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2016年4月19日火曜日

「ナマズの唐揚げ」




北京から友人が帰って来た。一週間程の帰国である。
五年程単身北京へ俳優修業へ行った。
パリでもローマでもハリウッドでもない、北京なのであった。
四十歳の決断であった。
水槽の中や池の中の魚は自らが大きく育ってしまうとそこは狭くなり生きづらくなる。
それ故魚たちは成長を止めるという。

昨夜食事した後、親愛なる兄弟分が一席用意してくれた。
男三人で映画を語った。
北京へ行った友人は、以前製作した短編映画「灯台」の主役を演じてくれた小林成男さんだ。共演は松方弘樹さん、松雪泰子さんであった。

映画を語り合った場所は、最近作「狼の詩」で主役を演じてくれた指宿豪さんの銀座の店であった。九時頃に指宿さんが来て、男三人が男四人となり映画の話は盛り上がった。
日本という小さな池の中で生きている私たち日本の映画界は金魚位の大きさでしかない。

名作や傑作も多く出ているが、それは製作費の切り詰め工夫の賜物だ。
有能な若い人材が有力な“出資者”がいないために世の中にデビューできない。
予算をかけられるのは、漫画とか劇画が大ヒットした作品だ。
シナリオもしっかり読まない、何社かの“出資社”が製作委員会と称するものを形成し、金も出すが口も出す。有力な“出資者”とは映画に理解ある太っ腹の人だ。
金を出して口を出さない。何しろ映画でもうかることはアニメ以外は殆どない。
日本映画界の一年の興行収入は約2200億だ。

さて、北京から帰った小林成男さんは、中国大陸という大海でもまれてでっかいカジキマグロになっていた。巨匠張芸謀(チャン・イーモウ)監督の映画に出たり、中国の大スターが主役の連続ドラマ(全六十話)に出演していた。
すっかり中国語をマスターしていた。

中国は映画産業が大発展、年間の興行収入は約1兆円(前年比約50%増)にも及ぶという。一本大ヒットすると、2000億近い興行収入をあげるという。
富裕層の出演者たちが100億円、200億円と製作費を用意するという。
金魚とカジキマグロの話はなかなか接近しないが、話すほどに盛り上がって私の気分はナマズの唐揚げ位になった。

映画はみんなで夢を語っている時がいちばん楽しい。
小林成男さんは私に是非シナリオをと言ってくれた。お金はなんぼでも用意できますと。だが金魚生活に慣れてしまった私には、世界的スケールのシナリオなど書ける訳がない。でもシナリオのたたき台位は書けるかもと言って固く握手をして別れた。
せめてあと10年若ければと思った。

誰か我こそはと思う人はシナリオを書いてみてほしい。
若さはうらやましい、小林成男さんは中国の次はブラジルへと言った。
ブラジルの映画レベルはすごく高い。
指宿豪さんの店のには映画を映す画面があり、そこでビートたけし監督の作品「龍三と七人の仲間たち」が写っていた。地震が続く夜であった。

2016年4月18日月曜日

「イザヤ・ベンダサン」




結局私たちは何も学んでなかったようだ。
新潟、阪神、淡路、東日本、そして今度の九州における大地震において、被災者が求めるものは水と食糧とトイレと紙。常備食を用意してなかった人々はそれを求めて大行列を成す。せめて三日間から一週間分の水と食糧を常備していたらと思い改めて我が家を点検した(全然常備していなかった)。
マンションのロビーが避難場所になっていたのは学習効果だ。
いいマンションがあるところは安心があるのだ。

学校の校庭にパイプ椅子でSOSとカミ・パン・水を文字にして、空撮されているのを見てスマホやPCでの通信手段が発達しているようで、いざという時には役立たずになることを再現していた。
停電するとTVPCは使い物にならず、暗闇をさまよう人々はラジオが頼りだと言った。
毛布は一人一枚支給なので寒さと恐怖でガタガタと震えることになる。
デジタル社会は災害には弱いのだ。コンピューターが頼りだからだ。

米軍のオスプレイについて導入大反対と言っていたが、救援物資を届けることを頼むとなったようだ。被災地にオスプレイが墜落しないことを願う。

災害の担当大臣が私の住む選挙区から出ている代議士河野太郎氏だ。
国会中継を見ていると、殆どコックリコックリと居眠りしている、グリーンの蛍光色の腕時計が異様な気がしている。
何しろ我が茅ヶ崎のために目立った実績を残してくれていない。
なので私の気分は、ダイジョーブですかなのだ。茅ヶ崎の衰退は著しい。
未だにサザンビーチと加山雄三通りと、サザンオールスターズ桑田佳祐しか売りがないのだ。茅ヶ崎駅のタクシーの運転手さんたちはお客さんが減っているので他市へ移っている。

