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2016年6月23日木曜日

「タコブツ」




一人の男がクロワッサンを食べていた。
このパンはなんでボロボロ崩落するのだろうか。
男のテーブルはパンの破片だらけだった。

一人の男がオムライスを食べていた。
このこんもりしたオムライスを食べている男は、なんで子どもっぽく見えるのだろうか。男の口の回りには赤いトマトケチャップがついていた。

一人の男がおでんの白滝を食べていた。
はじめどう食べるかと白滝を見つめていたが、男は絡みあった白滝を箸で上手にほぐし、やがてそばをすするように白滝をすすった。
皿の上に細い輪ゴムのようなものが残っていた。

一人の男がたこ焼きをお行儀悪く食べていた。
出来上がったたこ焼きを口にした男は余りの熱さに口の中でふぐふぐさせてゴクッと飲み込んでしまった。
食道を通過する頃、猛烈に熱くなり背中が痛くなり目から涙を流していた。
連れが背中を叩いていた。

一人の男が屋台のような店で出来たてのワッフルを食べていた。
お星様の変形のような形をしていたワッフルがアレッと割れて道に落ちた。
男はキョロキョロしていた、そしてそれを拾って口に入れた。
左手には残ったワッフルがあった。

一人の男が五目焼きソバを食べていた。
焼きソバの上にたっぷりと洋がらしがのっていた。
よくかき混ぜないで食べ始めた男は、洋がらしの固まりを食べてウギャッとビックリして喉元に手をやり、目をパチクリしながらコップの水を一気に飲んだ。

一人の男がスパゲッティを食べていた。フォークが上手く使えず、なかなかフォークにスパゲッティがからまない。
仕方なく大きな固まりを口に入れた、口の中からスパゲッティが緑色のピーマンと共に溢れ出ていた。

一人の男がうな丼を食べていた。
山椒の入れ物を持ってうなぎに向かってかけ始めた時、スマホがブルブルした。
それを見ながら山椒をかけ続けた。うなぎは半分山椒で見えなくなった。
男は山椒を箸で根気よくつまんで丼ぶりの隅っこに追いやった。
さあいざうな丼と思ったらまた、スマホがブルブルとしていた、その後ヒーヒーした。

一人の男が冷やしカレーうどんという不気味なものを食べていた。
半丼ぶりみたいな入れ物に黄色いカレーが入っていて、そこに白くて太いうどんを入れてすすっていた。熱くないから食べやすいやと油断していたのか、箸からうどんがズルズルと落ちてカレーの入れ物の中でバシャンとした。
グヘェ、男の白いシャツにカレーがババッとくっついた。
カレーをなめるとヒデェ〜ことになるのだ。

一人の男が寿司屋のカウンターでタコブツを食べていた時、急に大きなくしゃみをした。タコブツが口から飛び出し隣の人を飛び越して、次の隣の人の左腕にタコブツがブツかった。ブツけられた人は話に夢中になっていて気が付かなかったが、タコブツはしっかりカウンターの上にあった。

食は楽しい、食は嬉しい、食は人なり。
このエピソードの中に二つ私自身がいる。
あとは想像におまかせする。

2016年6月20日月曜日

「訂正」



昨日の400字のリングで大変な間違いをしてしまいました。
「源氏物語」の作者を清少納言と書いてしまいました。
正しくは“紫式部”です。
お詫びして訂正いたします。


浅学を恥じております。
読者の方からご指摘を受け、ドヒャーウヒャーと声を発し、どっと汗をかきました。
本日はこの大失態の反省を込めて休筆といたします。
今後共間違いがありましたらご指摘をお願い申し上げます。

昼に仕事場の側の中華店菊凰で食べた絶品の五目そばが体内を逆流しております。
870円でした。

「紫式部は」




ある高名な歴史学者がこんな事を書いていた。
「源氏物語」を書いた“紫式部”は極めつけの不美人であり、強烈に臭かったはずだと。

当時は部屋の隅っこのところに厠があった。
文を書く部屋には、汗と髪の毛につける油や自身の体臭、その上に塗りたぐる白粉の臭いが充満していたはずだと。十二単衣は臭い隠しのために一枚二枚と重ねていったものだ。
文机に向かった夜などはロウソクの煙が鼻の中に入りやがて煤となり、紫式部の鼻からは太い鼻毛が何本も出ていたはずだ。

「源氏物語」は不美人に生まれた自分の妄想文学であり、登場人物はすべて自分自身への夢物語であった。異様な臭いの中で生まれた異常な文学なのであった。
私はこの説をずっと信じている。
学者の名は確か、故桑田忠親教授であったと記憶しているがやや心もとない。

