世の中には聖地なる処がある。
オリンピックならギリシャ、野球ならヤンキーススタジアム、テニスならウィンブルドン、ゴルフならオーガスタ、JAZZならブルーノート、同性愛ならサンフランシスコ、春を買うなら吉原、歌舞伎、新派、落語、能などあらゆる分野の数だけ聖地がある。
さて小演劇の聖地といえば下北沢、中でも本多劇場だと言いたい。
文学座や俳優座がこむずかしいエリートだとしたら、下北沢は“這い上がる”“のし上がる”何より演劇が好きなんだ、メシなんか食えなくたっていい、ヒモともいわれようと、親に勘当されようとどうってことはない、好きな仲間と好きな劇が出来れば何もいらない、下北沢には大小20位の芝居小屋があるという。
一度演劇に染まったら麻薬中毒よりも中毒性があってやめられない。
目の前にお客さんがいて芝居の反応が目で分かる。大劇場と違うから隅々まで見える。
お笑いの聖地浅草フランス座からスーパースターの芸人が出たように、下北沢からは、主役のようで主役でなく、脇役のようで主役である、そんな個性的役者が生まれ育ち、這い上がり、のし上がって来た。
下北沢全体が役者を育てているような気がする不思議な処なのだ。
昨夜午前七時〇五分開演午後八時四十分終りの劇を見た。
「東京乾電池創立40周年記念本公演」だ。
六月二十二日(水)〜二十九日(水)迄。
柄本明、ベンガル、綾田俊樹+山地健仁、40年前ベンガルさんがバイトをしていたビアガーデンのステージが空いているから何かやらないか、その時便宜上つけた名前が東京乾電池だと知った。
ベンガルさんには拙作の短編映画に出演していただいていたので何はさておき本多劇場に行った。劇の内容や出来不出来はここでは記さない。
時間をつくって是非行ってほしい、といってもチケットは完売状態、昨夜もギッシリ満員だった。
好きな仲間と好きな芝居、うらやましいではないか、人生何より好きなことをやりなされだ。劇を見る前に好きでない人同士のややこしい話をたっぷり聞いていたので、余計にいいな、いいなと思った。
やだな、やだなの中からは、人のためになるものは決して生まれない。
ベンガルさんよかったですよ、東京乾電池さんおもしろかったですよと大拍手を送って本多劇場を出た。
一緒に行った下北沢通の二人が「魚真」という魚料理の店に連れて行ってくれた。
ここがまた美味いのなんの、毛ガニと岩ガキ、お刺し身などをごちそうになってしまった。銀座四丁目にもあるとは知らなかった。鮮度抜群であった。
底辺から這い上がる役者人生に乾杯だ!(文中敬称略)
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