ページ

2025年4月15日火曜日

400字のリング 「老人と山/小津の山」

楽観論者はドーナツの円型を見る。悲観論者はドーナツの穴の中を見るという。大阪万博の巨大ドーナツは、俺には各種の握り寿司を入れた、巨大な入れ物に見える。きっと、カジノ優先で世界的な建築家を困らせたのだろう。俺は人混みが大嫌いだが、世の中には大混雑とか、大渋滞が大好きというヒトビトも多い。♪~ こんにちは こんにちは 世界の国から……。故三波春夫さんの“歌”もない。自分の中に毒を持て、ゲ、ゲ、ゲージュツは、バ、バ、バクハツだ! と言った、故岡本太郎の“太陽の塔”もない。画竜点睛を欠くというが、正にその通りだ。雨がブルブル降る中で、万博会場に来て2時間以上並んで、回転寿司の“くら寿司”を食べるヒトビトに俺は恐怖を感じる。この万博で大儲けしたのは、トーゼン(当然)土地改良をした╳╳組や╳╳会、砂利運搬をした╳╳組や╳╳会、セメントや木材を受け持った╳╳組や╳╳会。工事全般を受け持った╳╳組に╳╳会、工事をする職人さんたちの手配を受け持った╳╳組に╳╳会。国内外のガテン系の人々を手配することを受け持った、╳╳組に╳╳会。それらを動かす╳╳党の╳╳議員たち。国会議員、県会議員、市町村議会議員などに、莫大な金がバトンリレーのように渡される。マネーロンダリングされた金は、つなげれば富士山の高さ位になるはずだ。╳╳組╳╳会の金庫の中は入り切れないようになるので、海外へと隠される。╳╳議員たちの、元ボスや前ボスや、そのボスに群がる小判鮫たちに食い尽くされる。そしてこの巨大ドーナツ、巨大寿司入れは会期が終ると解体される。その後巨大カジノが生まれる。その時また同じバトンリレーが始まる(すでに始まっている)テーマソングやシンボルとなる塔を作らなかったのは、カジノには不要だからなのだろう。╳╳組╳╳会、╳╳議員、元ボス、前ボスはシコタマ闇の金が入って来るので、勝ち組は勝ち続け負け組は負け続けて消えて行く。有史以来利権の生じる事には、極悪、中悪、小悪が発生する。地球上の国々で同じ事が繰り返されて来ている。それを学問上は、“世界史、日本史”というのだ。前週の金曜日(十一日)朝八時十五分にある人と待ち合わせ、九時から大切な話をするために、ロビーで会う事にしていた。東海道線はすぐにダイヤが乱れるので、朝早い大切な打ち合わせがある時は、ビジネスホテルに前泊する。木曜日夜は小雨であった。この日予約が取れない。ビジネスホテルはどこも空室なし(?)、料金もいつもの2倍以上であった。いつも迷惑ばかりかけている人が、ここが空いている、他はカプセルホテルしかないとの事だった。いいですよどこでも、朝六時に起きて、おつかい物を買うことが前日できてなかったので、東京駅で買う予定にしていた。そのホテルは東京大学の正門(赤門ともいう)のトイメン(まんまえ)の古書店の横を入った所にあった。会社の寮であったところを改良した、そんなかんじだった。全室禁煙の貼り紙、入り口脇にテーブルテント、外国人が三人煙草を喫っていた。電動自転車が数台あって貸し出していた。中東アラブ系の外国人が俺を目で追った。俺はヨォッ、ムハンマドと声をかけると三人は笑った。人間生きて行くのは、ツラク、ミジメでウシロメタク、大道芸人の一人旅の如くである。それでも世の中にバカの存在の意味をしるしたく旅をつづける。次は九州へ、帰って来たら尾張名古屋へ。そして北へ、南へ。芸人は芸を売って生きるのだ。だがその芸も人工知能AIの進化で、人間の芸は売り物が限られて来た。昨日深夜1961年松竹製作、小津安二郎監督の名作「麦秋」を見た。もう十回近く見ている。脚本は野田高梧と小津安二郎、先日ある批評を読んだ時、小津安二郎の映画は、“能の世界”だと書いてあった。そうか、そうだな、ワンパターンのようで、実は人間の心の中の、闇を静謐にえぐり出す。血を流さずに血を刺し殺すように。小津安二郎の映画の特徴は、悪人がでて来ない。そして、畳語的なセリフが多い。そうか、いいんだ、いいんだ、いいんだよ。いや~悪かったな、いや~悪かった、すまん、すまん、ほんとにすまん、とか。戦後六年後に日本の映画界は立ち直っていた。芸術祭参加作品を募っていた。╳╳ばかり、悪人ばかりの今の世に疲れた時は、小津安二郎がいいのだ。ちなみに、世界の監督たちが選んだ映画のベストワン、第一位は小津安二郎の「東京物語」である。そろそろ帰るか、そうですね帰りましょう。そうだな、帰ろう、帰ろう。鎌倉の海を見ながら老夫婦は、そんな会話をして映画は終る。桜の季節も北へ向った。小津の山を超えるのは誰れか。(文中敬称略)



 
 
 





0 件のコメント: