やんごとなきこと数多き日々、解決の糸口はなきに等しき事、いろんな難問が滝つぼに集まる水群のごとく流れ落ちてくる。やんごとなきことは、労多くして実りはない。♪~ 夜がまた来る 思い出つれて おれを泣かせに 足音もなく なにをいまさら つらくはないが 旅の灯りが 遠く遠くうるむよ……。と小林旭の歌などを聞く。♪~ 涙じゃないよと 言いたいけれど こらえても こらえても まつ毛がぬれる 君よりせつない この俺なのさ だから笑顔が ほしいのに さよならが さよならが 霧にむせぶ夜……。黒木憲を歌う。日本酒の「真澄」を一合飲みながら、♪~ 命に終わりがある 恋にも終わりがくる 秋には枯葉が 小枝と別れ 夕べには太陽が 空と別れる 誰も涙なんか 流しはしない 泣かないで 泣かないで 粋な別れを しようぜ……。石原裕次郎の歌を聞く。ミックスナッツの袋から次々とナッツを出し口に入れる。やんごとなきことの先にはもっと、やんごとなきことが待っている。長いトンネルを抜けると、そこはもっと長いトンネルだったとなる。♪~ 義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界 幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中で吠えてる 唐獅子牡丹……。高倉健を聞く。男は、「仁」と「義」と「筋」と「道」に命を懸けねばならない。若かれし頃ならば、体は命じるほどに動いたのだが。♪~ 病葉を きょうも浮かべて 街の谷 川は流れる ささやかな 望み破れて 哀しみに 染まる瞳に たそがれの 水のまぶしさ……。仲宗根美樹の歌を聞く。ある人は心冷たく ある人は好きで別れて 吹き抜ける 風に泣いてる。やんごとなきことばかりのこの世の中で、私自身がやんごとなきのことの中にどっぷりといる。私はYOROZU相談室をやっているが、私のYOROZU相談を聞いてもらえる人はいない。この身に流れる血の源は、仲間を裏切ったアノヤロー、今度会ったら必ず地獄の底まで道連れにしてやるという気迫だ。それがずっと私の心の支えだ。苦しみを共有する、楽しみも共有する。一人だけいい子になってはイケナイ。裏切り者が我が世の春と思っているところに、突然現われる。ある年、ある日突然にだ。暴力を使うことは決してない、ただ相手が来れば応じるだけだ。スイセマセン、ワルカッタです。この一言があればいい。それで仲良しになれる。やんごとなきことには、“裏切り”が多くからんでいる。それは、親子であり、兄弟姉妹であり、親の友と思っていた仲であり、誰れから見ても仲良き夫婦だったりする。親族一同はやんごとなきことの主役でもある。財産のある人間が死ぬと、法定相続人と称して、やたらに親族が増える。死体に群がるハゲタカやリカオンのように。昨日の敵は、今日の友、敵の敵は味方とばかりに、財産に群がるのだ。やんごとなき男と女の関係をどう切り離すか。これほどの難問はない。東大の入試より、司法試験よりも難しい。強力なアロンアルファで結びついた強固なものは、KURE CRC5-56をいくら注入してもスパッと別離しない。ならば自由にせよと思うが、やんごとなき相手は、DVを得意とし、その相手はDVを受けて耐えることを愛だと信じている。そして、それはある種の快楽となっている。今まで決して手にしてこなかった、大江健三郎さんの本を読んだ。先日亡くなったノーベル賞作家の本は、難解を極めていると聞いていた。「万延元年のフットボール」のページをめくった。本文全448ページ(解説別)どんな本かいなと読み出すと、11~12ページにこんな一文があった。 この夏の終りに僕の友人は朱色の染料で頭と顔をぬりつぶし、素裸で肛門に胡瓜(きゅうり)をさしこみ、縊死したのである。やんごとなきことであり、この一冊の本がこれからどうなっていくのか、期待を大いに与えてくれた。一日30ページずつを課して、昨夜読了した。無学の私には読めない漢字ばかりであり、辞典を横に置いて読んだ。四国のある山村で起きた一揆の話があり、その背景には朝鮮人への差別があり、フットボール(ラグビー)のチームをつくっている谷間の若者たちの暴動がある。生んだ子は生まれながらやんごとなき状況にある。妻と弟との姦通。弟と妹との少年少女時代からの近親相姦。暴徒の犯す集団の罪の連鎖。さすがに読みごたえがあり、その後、放心状態となった。今、この国はやんごとなき世になっている。夫婦がキャンプを楽しんでいたら、そこに巨大老木が倒れてきて、妻は死んで夫は重傷となった。何が起きるか分からない世の中である。銀座のママが参議院議員となった。その差わずか300票。“復讐は最高の健康法だ”と言った映画があった。“贅沢は復讐”だと書いた本があった。今の私を支えているのは、自分のケジメをどうつけるかである。私は今、大好きな船村徹の弾き語りを聞いている。♪~ 泣けた 泣けた こらえ切れずに 泣けたっけ……。チクショウ! 人生、負けてたまるかだ。(文中敬称略)
0 件のコメント:
コメントを投稿