この頃列車の中でお化粧をする女性がヒジョーに多い。
過日は一人の中年男性の横にネムッたような顔の女性(二十七、八才)が座っていてずっとつけまつ毛をつけ、アイライン、アイシャドウを手鏡を持ちながらやっていた。
男性はずっと新聞を読んでいたが、女性が川崎で降りる時、目はパッチリ、まつ毛はカールされお人形さんみたい。薄いまゆ毛はクッキリとしていた。
それでも泉ピン子さんと林真理子先生を足して割った程度だが変われば変わるもので、男性はその顔を見てドキッとしていた。

今朝私が乗った列車の中にも同様の女性がいた。
私より前に乗っていたから平塚あたりから乗って来たのだろう。
私が下車する新橋までずっと化粧をしながらスマホをいじっていた。
終点籠原までやっているかもしれない。
手入れをしてもそれほど変わるとも思われないのだが膝の上に布の様なものを広げ、前の椅子の背から出したテーブルの上は化粧品だらけであった。

人間表面だけ化粧しても本当の美しさとは言えない。
やはり心の根っこを美しくしてほしいと願う。
ともあれ女性が美しくなることに反対する世の男性はいないだろう。

恋愛は女性を美しくする、ゴツゴツしている体さえやわらかくするという。
肩のラインと腰のラインに恋愛は現れる。紫式部はかなりゴッツイようであった。
例えていうなら、十二単衣を着たマツコ・デラックスさんだろうか。
いよいよ水着の夏が近づいて来た。

2016年6月17日金曜日

「両国の思い出」




日本国政府は2020年東京オリンピックに、外国人観光客を4000万人は呼びたいと計画しているらしい。さてこの外国人たちをどこに泊めるかとなると名案がない。
規制緩和によって民泊をかなり認めているが旅館業者は民泊に大反対!だ。

都市ではバンバン、ジャンジャンホテルを建てたり改装をしているが、ホテル不足は深刻なのだ。で、考えているのがラブホテルへの融資の緩和というか政府系金融機関に、もっと金を貸してやれやというススメだ。

ラブホテルのオーナーは言う、アテらラブホテルには銀行は金を貸しまへん、メガバンクなんかホンマ貸し出しません。ラブホテルの平均稼働率は50%位なんだとか。
外国人にとって日本に来る目的の一つにラブホテルに泊まりたいが、ベスト5に入ったりしている(?)確かな調査ではない、私的推測だ。

ラブホテルに融資をして、マットウな形式に改装させて観光客を泊まらせる。
この愛ある一次方程式をお堅い官僚が考えたとしたら、相当な取材を重ねたのだろうと推測する。政府の偉い人を説得するために文字通り、カラダを張ったのかもしれない。
もしかして役所の異性とか同性と。一人では積極的に泊まれない。
Oh!ゴージャス!Oh!ブラボーなんたるパラダイスなんて嬌声を発したのかもしれない。

フツーのホテルとラブホテルの違いは何か、
(一)18才未満はラブホテルに泊まれない。
一)フツーのホテルに休憩というちょい貸しはない。
さてどうなるのでしょうか、たった3週間位の東京オリンピックが終わった後、ホテルやラブホテルは愛を失った男女のようにスッカスカになるのだろう。
宴の後はむなしいものなのだよ。

天地左右前後舛添一色だったテレビは次のターゲットを探し、頼りになる「週刊文春」のスクープを待っている。テレビのニュースやバラエティは週刊文春サマサマなのだ。
オリンピックの巨大利権、巨悪の構図がいよいよ週刊文春によって書かれ始めた。
歴史は夜つくられるという格言がある。

ホテルにはラブがあり、ラブにはホテルが必要だ。
“ご休憩”の時間の中で様々なスキャンダルは生まれているのだ。
それにしてもラブホテルの平均稼働率が50%位とは少なすぎるのではないかと思う。
20代の50%位は童貞だというし、恋人はいないし、恋愛に興味ないというではないか。
「遊びをせんとや生まれけむ」古しえの人の教えを大切にして人間力を生んでほしいものだ。何!お金がないだと、休憩代位なら出してあげるぞ。

私が先輩に誘われて7人の会社の一員になった時、仕事場は両国であった。
目の前は友綱部屋であった。
その頃私は独身で練馬区土支田という所の畑の中の小さな建売住宅に母と住んでいたのだが、毎晩徹夜作業で帰れない。両国から練馬は遠すぎる。
で仕事場の道路の斜め向かいにあった怪しい旅館(?)の一部屋を月極で特別に貸してもらった。座敷あり、座布団あり、風呂あり、テレビあり、出前有り、通勤地獄なし、快適この上なしであった。疲れて眠い時、休憩しに旅館に帰った(徒歩三分位)。
後にも先にも私しかいないと旅館の主は言った。

ピカッと発想したら即実行するのが私の迷惑行動なのだった。
大相撲好きはここから始まった。あーあドスコイ、ドスコイ。
今日は花の金曜日、酒も女性も学校だから若者よ“ラブ”から学びたまえだ。