまた東海テレビの制作である。
公開以来ずっと満員状態、それ故ロングランにつぐロングランである(2/26まで)。
大阪西成地区を縄張りとする、指定暴力団二代目東組系二代目清勇会の事務所にキャメラは入った。東組の構成員は約250名、清勇会は27名であった。
「わしら人権ないんとちゃう?」がチラシのキャッチフレーズ、暴力団対策法から20年「社会」の淵が見えてきた。
「ヤクザと人権をめぐる、東海テレビドキュメンタリー劇場第8弾」がサブコピーであった。

東京に本社を構える民放各社はお手軽なバラエティに視聴率を求めて、ドキュメンタリー番組を殆ど自社制作しない。
日本テレビの日曜深夜とフジテレビの日曜午後にあるのだけが続いている。

二代目清勇会の会長が15年の実刑を受けた殺人事件が暴対法のきっかけだと言われている。組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年を実の子のように可愛がるオジキ。組員の逮捕、家宅捜索、キャメラはヤクザ者の日常をずっと追う。
バクチといえば野球賭博を電話で受けてるシーンだけ。
殴り合いのケンカもハジキでドンパチもない。
若頭主催の幹部会は8人、その日の議題を出し静かに会はすすみ、そして終わる。銀行口座はつくれない。子どもの給食費が引き落とせない。
ヤクザ者に人権はなく、反社会勢力といわれ追い詰められている。
事務所内にある“任侠道”の大看板を背負って二代目清勇会は、やさしく、仲良く、時々怖く一日を送る。

ディレクターとおぼしき若い男の声で、マシンガンやハジキはないのかなどといろいろ質問をするが、テレビの見過ぎとちゃうかと笑う。
出てくるヤクザ者たちはみんなどこにでもいる人間と変わらない。
ヤクザ者の子がヤクザで生まれてくるはずはない。
親をヤクザに持った、政治家も、経済人も、教育者も、芸能人も、スポーツ選手もたくさんいる。出てくるヤクザ者とフツーの人間との違いといえば、目が決して笑っていないことだ。ファッションと歩き方がちょいと違う。

話題沸騰につき、上映延長決定!!と大きく書いてある。
ちなみに観客の中にヤクザ者はいないようだった。私たちがそれに間違われるほどだ(?)。実録じゃなくて「これは本物のヤクザの世界でキャメラが回る」チラシのもう一本のキャッチフレーズ通りなのだ。

このブログを書いていたら、元プロ野球選手のスーパースター清原和博が覚せい剤所持で逮捕されたことをニュースで告げていた。
甲子園球児の憧れだった清原和博は、ヤクザ者よりヤクザになってしまった。

二代目清勇会会長はボディーガードなし、一人で小さな食堂に入る。
そこのおばさんは言う。警察はいざという時何もしてくれないんや、この人たちがキチンと守ってくれるんや。

2016年2月2日火曜日

「違いが分かる人のネスカフェ」



ネスレ日本が2015年の新入社員の採用活動からエントリーシートをやめ、代わりに年齢、学歴、国籍を問わないインターネットを通じたテストに切り替えたという記事を読んだ。
「徳川家康が残した“最も多くの人間を喜ばせた者が最も栄える”という言葉の背景を説明せよ」こんなひねったお題を8日連続で提示して答えてもらうという。
その狙いは定期採用を通年採用にし、選考もインターンシップやディスカッションを重視するためだ。

門戸は広げるが、採用試験は易しくない。
官僚タイプの社員は不要、本当に入社したい社員を採るための手段だ。
官僚タイプとは前例踏襲型でチャレンジ性がなく、権力志向、出世肩書志向が多いという事だろう。
テレビ東京の名物番組「なんでも鑑定団」の制作責任者が、石坂浩二さんをジクジク追い込んで番組から降板させるのはその典型だ。
自分に逆らったり、文句言ったり、意見を出したりする人間を徹底的にスポイルする
学歴と肩書をひけらかし人を見下ろす。
日本経済の最大のネックはホワイトカラーの生産性のなさと、ブルーカラーの給料が上がらないことにある。日本ネスレの社長はそんなことを言っていたが、全く同感である。
つまり能書きは一人前、仕事は半人前の自称エリートたちだ。

