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2013年1月17日木曜日

「白いシュミーズ」




大島渚監督が亡くなった。
私が敬愛してやまない芸術家だった。

同じ湘南に住んでおり、家も直ぐ近くだった。
辻堂駅でよく出会い、同じ列車に乗った。
雲の上の人であったので言葉は殆ど交わせない。

監督は体もでかく、顔もでかく、声もでかく、着ている服もでかく、背中に確かGANGと大きく文字が縫い込まれている服を着ていた。
手にいつも週刊プレイボーイとか、週刊モーニングとかの雑誌を持っていた。
品川駅までそれを読み続けていた。

フランスに起きた新しい波(ヌーベルバーグ)に触発された三人の監督が松竹に育っていた。当時松竹といえばメロドラマの代表、大船映画全盛であった。
そこに大島渚、篠田正浩、吉田喜重が頭角を現した。全てに挑戦的であった。

「青春残酷物語」は少年の私に衝撃を与えた。
佐々木功とか炎加世子とか、ビートたけしとか、坂本龍一とかデビットボウイとかあっと思わせるキャステングを連発し続けた。

「愛のコリーダ」で藤竜也と相手の女優とそのものズバリの本番シーンを撮った。
海外では無修正であったが、日本ではボカシが入った。
私は特殊なルートで無修正を見た。
芸術性を訴える大島渚とエロ映画だという国側の裁判となった。

今では全く問題外、ネット上では何もかも見れる時代だ。
女性に赤ちゃんを育てる聖なる乳房があり、男と女の交わりから可愛い赤ちゃんが生まれる。ヘアーがあるのだから何も隠す事はないと少年ながら私は思っていた。

私が最も好きだった桑野みゆき(全てが最高だった)という女優が川津裕介に木場の材木置き場に落とされる。水に濡れた桑野みゆきが白いシュミーズだけになる。
豊かな美しい胸が少年だった私の心を途方も無く刺激した。

桑野みゆきは中村屋という肉まんじゅうとカレーで有名な店の息子と結婚して芸能界から去った。その後一切マスコミに出ない。母親は大女優桑野通子だった。
私は未だに中村屋の商品は決して買わない。肉まんは井村屋と思っている。

虎は死して皮を残すというが、大島渚は死して崔洋一監督という才能を映画界に残した。TVのインタビューで涙を流す崔洋一を見て目頭が熱くなった。

ちなみに、大島渚の妻は小山明子、篠田正浩の妻は岩下志麻、吉田喜重の妻は岡田茉莉子という当時の看板女優であった。映画監督は何しろモテる、女優殺しともいわれている。殺し屋だ。合掌。

2013年1月16日水曜日

「漂えども、沈まず」




強風烈風、大雪乱舞する。 
114日成人式は若者達の前途を純白に歓迎する。

やがて大人社会の絶望的景色の一木一草となる。
悩め苦しめ、人を愛し人に裏切られ自己を研磨せよ。
一寸先の闇の中に希望の光を見つけるには深手の傷を心に刻み込まねばならない。
美しき女性に恋し、純真らしき男子に愛を捧げ、微笑の裏にある悪を知り、誠実の裏にある邪心を知らねばならない。
純白の路は処女の白肌の如くであるが翌日は見るも無惨な泥の路と化す。

年末見られずに取り寄せていたDVDを三本見る。
1、開高健の「漂えども、沈まず」、二時間。
2、N響の第九、やはり第九は12月末に聞かないとダメだ、一月だと第一であった。約一時間。
3、日曜美術館「葛飾北斎」約45分。
 その後映画を見続けたので録画してもらったTVを見た。

113NHK Eテレの「北一輝と大川周明」昭和維新についてが抜群に面白かった。
Eテレの“日本人は何を考えてきたか”シリーズである。
この手のドキュメントはNHKにどこもかなわない。

本屋に行っても読みたい小説が全くない。
文学自体が息をしていない。心肺停止状態だ。
親殺し、子殺し、イジメ、復讐、不倫、実際に起きている事件にねじ伏せられる犯罪小説の山、警察の内部告発、権力者の荒廃、進歩しない経済学の通説、御用学者たちの提灯本、視点が全く変わらない歴史本、最初の一ページをパラリとめくって一行読んだだけで終わりの小説もどきばかりだ。

