近江商人といえば「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしで有名である。
特長は店に居てお客さんを待つのではなく、いわゆる行商のように日本中に足を運ぶ。
近江商人は手ぶらでは帰って来なかった。
上方の商品を地方へ持ち下り、地方の物産を仕入れて上方へ販売しながら持ち帰る、ノコギリ商いといわれた。この効率の高い商法を“持ち下り商い”ともいわれた。
さらに近江商人は日本中の情報を収集していた。
ユダヤ商法も同じだ。
祖国なきユダヤ人たちは世界中に拡散しながら各国のあらゆる情報を収集、交換し互いに協力し合い財というカタチなき祖国を築いていった。
世界の主要なものはユダヤ人が握っている。
政治、経済、科学、娯楽、報道、スポーツ、何から何まで。
情報戦に勝ち抜いて現在がある。
かつて代々の将軍や権力者たちが近江商人を大事にしたのはいうまでもない。
あそこの殿様は浅学、短気だとか、あの殿様は好色放漫だとか、あの藩のある人物はやがて世に出るとか、あの地方の人間は勤勉にして教育熱心であるとか。
海、山、川、森林、田畑のすみずみまで知り尽くしていたのでその情報を聞いた。
いつの世も生きた情報が何よりの武器となる。IT社会もその延長上にある。
一つでも多く他の地に行き、一人でも多く他の人に会ってこそ成功の果実を味わえる。
商人の世界、ビジネス社会において“果報は寝て待て”は絶対に存在しない。
国を治めるということは、人を治めるということであり、日本は特殊な地形の島国であり、国土のほとんどが山脈という、世界一の山林国家であることを知り尽くさねばならない。空から見れば山が連なり、海に囲まれ、山からは血管のように川が流れる。
その隙間に村や町や街があり都市がある。
日本列島の下には地震帯がビッシリとあり、活火山は生き続ける。
戦国期の大名たちは“悪党”とも呼ばれたが決して乱暴者たちばかりでなかった。
血で血を洗い、領土を奪い合い手にした領土を守るには、治山、治水が何より大事なことを知っていて、ありったけの知恵を絞っていった。
さて、現在はどうであろうか、治山、治水、災害対策に与野党はない。
超党派で行動してほしいと願う。大地震、大火災、大津波、大洪水、大噴火、山崩れ、土砂崩れの連続から国や国民を守る知恵を出し合ってほしい。
むかし富山の薬売りの人が定期的に家に来た。置き薬というもので、薬売りの人が来ると薬箱を出す、そうすると“熊の胆”が減ってますねとか、虫下し◯×丸とか△□頭痛薬も減ってますと言って減った分を加えて帰る。加えた分だけお金を払うというシステムだった。
富山の薬売りの人は一軒一軒の家族構成、経済状況、健康情報を持って帰る事ができた。富山の薬売りの人が来てアメ玉なんかくれた。縁側に座りいろんな話をしてくれたのを思い出した。何故か“熊の胆”という小さくて黒く四角い胃薬を憶えている。
イケナイことをしなくなる薬はないだろうか、富山の市議会議員の面々はあったら飲んで治せ。