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2016年6月24日金曜日

「前略、殺人者たち」



確定死刑囚たちが恐れる法務大臣は死刑執行の判子をバンバン押す大臣だ。
内閣改造などがある時死刑囚は、“ツル”を使って情報を集める。
ツルとは隠語である、何がしかの金や物品で人の心をツルから来ていると思っているが確かではない。諸説ある。
刑務官や房に出入りする食事係などにツルを渡し、今度の法務大臣は誰だか教えてくれというのだ。タカ派かハト派かが関心となる。

ハト派といえば名は鳩山邦夫で代々鳩山家に継がれてきた大切な言葉は「友愛」である。だが、鳩山邦夫氏は法務大臣史上最も多く死刑執行の判子を押した。
確か十三人だったと記憶する。
この大臣が在任中は死刑囚たちの朝はいつも以上に怖ろしい朝だったのだろう。
六月二十一日鳩山邦夫氏が死去した。
うなるほどあるお金を蝶の収集に使ったようだ、本人もまた蝶のようにあっちこっちに飛び回った。

二十八歳で衆議院議員に初当選した後、連続十三回当選を重ねた。
以来自民党、無所属、改革の会、自由改革連合、新進党、旧民主党、民主党、自民党、無所属、自民党と飛び回った。
六十七歳で死ぬのは無念とあらゆる治療にその資産を使ったのだろうと思う。
地獄の底から死刑執行された者たちが友愛の心を持って早く来いよと呼んだのかもしれない。
死刑とは人が作った法による殺人であることは間違いないのだが、殺しても殺し足りない犯罪者は後を絶たない。

昨夜仕事仲間(女性プロデューサー)から借りた「前略、殺人者たち」という本を読んだ。週刊誌の事件記者の取材ノート。
著者は小林俊之という。
池田小事件・宅間守、秋葉原通り魔殺人事件・加藤智大、松山ホステス殺人事件・福田和子、連続幼女殺害事件・宮崎勉、奈良小1女児殺害事件・小林薫、本庄保険金殺人事件・八木茂、愛知資産家殺害事件・五味真之(仮名)、連続不審死事件・木嶋佳苗、熊谷男女4人殺人事件・尾形英紀、帝銀事件・平沢貞通、奈良母姉殺傷事件・畑山俊彦(仮名)これらの事件を取材し、また面会をした生々しい話が書かれている。

人間は怖ろしい、金は怖ろしい、情念は怖ろしい、孤独は怖ろしい。
持って生まれた性格は怖ろしい。フツーに生きている人間が加害者になるか被害者になるか、このストレス社会では紙一重の中にいる。

先日キラーストレスというNHKスペシャルを見たが、幼児期の有様が大きく影響をするという。“ミツゴノタマシイ(百)マデ”なのだ。
子は親たちの愛情を忘れることなく、親たちの非情も忘れない。

この世には「お金のある不幸」と「お金のない不幸」があるという。
チャップリンの言葉に「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇」という。お金持ちイコール幸福という決まりはこの世にない。
ところであなたは現在の法務大臣の名を知っていますか(?) 

(文中敬称略)



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