一冊だけ買って読んだのが、今谷明著の「天皇と戦争と歴史家」、立花隆の巨著「天皇と東大」とはまるで比較にならないが3200円も支払ったので最後まで読んだ。
平泉澄(きよし)という狂信的自己陶酔学者(東大教授史上最も嫌忌された教授という)についての話であった。
学者たちは学閥の中から突き出る事が出来ない生き物である事を知るにはまあ35点という事だ。

小説家は100人いれば100の小説を書く、ただ一つ共通しているのは、「助けてくれという叫びだ」と開高健大先生は語った。
“小説家は自殺するかわりに旅に出る”という。

TVのチャンネルを変えると芥川賞作家の西村賢太がクイズ番組に出ていた。
受賞作は純文学「苦役列車」であるが、今や預金通帳にお金が振り込まれるのとTVに出るのがうれしいという間抜けなタレントになってしまった。

大雪の中行った文教堂はガランガランであった。
顔なじみの店員さんに本売れていると聞いたら、全然という返事であった。
文学の再生を願わずにはいられない。

過日、村上春樹は純文学かという論議になったが、さすが私の仲間、全員あれはアメリカ文学をパクった、ただの大衆小説だよという事で一致した。

成人した若者たちよ、純文学の主人公たれ、「魔性」の恋愛をせよ。
そして沈殿せよ。



2013年1月15日火曜日

「法の場に引き立てよ」




先公(センコウ)が大嫌いだった。
先公とは先生の事である。

中学時代の担任の“先生”は仲人を頼んだ位大好きであったが、その恩師以外は殆ど先公といって敵対した。卒業式の後に大嫌いな先公を音楽室や理科の実験室の裏に呼び出してボコボコにするのが卒業式の儀式として先輩たちから受け継がれていた。
それ故先公たちは卒業式が近づくと急にお上手をいって来た。

先公は生徒を選んで体罰を加えたり嫌がらせをしたり言葉の暴力を浴びせる。
だがしかし次の様な生徒には極めて弱気となる。
1、地位のある家の子。
1、金持ちの子。
1、PTA役員の子。
1、親が恐ろしい子(入れ墨や小指がない)。
1、寄付金の多い子。
1、美男美女の子。
1、勉強がクラスで上位の子等々。
それ以外の事は真逆な行動をする。

先公は必ず何人かの問題児も作り出す。
また片親、貧乏人とかモヤシだジャガイモだデブだブスだ運動神経サイテーだとかいって自分のストレスを発散する相手の子を作りだす。

大阪の高校で体罰だなどといって暴行傷害行為をした先公を許す法は無い。
もし人の子の顔を何発も殴ったりしたら即時逮捕される。何故学校の先公にワッパ(手錠)がかからないのか不思議でならない。
親は子を守るために絶対教育委員会とか学校とかにナメられてはならい。
 “目には目を”“歯には歯を”だ。

この頃親がおとなし過ぎる。
 日教組がこの国の先公をトコトン駄目にしてしまった。
ロリコン、盗撮、買春、痴漢、あらゆる破廉恥行為を繰り返す。
バンバンパクリ続けないと学校はよくならない。

日本の警察と日本の学校の保身主義、秘密主義、徹底的な隠蔽体質は同根である。
警察関係の不祥事が多いのも同じだ。

“オイ、テメエいいかここに来たらな、骨の一本や日本ヘシ折るのも俺等の好き勝手なんだよ、分かってんのかこのヤロー”と一本背負いを警察署内でくらった。
たかが喧嘩位ではじめて捕まった時だった。
勿論私は反撃して相手に頭突きと右フックを入れた。
相手の前歯が四本欠けた。しかし警察官は公僕だから電信柱と同じだ。
少々殴ろうが蹴ろうがせいぜい公務執行妨害にしかならない。

少年故に直ぐに釈放、何しろ喧嘩は両成敗だからだ。
14歳の秋すでに私はその手の法律に詳しかった。
やられたらやり返す、これは男の掟。親としての役目だ。
子の仇をとって親子の間は固く結ばれて行くのだ。法を犯す先公はどんどんパクる事だ。

学校は決して聖域ではない。
数少ない「いい先生」たちを守るためにも暴力的先公は一掃すべしだ。
ただ中、高校生の一番の相談相手は誰かとの問いに生徒たちは「先生」と応えた事を付け加える。

