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2022年12月24日土曜日

つれづれ雑草「ベラボーな話」

勝者には何もやるな、もう勝利を手にしているのだからと、アーネスト・ヘミングウェイは書き残した。勝負の世界ではよくやったと言われる敗者になるなと言う。サッカーのW杯全試合を見てつくづくそう思った。毎朝四時キックオフ、延長PK戦になると六時半位まで死闘を見ることになる。わずか1ミリの運に味方された国、わずか1ミリの不運に泣かされた国、サッカーは貧しき民たちから始まった。ある物知りによると、かつて海賊国家だったイギリス人が、奴隷として捕獲して来た人々を、もう使えないと処刑した時、その首を落とした。そして布袋や皮袋に生首を入れて、足で蹴りつづけたのが始まりだったんだと(諸説あり)。サッカーにはそんな血の塊りになったことへの復讐がある。試合ではなく戦争に例えられるスポーツは、サッカーだけである。民族と民族、宗教と宗教、支配していた国と支配されていた国との凄絶な戦争なのだ。イギリス、フランス、スペイン、オランダなどが、南米大陸に奴隷船の船底で櫓を引かして南米に渡りサッカーは南米に根付いた。命果て労働力として役に立たなくなった者たちは、生首が布袋、皮袋入りとなった。南米の子たちは道に落ちている石ころや、丸い木をボールに見たてて遊んだ。そんな中で、欧州のエリート選手をやっつける英雄を生んだ。ブラジルのペレアルゼンチンのマラドーナである。そして遂にその二人の英雄を超えた選手がでた。身長167センチとも言われる、リオネル・メッシだ。神の子といわれていたが、遂に「神」になった。ブエノスアイレスの人口の倍以上(500万人)の大群衆が、伝説の神と、その仲間たちを祝福した。本当のブラボーとはこれなんだと思った。一点差で負けたフランスは、怪物のような二十四歳の若者が、一人で全得点(ハットトリック)を叩き込んで、歴史に残る一戦で光り輝いた。九万人近い大観衆は、メッシ、メッシを連呼しつづけた。あらゆる重圧の中で神の子メッシは、神業を見せつづけ世界を歓喜させた。日本はどうかといえば、予選リーグで強豪ドイツとスペインを破った。1ミリの好運に恵まれた。その時長友佑都という選手が、インタビューのマイクに向ってブラボー、ブラボーと絶叫した。私はその時、こりゃダメだと思った。やはり決勝リーグで負けて、早々と帰国した選手たちは、な、なんとベスト16の成績なのに、首相官邸に呼ばれ、ブラボーと叫んだ。ブラボーじゃない、ベラボーだと私は怒った。この国はよく戦った敗者を称える。神風特攻隊のように。私たちの世界では一つの仕事を得るために、プレゼンテーションという大会がある。数社だけの時や二十社近い大プレゼンもある。大きなものは何ヶ月もかけて、あらゆることを徹底的にやる。説明時間は決められている。徹夜、徹夜をつづけ仮眠し、又、徹夜となる。ボー大な労力と経費がかかる。で、発表の日残念ながら二位でした。とてもよかったですよと言ってもらいました、などとなぐさめられても、敗ければすべては紙くず、粗大ゴミだ。二位でブラボーなんて言ったら追放される。新しい景色を見たいなどと情緒的な言葉を口から出しているかぎり、日本のサッカーは現状のままだろう。戦争を始めるのはたやすいが、退却はむずかしいという。退き口(のきぐち)という言葉がある。その一戦は敗けても、勝利した国に、次は相手にしたくない、とんでもない強さだったと言わせるのが、最高の退き口だ。来年のNHKの大河ドラマは徳川家康が主役。関ヶ原の合戦の時、敗軍の島津藩の一軍が、家康を目指して猛進して来た。有名な島津の退き口だ。小心の家康は肝を冷やした。島津恐るべしと大きなトラウマとなり、減封しなかった。明治維新は関ヶ原で負けた藩によって成された。島津藩、毛利藩、土佐藩、佐賀藩。いわゆる薩長土肥である。私の人生もいよいよ退き口をどうするかになった。かつてない、悩み苦しみの一年であった。黄金のトロフィーにキスをするメッシ選手に大きなヒントをもらった。涙が流れて止まらなかった。私にはもう行き場は一つしかない。第一の仕事がパーティ券売りのような、愚かな政治家たちによって、この国は再軍備の国となる。増税、増税で財務省は、ブラボー、ブラボーとなっている。目を覚ませ国の民たちよ。少しばかりの年金をもらって、一日一日今日は何をするかと考えるような、生産性のない人生の敗残者になりたくない。白い灰になるまで戦いつづける。あしたのジョーのように。今年の400字のリングは終る。錆びたナイフでも時代は斬れる。老害麻生太郎がワンポイントでも、総理大臣になりたいと真剣に考えているらしい。読売新聞の老害渡邉恒雄が生々しく政治に口を出している。二人があの世に旅立つのを、初夢の前に見ている。害虫は駆除されるだろう。ゴキブリホイホイとか、ルーチョンキことキンチョールによって。みなさん良い一年は期待できませんが、国を正すのは清き一票の力である。国家のベラボーな動きにしっかり関心を持って行動してください。英米人はこの国を独立国として認めていない。生首としてサッカーのボール代わりなのだ。故安倍晋三の死がそれを物語っている。未だに何も調査機関がない。ケネディ暗殺は今でも調査委員会がある。うさぎは何で亀に負けたか、それを考えよう。何故この国はサイテーの国になってしまったのか。私は世界と勝負する。
(文中敬称略)  




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