さて、こんな状況下で衆参同日選挙など出来るのだろうか。
何があろうとも安倍総理は同日選挙をすると思う。誰かが体を張って止めない限り。
被災地のことより憲法改正しか考えていないはずだから。

ずーっとむかしの大ベストセラーにイザヤ・ベンダサンという人が書いた「日本人とユダヤ人」という本があった。「日本人は水と安全はタダで手に入ると思っている」そんなことが書いてあった。確かユダヤ人の作家であったと記憶している。
※イザヤ・ベンダサン氏は山本七平氏のペンネームという説もあり、他の説もあり。

「セコムしてますか」というミスター長嶋さんの声がする。
「人間はパンのみにして生きるにあらず」というが、被災地ではパンのみでもあればと思っている人々は多い。タスカルブレッドを送ってあげたい。

さあ、起きてしっかり働いてください河野太郎先生。
パンは一人一個ですよという声が聞こえてくる。世の中は本当に一寸先は闇なのだ。
人と人がつながっていることで命を救えることを改めて知った。
「人」この一文字の大切さを学んだ。

2016年4月15日金曜日

「何度でもある国」



一度ある事は二度ある、二度ある事は三度ある。
つまりは何度もあるのが大地震だ。

昨年から防災関係の仕事のお手伝いをさせてもらっている。
防災学の高名な先生が言いました。
東京直下型地震、東海大地震は起きないほうが不思議なんだと。
今夜かも、明日朝かもしれない。こればかりは起きてみないと分からない。

あなたはもしエレベータの中で大地震にあって、1時間、2時間、3時間と閉じ込められたらどうしますか。近代的ビルは震度4で止まるらしい。
震度567となったらと思うとゾッとする。
高層ビルは1メートル以上も左右に揺れるという。

熊本で震度7の大地震が起きた。
日本列島は地震帯の上にひょいと乗っているだけだから。

東京都から「東京防災」という本が出てベストセラーのようになっている。
が、詳しく読むと詳しすぎてかえって分からない。
もっと子どもでも、お年寄りでも分かるように要約し簡単にして欲しい。
まるで防災学の教科書みたいなのだ。やはり防災について日常化しなければならない。
実施訓練に参加することが何より大切だと思う。

現在午前二時、報道ステーションを見ながらこの書き物をしている。
大地震発生、報道ステーションはずっと地震だけを報道中だ。
被害続々拡大中、家具の転倒で怪我した人が多発中、防災学の先生が言いました。
家具転倒防止をするだけで多くの命が助かると。

築城の名人加藤清正が造った熊本城の巨大石垣がガランゴロンと転がっている。
液状化も進む、怪我人や死亡者も増加、駅近の道路上では人、人、人が座って震えている。停電続々、新幹線脱線、避難所へ人が続々、火災発生、通信不能も、デジャヴだ。
何度も経験し見てきた光景だ。日本には絶対防災学を義務教育化することが必要なのだ。また防災学の訓練、エレベーター閉じ込めから脱出する訓練が絶対必要なのだ。

私がお世話になっている会社の社長が開発した“ポイレット”が必要だ。
エレベーターに何時間も閉じ込められたら、トイレの近い人はどうするのだ。
一人につき一枚のポイレットを必携すべしだ。
私はエレベーターの中で恥をかくのだけはご勘弁といつも思っている。

家具転倒防止は法律で必ずするようにと決めるべきなのだ。
今度原子力発電所がやられたら日本は放射能汚染で終わる。

2016年4月14日木曜日

「寄せ鍋の街」


人間の寄せ鍋とも言えるのが新宿ゴールデン街だ。
主に編集者、各種マスコミ記者、文学、芸術、演劇、芸能人、ゲイ、オカマ、ホモ、レズビアン、役者、ヒモ、お笑い芸人、手品師、占い師、その筋、あの筋の人間が夜な夜な大集合する。

抱き合い路上でSEXする男優同士は犬と同じ。
叫声、怒声、喚声、蛇のように絡み合う女優同士。
異様な世界、異様な酔い、異様な会話、異様なSEX、異様な暴力、異様な臭い。
それは朝まで続く。

ゴールデン街は情報交流の場、およそ名のある人間は実は日々不安でたまらなく、ゴールデン街に行けば誰かに会え、何かに接し、その夜は精神が高揚し少しばかり安定する。
暗闇では、男と男、女と女が抱き合い、歓喜し合い、まぐあい、うめき声をあげる。
私は余り好きでない街であった。仕事上仕方なく何度も行ったが吐き気をもよおした。
私は異臭に弱いので苦手なのだ。