私はYOROZU相談室を開いています。
いつでも無料でイジメや飛行問題の相談にのっています。相談相手の居ない人は遠慮なくご連絡を下さい。

2013年1月10日木曜日

「ある役者」




人間の体には入り口と出口がある。
そこは最も不潔な部分といわれる。
入り口は「口」、出口は「お尻の穴」である事は万人が認める。
出口の話はここでしない。

人間はどうして接吻や口づけやKISSを平気で行うのであろう。
餃子と麻婆豆腐を食べた男女、焼き肉とキムチを食べた男女、どじょうと山ほどのネギを食べた男女、パスタと鹿のホホ肉を食べた男女、サバの塩焼きとおでんを食べた男女、刺身と生ガキを食べた男女、そんな男女が店を出て抱き合いKISSをする(中にはガムとかフリスクを携帯、モンダミンで誤摩化す男女もいる)。

人間の「口」は愛が接する入り口でもあり、美しい歌声を発したりするが、放言、暴言、失言、虚言の出口でもある。

ある高名な役者が知り合いの医師から顕微鏡で口内の病原菌を見せられた。
共演した女優は必ずモノにして来たと豪語していたその役者は、それ以来女性とKISSをしなくなったという(今90歳近い、息子が人気俳優だ)。
少々イメージする作品が頭に浮かび、男女のKISSシーンばかりが出る、“ニューシネマパラダイス”を見ていてふと年老いた名優の話を思い出した。

聖書に確かはじめに言葉があった。そんな事が書いてるのを聞いた事がある。
「口」は災いの元であるから気を付けよう。KISSは目にして。という化粧品のCMがかつてあったがこれからはそうするとしよう。

恋愛をしている男女よ、いちどずーっと相手の「口」を見続けてみよう。
実にシュールなのだ、人間の体とは。

何!今KISSの最中だと、ならば次へ向かいたまえ。

2013年1月9日水曜日

「一年の始まりはトイレ」






完璧に何もしない年の瀬であった。
何もしないで居る事は家中で邪魔な一個の物体に過ぎない。
ダスキンの大掃除隊と消毒隊が来て家中消毒しまくった。
クーラーも全て行った。

私がウイルス性胃腸炎(ノロウイルスというらしい)にかかりバイキンマンとされた。
四畳半の部屋に1218日から軟禁状態となった。
タオルは全て破棄、グラスは紙コップに、何しろ手洗いうがいとマスク着用を余儀なくされた。Xmasとお正月に五人の孫達が泊まりにくるのでもう大騒ぎ。私は枕芸者の様に枕を抱えて部屋の隅にじっとうずくまる。

食事はうどんとおかゆか、おじやのみ。
みんながチキンを食べているのを感じながらうどんをすする。

全日本トイレ入場回数選手権があったら優勝していたかもしれない。
検査の結果はノロウイルスではなく他のウイルスであった。
体の抵抗力が弱っていた時に風邪を引き、それがこじれにこじれ胃腸にへばりついたらしい。で、アレやコレやの薬を一ヶ月服用せよとの医師の指示であった。

1226日夜はどうしてもお世話になった方と会食の予定があった。
他の会食は全てキャンセルした。
一つだけあったが食事は焼き肉、私はクッパを半分程スプーンですすった。
酒はとてもまずく感じ10日間禁酒、一週間はワインを12杯のみ寝酒として飲んだ。
除夜の鐘をトイレの中で聞いたがそれはそれで風情があった?とにかく孫に伝染させたらいけないので愚妻は消毒の鬼と化してる。

11日〜5日、ひたすらビデオ屋で借りて来てもらった映画を見まくった。
昨年6月大親友を亡くしてから一番好きな事、即ち映画を見る事を止めていた。 
1228日友を参り1月になったら映画を見るからねとお許しをもらって来た。
お酒と恋愛は男にとって成長の源なので引き続き続けさせてもらう事を友にいった。

①へルタースケルター
②愛と誠
③デンジャラスラン
④スーパーチューズデー
⑤ニーチェの馬
⑥ファミリーツリー
⑦森崎書店の日々
⑧外事警察
⑨裏切りのサーカス
⑩るろうに剣心
⑪ロボジー
24時間
⑬アーティスト
⑭戦火の馬
⑮テルマエロマエ
⑯ヒューゴの不思議な冒険
⑰ステキな金縛りを見た。