同じ時期に、同じ服を着て、とりあえず内定をとるために、10社、20社、30社と面接をする。私はそんな学生さんたちに同情する。内定がもらえない学生さんは、せっかく個性があるのに見抜いてもらえなく、自信を失い、疲労感たっぷりとなる。


社会全体が知恵を出し合う時期に来ているのだ。
若者たちに夢も希望もない社会にしてはならない。
一年中いつでもいい人を求める、そんな社会でないと、あっとオドロクような人材は出て来ない。今、時代を動かしている人間は、規格外の人間たちばかりだ。
ところでネスレ日本は、私が応募しても受け付けてくれるのだろうか。最
もインターネットが使えない、現代社会において私は箸にも棒にもかからない使えない人間だ。

アメリカの大統領選の第一ラウンドがアイオワ州で始まる。
ホワイトハウスのトップに就職できるのは誰だろうか。
ヒラリー・クリントンは疲れ切っている。トランプはとち狂っている。
バーニー・サンダースは年をとっている。
だが「政治的革命」を起こそうというフレーズは若者たちを動かすだろう。
アメリカも人材不足なのだ。

日本は史上初のマイナス金利時代へ。
銀行にもっと金を貸せというが、かえって銀行は貸し出さないだろう。
何しろ自分たちの銀行(信用金庫とか信用組合も)の収益が悪くなるのだから。
日銀もまた人材不足なのだ。黒田東彦総裁は後世にその悪名を残すだろう。
マイナス、マイナスと言われると、気分がマイナスになってくる。
これから悪質な詐欺商法が出て来る。
詐欺師たちが、手を変え品を変え現れる。この世界は人材が豊富なのだ。
ウマイ話には裏がある。
※ネスレ日本の記事を詳しく読みたい人は、二月一日(月)日経新聞朝刊、9面「経営の視点」をぜひ。

2016年2月1日月曜日

「二月一日、月曜の朝」




その花に名はない。無名の花である。
しいて言えば雑草の花である。
物差しで測ってみると3ミリであった。
その黄色い花は満開であった。

十年ほど前に植木職人のご夫婦がどんぶり位の大きさの植木鉢を持って来てくれた。
小指ほどの太さの一直線の木が一本植えられていた。
櫨(はぜ)の木だと教えてくれた。40センチ位であった。
秋になると美しい紅葉となり、床に落葉した。
指で土の部分を触って固くなりそうだったら、水を少しあげるようにと教わった。
面倒な事はしない私だが、その木に水をあげ続けた。

数年前に植木屋さんが亡くなったが、その木は生き続けた。
私はその木を小林さんと名付けた。植木屋さんの名字である。
昨年その木は枯れて折れた。植木鉢の中に折れた残りがあったのできっと根があるのだと思い、捨てずに水をあげていた。小林さんと別れるのがつらかったからだ。

その鉢に雑草の葉が出てくるようになった。
手で触るとザラザラとした葉であった。
ガラス戸の近く陽の当たる場所に置いて水をあげた。
それを怠けると葉はぺしゃんこになり、水をあげると葉は広がった。

昨日の朝、水をあげようとすると、ポツンと黄色い花が咲いているのを見つけた。
ルーペで見ると野菊のような花弁であった。健気で美しいではないか。
こんな時、接写レンズをつけられるカメラを持っていたらと思ったが、使い捨てカメラしか持っていないので仕方なしであった。

