ある高名な歴史学者がこんな事を書いていた。
「源氏物語」を書いた“紫式部”は極めつけの不美人であり、強烈に臭かったはずだと。
当時は部屋の隅っこのところに厠があった。
文を書く部屋には、汗と髪の毛につける油や自身の体臭、その上に塗りたぐる白粉の臭いが充満していたはずだと。十二単衣は臭い隠しのために一枚二枚と重ねていったものだ。
文机に向かった夜などはロウソクの煙が鼻の中に入りやがて煤となり、紫式部の鼻からは太い鼻毛が何本も出ていたはずだ。
「源氏物語」は不美人に生まれた自分の妄想文学であり、登場人物はすべて自分自身への夢物語であった。異様な臭いの中で生まれた異常な文学なのであった。
私はこの説をずっと信じている。
学者の名は確か、故桑田忠親教授であったと記憶しているがやや心もとない。
この頃列車の中でお化粧をする女性がヒジョーに多い。
過日は一人の中年男性の横にネムッたような顔の女性(二十七、八才)が座っていてずっとつけまつ毛をつけ、アイライン、アイシャドウを手鏡を持ちながらやっていた。
男性はずっと新聞を読んでいたが、女性が川崎で降りる時、目はパッチリ、まつ毛はカールされお人形さんみたい。薄いまゆ毛はクッキリとしていた。
それでも泉ピン子さんと林真理子先生を足して割った程度だが変われば変わるもので、男性はその顔を見てドキッとしていた。
今朝私が乗った列車の中にも同様の女性がいた。
私より前に乗っていたから平塚あたりから乗って来たのだろう。
私が下車する新橋までずっと化粧をしながらスマホをいじっていた。
終点籠原までやっているかもしれない。
手入れをしてもそれほど変わるとも思われないのだが膝の上に布の様なものを広げ、前の椅子の背から出したテーブルの上は化粧品だらけであった。
人間表面だけ化粧しても本当の美しさとは言えない。
やはり心の根っこを美しくしてほしいと願う。
ともあれ女性が美しくなることに反対する世の男性はいないだろう。
恋愛は女性を美しくする、ゴツゴツしている体さえやわらかくするという。
肩のラインと腰のラインに恋愛は現れる。紫式部はかなりゴッツイようであった。
例えていうなら、十二単衣を着たマツコ・デラックスさんだろうか。
いよいよ水着の夏が近づいて来た。
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