それとWOWOWで制作した“贖罪”を前・中・後(ほぼ6時間)を一気に見た
 一日中映画漬けであった。

胃腸はまだ半快だが阿呆な愚妻はムーニーちゃんとか大人のオムツをつけて外にでたら、などとシラッといった。

で、オムツをしないで1月6日江ノ島神社に孫の病気平癒のお守りをもらいに行った。
カフェテラスで紅茶を飲み富士山を見ていると隣りに30代前後の五人組が座った。
男二人、女性三人。

俺さあ初めてデーとしたのよお、スッゲ美人でもうメロメロだったんだけどさあ〜、二人でモスバーガー入ったのよお、彼女タブルバーガーみたいなのを頼んだのよお、その食い方がヒデエのなんのトマトが飛び出すわ、玉ねぎははみ出すわ、口のまわりはケチャップだらけ、手もベチョベチョ、ティッシュでテーブルの上は汚いのなんの。
もう見てられないでがっくりしてメチャやんなっちゃった訳よ。
で、正月に会わないなんてメールが来たけどずっとシカトしてんだ。

私はさ〜今、年上の上司と時々イケナイ事してんだけどさ、この間といっても12日鎌倉で会った訳、二人で甘味処で有名な店に並んでやっと入ったのよ。
そこで彼はのり餅を頼んだよ、なんだかやけにモグモグしているの、それでアレーと思ったのよ。お餅に銀歯がクワガタみたいな形しててくっついているのよ。
うわーやだ大声出しそうになったけどお客さんが沢山だからじっと我慢したのよ。
やっとこさ店を出て、スミマセン家から急用があるので直ぐ帰って来る様にってメールが入ったのでここで失礼しますって走って逃げたの。

五人の会話をずっと聞いていたかったが残念ながら席を立った。
1231日応援していた内山高志選手がTKO勝ちした。
ボクシングはやっぱりキングオブスポーツだ。 

400字のリングを年の初めに送ります。
ちなみに見た映画の私的ベストスリーは一位愛と誠、二位ニーチェの馬、三位ファミリーツリー、順位外で最も私好みだったのは“森崎書店の日々”です。

失恋した若い娘が神田神保町で小さな古本屋を営む叔父さんの店にしばらく手伝いに行く。何もない、何も起きない、静かな古本との毎日。
新しい年が“森崎書店の日々”の様である事を願いたい。

経済界の面々が賀詞交換会でインタビューに応えていた。
そのメッセージを聞いていて経済人の底冷えする様な人間不足を感じた。誰も天下国家を考えていない。

NHKの“八重の桜”は私の大親友だった男の故郷会津が舞台で中々楽しめそうだ。
会津魂は今この国に一番欠けているものだ。
“ならぬものはならぬものなり”アベノミクスは麻生太郎のへらず口、放言失言を機に一気に崩壊に向かう。水と油、合わぬものは合わぬのである。
安倍VS石破は決定的に合わない。
乱、乱、乱。国民にとって聞きたくもないステップの足音だ。

2012年12月20日木曜日

「良き年を」




今年最後のブログです。

何が起きるか一寸先が見えない時代です。
どうか年の瀬を無事乗り切り良き年を迎えて下さい。

新年は10日頃から更新するつもりです。
365日は短い様で実に長く。
何事もあきらめたら実につまらなく。
決してあきらめずに前へ進めば、実に楽しいはずです。

ヘビ年はもっとヘビーかもしれませんが、長い物に巻かれないぞの根性で行けば、それもまた楽しいです。

2012年12月19日水曜日

「釣り堀のフナ」




漢の高祖劉邦は街の遊び人の様であったらしい。
日がなゴロゴロしていた。
このオッサンしかし魅力的でいい人間が周りにいた。
一方ライバル楚の項羽は何から何まで自らが指揮し先頭に立って行動した。

囲碁の世界に“着眼大局、着手小局”という言葉がある。
はじめに大局観を持って構想を練り、その後着実に手を進める。
指揮官が馬上に乗って先陣を切り戦って天下を取った人間は歴史上ない。