ゴールデン街の主役は雑誌社の編集長や編集者だ。
彼等から情報を貰いたい、彼等の関心を得たいために接近密着する。
映画監督や劇の演出家も主役だ。アブノーマルがノーマルになる街だから気取っていると店のママさんから、テメェ〜気取ってんじゃないよ、なんて言われて追い出される。
一度、ウルセイババアと言ったらとんでもない高い金額を支払うことになった。
常連には安く、ひやかしには高い。
一度も行ったことがない者はママさんのお気に入り次第。
文芸評論家とか、映画や音楽、文学評論家、劇の評論家は準主役である。

ゴールデン街が真っ赤に焼けていた。いよいよ取り潰しになるかもしれない。
真新しいビルの中のゴールデン街もいいかもしれない。
空気清浄装置もついているだろうし、ホームレスのおじさんが放火したとか。
もう人間寄せ鍋は食べれないかもしれない。

人生とはごった煮なのだ。私が実際に見たことはとても書けない。
それは、それは、とんでもない世界だから。
ピーターの歌ではないが、人間は夜と朝の間に本性を表す。
人間の99%は変態あるいは変態気味だと思う。それが正常なのだ。
ゴールデン街は東大よりハーバード大学より優れた最高学府なのだ。但しとても臭い。

私の友人の七度目(?)の奥さんに、ゴールデン街名物の女性ママがいた。
何度か家に来てベロンベロンになるまで酔って、ありとあらゆる分野について口角泡を飛ばして朝まで話した。純粋で頭がよく読書家でとてもステキな女性だった。
その名をキヨさんと言った。五十代で亡くなった時、記事になった。
新宿ゴールデン街の名物ママ死すと。愚妻がつくる豚の角煮が好きだった。

2016年4月13日水曜日

「No.1に?」




出るぞ、出るぞと言いながらやっと出たと思ったら何だいこりゃ、まるで花園神社で見た蛇女みたいでないかい。

国境麻薬戦争の「今」を極限の臨場感でとらえたサスペンス・アクション。
アカデミー賞三部門ノミネート。本年度No.1、衝撃的傑作!他に類を見ない、最も野心的、脳と腹にズシンと来る。
などギョーサンの言葉につられて速攻で観た映画「ボーダーライン」に見事に裏切られた。

大好きなベニチオ・デル・トロは謎の男であった。
メキシコの麻薬カルテルの実態が遂に見られるのかと思ったのが大間違いだった。
ずいぶんと大げさに近づいて行くのだが、近づくほどに迫力不足になり、登場人物はいなくなり終いには一人で立ち向かって行くことになり、私的復讐劇となってしまった。


オドロシイ相手なのに何故一人だけ女性FBIがいるのか、それも全然鍛えられてない弱々しいFBIBARで買収されている警察と酒を飲み踊り、たやすくKissをして部屋に連れ込まれてしまい本気で抱かれてしまう。
あっ、と思ったら都合よく助け人が現れて途中で終り。
お前それでもFBIかとなってしまった。

ベニチオ・デル・トロは正体不明、CIAらしき人間が出てきたり、SWATや国境警備隊らしき男たちが重装備で出るが緊張感まるでなし。緊迫感もなし。
で、結局オドロシイ麻薬王の実態や、カルテルの実態は出そうで出ないままで、えっ麻薬王の大邸宅ってそんなに簡単に入れちゃうの、で、そんなに簡単に殺せちゃうの、なんでなんでなんでづくしで女房子ども殺して(麻薬王の)一人の復讐劇は終る。

バカヤロー1100円を返せよだ。
圧倒的クオリティに絶賛の声!何が正しいのか、何が悪なのかそこにボーダーはある。でもラインはない。デル・トロの存在は圧倒的だ。
作家・映画監督/森達也、他にも作家黒川博行/キャスター安藤優子/ジャーナリスト大谷昭宏等々が大絶賛だ。結局実態には迫らずにであった。

昨日あわてて行った私がバカでした。
でもこれはあくまで私の感想だから観る人によっては違うことになる。
なんで途中から個人的になったのかが分からないので観た人は教えてください。
映画はやはり、シナリオが命なんだとつくづく思った。
毎年一万人以上を殺す国家の中の国家といわれる麻薬カルテルの実態を知りたかったんだよなぁ。次は見逃していた「サウルの息子」だ。

駅弁の牛肉どまん中を買って食べたのだが、こちらも(?)であった。
これぞNo.1という人もいる。