自分の金を自分の口座に振り込むのに、自分であることを証明せよと言われて、結局自分が自分であることが証明できずに振り込めなかった。
六月九日午後二時四十五分頃、私は虎ノ門の交差点のところにある銀行に行った。
六月十日に自分の口座に振り込みたいことがあったからだ。
溜池から歩いたせいか、その日がかなり暑かったせいか銀行に着くと汗をかなりかいていた。一階に中年男の係員が立っていて気持ち悪いほどていねいに本日のご用はと言った。
この銀行に来たのは何十年振りかであった。むかしは富士銀行だった。
中はずい分変わっていて振り込みをしたいのだけどと言うと、どちらへと聞くから横浜銀行へと言った。
金額はというから◯×万円と言うと十万円以上ですねと言う。
機械入力の仕方はというから知らない、やったことはないと言った。
それではお二階へとエレベーターのボタンを押してくれた。
二階に行くと中年の女性が来て気持ち悪いほどていねいに一階で聞かれたことと同じことを聞いた。保険証とか、運転免許証とか公共料金の請求書はと言った。
あっそう保険証のコピーを取ったのがあるよと汗をふきふき、バインダーを開いてポケットの部分から出した。
ちょっとお待ち下さいと言ってカウンターの方へ行って何やらゴニョゴニョ話をして戻って来て、保険証のコピーでも大丈夫ですと言って振込用紙の書き方を教えてくれた。
私どもに口座はというからないよと言った。
横浜銀行のカードはと言うから持ってない、家の奴が持っているよと言った。
振込用紙を書き終えた時は三時少し前であった。
袋に入ったお金を出して一枚二枚と数えて出したところ、四十代か三十代の終り位の細い女性がスミマセン保険証のコピーでは駄目なんですと言ってきた。
なんだよさっきこの人がコピーでいいって言ったじゃないかと言うと二人揃って気持ち悪いほどていねいに誠に申し訳ありませんと言った。
歯医者さんはコピーでOKだよと言うと、私共は歯医者さんではないのでスミマセン、何か本人確認できるものはと言うから、またバインダーを出して広げた。
飲み屋の請求書や寿司屋の請求書や映画のチラシとかがザクザクと出て来たが役立つものはない、もしかしてカードを入れている財布の中に何かあるかもとそれを出す。
いつも使用しているカードや忘れていたようなカードやTSUTAYAのカードや松屋のカードやらが何枚も出て来た。まるでトランプをしている様であった。
すでに三時を回っていた。ゴッツイ男が二人私を見ている。
女性客が二人いたのが帰り支度をしている。
こういう事が一人で全く出来ないので散々な目にあった。
オレオレ詐欺が多いので厳重なチェックをするらしい。
結局次の日の朝、愚妻が横浜銀行へ持って行った。
なんだこれがいちばんカンタンで早かったじゃないかと思った。
自分が自分であることを証明することを携帯しないといけない、銀行預金に残がなくなるので。電気料金の請求書があった、これだなと思った。
虎ノ門の銀行のカメラにきっと不審者として残っているだろう。
何しろ風体もフツーじゃないアロハな男だったから。
虎ノ門といえば“ハングリータイガー”というパスタ超ウマ、超安、超行列、超手順スムーズ店を最近知った。是非オススメです、行列していてもアレよアレよとお客は回転する、それを体験するだけでも行く価値あり、お店のプロフェッショナルたちの動きを。
銀行とはえらい違いだ。
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