天才ナポレオンも織田信長も結局悲惨な最期となった。
徳川家康は何故天下人になったかといえば、臆病で戦がへた、その上ケチンボであった。三河武士が何故団結力があって人材豊富で強かったのかは大将を当てにしていたら自分たちは生き残れない、だから必死に戦ったという。

劉邦は女性好きであり誰でもよかった。それ故出費は少ないし嫉妬もされない。
項羽には虞美人草といわれた絶品の妻がいた。それ故出費は湯水の如くであった。
秀吉は美人好みの超面食いであったので結局それで滅びた。
家康は不美人好み、女性に身を滅ぼす事なく長生きした。
着眼は自分で、着手はそれぞれの人材へまかす。

私は予言する、安倍晋三は麻生太郎によって滅ぼされ、山盛りのストレスを抱え込み、また途中で倒れるだろう。
アレコレ、コマゴマ麻生太郎が口を出してオイラが大将となっている様だ。
周りには釣り堀のフナの様なスレた人間ばかり。

この先、二手、三手と先を読んだ人間がいずれ勝つ。
それは大臣になれといってもいやいや私などは未だ役不足、勉強不足、しばらく下の下で働かせてもらい国中を歩いてみます。こういう人間だ。
囲碁は黒と白の陣地取り合戦。これからは将棋の様に駒の性格を見抜き使い込んで一手一手慎重に攻める者が勝つ。

アクセク、アクセス動き回る安倍晋三からマイナスオーラが出まくっていた。
側近たちはみんな釣り堀のフナの群れどこか暗い、不気味、歪んでいるスレたズルイ顔ばかりだ。この国は右へ右へと傾いて行く。その先にあるのは誰にでも分かる戦争だ。
元総理大臣同士で軍は指揮官だらけでバラバラとなる。
隙だらけの軍で内部崩壊は必死だ。



2012年12月18日火曜日

「万歳とおでん」




熱狂と絶叫、土下座とお願い、涙と鼻水、豪雪の中白いまつ毛、北から南選挙戦は一党圧勝に終わった。

小選挙区比例代表並立制という分かりにくい方法が生むマジックである。
政治家は常在戦場という言葉を日々心にしている。常に戦場なのだ。

“過ぎたるは及ばざるが如し”という。
大惨敗した元政権党は、いきなり宝くじに当たった人々がやがて不幸を呼び、その身を失うというケースが多い様に実にそうなったといえる。

“成功の下、久しく居るべからず”ともいう。
俺はあるいは私は遂に成功したと思い日々の精進を忘れた瞬間からその身を失いはじめる。

今回大勝した政党も直ぐに大量の恩賞を求める昔の名前で出て来た元実力者の扱いに苦悩する。人事と論功行償は全ての人間を満足させない。座るポストの数には限りがある。
直ぐに不平不満の群れができて再び派閥政治となる。 

645年大化の改心以来政治とは戦いの歴史なのだ。
人は等しく狼であるという。権力を握った人間は直ぐその狼たちに付け狙われる。

幸い私がお手伝いした方は二人共当選された。一人は大勝利の側であり、きっとこの国を背負ってくれる方と思う。もう一人は大敗北の側であるが若き俊英でありきっと敗北した党の中でも光を放ち出すだろう。

漫画家のやくみつるが今回の選挙は12個に仕切られた“おでん”の様であったという。
政党と政策というおでんのネタが同じ出汁の中に入っていて何から食べようか迷ってしまった。確かそんな論評であった。
私的に付け加えれば10人のお客の内4人以上が結局何も食べず店から出て行ってしまった。

東日本大震災の復興という大問題を抱えていた選挙であったが、投票率は戦後最低であった。これは実に大問題といえる。候補者たちが戦後最低だったとは思いたくない。


それにしても選挙とは過酷なプレゼンテーションだ。
敗れ去った人々にメリークリスマスもない。あけましておめでとうもない。
あるのは敗北感と疲労感と選挙七つ道具と多くの借金などである。
常在戦場すでに次への戦いは始まっている。

若者よもっと政治家を目指しこの国をまっすぐにしてほしい。
幼き子たちの未来のために。
敗者だけに許されるものがある、それは次は勝者になる事ができるのだ。
山田洋次監督がこんな事を書いていた。この国から「普通の家族」がなくなってしまったと。勝者よ万歳に浮かれていてはいけない。万歳は別名「お手上げ」ともいう。