一個100円のリンゴを五個買ってきて、一日一個を四分割にして小さな庭に置いておくと、野鳥やら小鳥やらが来てキョロキョロし、ツンツンと口ばしでリンゴを刺しては果肉をほじくっている。チュン、チュン、キュン、キュン鳴いて仲間を呼ぶ。
ここにリンゴがあるぞと。
図太くてずる賢いカラスと違って、小鳥たちはとにかく用心深くキョロキョロする。
少し突っついては飛び立ち、そしてまた来る。
小さな池の中の金魚たちは寒いのが嫌いで殆ど動かかない。
大・中・小、十二匹がじっとしている。一月は日曜で終わった。

今日から二月、月曜の朝が来た。
午前十時三十分、神奈川県大和市にある大和斎場で大変恩義のある会社(株)ザンターの会長の告別式があった。
日本初の南極観測隊やマナスル登山隊に羽毛服や羽毛シュラフ(寝袋)などを提供した会社だ。東洋羽毛工業(株)とは親戚関係である。

東京銀座一丁目oluha(オルハ)ショップの中にもザンターブランドの商品がある。
羽毛寝具も羽毛服も人間の命を守ってくれる暖かさがある。
ネットでザンターを検索してぜひお買い求めください。
東洋羽毛工業(株)は、羽毛製品のパイオニアなのです。

二月一日、恩人に心よりの感謝と御礼を込めてお別れの合掌をする。
3ミリの黄色い花はしぼんでいた。四分割のリンゴはきれいになくなっていた。
そこに小さな鳥の羽根があった。
鹿児島県出水市で鶴たちが北帰行をしたと朝のニュースで知った。
恩人の命も飛び立った。

2016年1月29日金曜日

「ある推論」

安土桃山城
大江教会※天草宝島観光協会より




これは推論である。
浅学な私の書くことだから学問的根拠は何もない。
九州長崎県の離島について少々調べることがあり、資料の写真を見ていた。

そこには教会の写真が多くあった。
建築のことなど全く分からないのだが教会の造りに特徴があることに気がついた。
どの教会も天空に向かっている。ロマネスク様式というらしい。

何かに似ていると思った。そうだ、織田信長が建造させたという安土桃山城だ。
日本の城で初めて天守閣を造った城だ。
通説によると信長は天守閣の下に広間を造り、そこに天皇を招き入れることとし、自らは神となりその上の天守閣に立つという説だ。

ここから私の推論となる。
織田信長は実はキリスト教を布教しようと思っていたのではなかったかだ。
信長が何故比叡山延暦寺をはじめ仏教徒を殺したか、老若男女を焼殺したか。
通説では天下布武のためにならない。自分に屈服しない。
仏門にいながら酒池肉林をしていて許せないという説だ。

信長はその頃すでに伴天連(バテレン)と言われた外国人たちを招き入れ、世界の動きを知っていた。
いずれ世界に出て行くには、仏教ではなくキリスト教である、そう思った。
つまり安土桃山城は信長が造った教会であったのだ。
天守閣は天に向かっている世界のロマネスク様式の教会とソックリに見える。
新しきもの好きの信長、旧態を嫌う信長、世界布武をと思っていた信長は仏教に興味なくキリスト教に興味を持ったのではないだろうか。
信長は自分自身こそが外国人たちが言う、全能の神であると思ったのだ。

信長の死後豊臣秀吉や徳川家康は徹底的にキリスト教を弾圧した。
それは織田信長の遺したものに対する恐怖ではなかったのか、そう思うといろんな歴史上のことに合点がいくのだ。
隠れキリシタンを題材に書いた、遠藤周作の「沈黙」の中にあるキリシタン弾圧の凄さは想像を絶する。
神を信じるとは、イエス様とは、マリア様とは、いい加減な私には何も分からない。
四月頃に長崎から五島列島を訪ねてみようと思っている。
その時長崎ちゃんぽんと皿うどんも食べてくる。あー全くだめな私なのだ。
歴史の推論は誰でも自由である。