2012年12月14日金曜日

「ひもかわ」




街を歩いていると明らかにプラスオーラを発している人と、その逆にマイナスオーラをしっかり溜め込んでいる人がいる。

当然プラスオーラの人の後について歩くが、マイナスオーラの人が近づいてくると早足から急ぎ足となりやがて小走りになってしまう。

プラスオーラの人が本屋さんに入るとどんな本を読んでいるか気になる。京風のうどん店に入ったので何を食べるか知りたくなった。

オーダーしたのは平べったいひもかわであった。
なかなか薄味でお上品であった。
ハラハラとまぶされた鰹節が汁にしみ込んで風情があった。
紅白のてまりの様なお麩を口の中で転がして楽しんだ。
みたらし団子の二本目の二個を食べていた。

ダンダダーンと人が階段からすべる音がした。
なんとプラスオーラを発していた中年ロマンスグレーではないか。
 お客さん大丈夫ですかと女性店員二人と支配人らしき男。
プラスオーラは目からうっすら涙を流し鼻から赤い血が見えていた。
右手にしっかりお土産の“きんつば”を入れた袋を握っていた。

今日はどうも見立てが良くない日だなと思い残りの団子を食べた。
一階で買い物をしていた中年夫婦が二人共どえらいマイナスオーラを出し合っていた。きっとそのせいで引き落とされたのだ。私はその夫婦がいなくなるまで待っていた。

何かといろんな事が起きる季節です。マイナスオーラの人にはご注意を。

2012年12月13日木曜日

「終わって行く三人」




十二日神奈川新聞にこんなベタ記事があった。

「今年の社長」一位に日航の稲盛和夫氏、二位にソフトバンクの孫正義氏、三位はユニクロの柳井正氏だった。
産業能率大学が選んだらしい、何を基準に選んだのかは詳しく書いていない。

稲盛和夫氏は一度大病をして仏門に入って経営から一切手を引くといった人だ。
だが思いの他健康となると悟りを捨て、完全経済界に戻った。
東京の経済界ではあまり相手にされずそのうらみつらみで民主党に肩入れし、政権交代を果たしザマー見やがれ経団連となったが、その野望は民主党崩壊であえなく消えた。
権力への執念は仏門で捨てきれなかったのだろう、私は評価しない人物だ。

孫正義氏は生き急いでいる人だと思う。
若い頃肝炎をしたいわゆる肝炎→肝硬変→肝臓癌のキャリアである事を自覚しているのだろう。銀行の金は俺の金、一兆円二兆円はへのかっぱみたいなところがある。
どうせ一度は死ぬ身の体、借入金なんて俺の知った事かと割り切っている。
ソフトバンクは一代限り、経営というゲームを楽しむだけ楽しもうと思っているのだろう。
日本人でない人に一度日本の経営を任せてみてはと思うが、多分世界中の銀行から借り入れまくるのだろう。


人間はコンプレックスを巨大に正当化する。
我が世の春はそれほど長くはない。ハツカネズミはひたすら足を動かす。
丸い籠の入れ物がいかに大きくなってもハツカネズミ自体の大きさは変わらない。

アジアの労働力をコキ使って安物を売るブランドがどんなに大きくなっても、どんなに気取っても、ハツカネズミのブランドでしかない。

生きている限りグルグル回り続けそして終わる。とても悲しい生き物だ。
“日本人よもっと金儲けせよ、などと書いていた”経営者の第一の仕事は後継者を育てバトンタッチするかだ。

結局柳井一族だけが統治しやがて平家一族の様な末路になるだろう。
人格も、風格も何も感じない哀れな経営者だ。
ちなみにヒートテックは二枚買いました。


私は全国で一生懸命頑張っている社長たちにもしっかり目を向けてほしいと思った。
凄い社長がたくさんいるのだ。ゴマスリ大学よ。

三人に共通しているのは、コンプレックスに凝り固まったうんざりする程の金権主義者。天下国家を考えた渋谷栄一や小林一三や益田孝や井深大や本田宗一郎の様な事業家、技術屋、文化人としての実業家の素質はまるでなし。チンケな小遣い稼ぎのオッサンでしかない。
2030年後その会社の姿はないだろう。