(日刊スポーツより) |
人間は手に入らない物が手に入ったらどうするか。
例えばそれがお金なら先ずは「ルノアール」のモーニングセットを食べながら今日のゆで玉子はいい出来じゃないかとそれをポコッと口に入れる。
スポニチとか日刊スポーツを読む。
昼には「長寿庵」に行ってミニ盛り、ミニかつ丼セットなんかを声を大にして頼む。
夜には「お多幸」なんかに行って大根、ちくわぶ、糸コンニャク、ハンペン、ねぎまを頼む。更に串かつ辺りまでヨロシク!となる。
いいなぁこんな幸福はとつくづく思うのだ。
そうだ入らないはずだったんだから、牛すじとタコまで行くべしだ。
日本酒を一合冷酒でやってからハイボールだ。
持つべきものは親なる友なり。
十一月十八日(月)私は中学時代の同級の友と共に東京ドームに行った。
入らないと思っていたコンサートのチケットが友の凄腕に依り手に入ったのだ。
開演七時十二分。観客約五万人。
ウォー、キャー、ワァー、ドヒャーと総立ち。出て来ました、現れました。
「ポール・マッカトニー」がです。一曲目は、Eight Days A Week。
ウォー、ポール、ポール。もう説明は無用です。
九時四十分チョイ過ぎまで、全39曲、勿論ビートルズナンバー(28曲)となるともう東京ドームは大爆発です。1960年代に青春時代の中に居た人、人、人がもうその手が割れんばかりにバチバチ叩き合わせるのです。
現在日本で売上NO.1の新作「NEW」を真ん中に入れ、急所どころはレディ・マドンナ、レット・イット・ビー、ヘイ・ジュードで大合唱、イエスタデイで極上のしんみり感を味わうのだ。ポール・マッカトニー71歳最高!を友と共に連呼したのです。
音楽はやはりすばらしい。
一曲の中のワンフレーズで世界中の国境を越えて繋がる事が出来るのだから。
もう一人凄い男が居た。友の隣にオレンジ色のダウンジャケット、銀髪の外人女性としっかり手を握り合っている。年の頃は45歳位、中上健次とダンカンと崔洋一を足して3で割ったような感じ、この男ビールをしこたま飲み過ぎたのか、グワァーっと始まってから一時間三十分近くずっと眠ったままだった。
50000分の1の大物との隣合わせだったかもしれない。
アンコールは一度、二度、三度。もう二度とポールに会える日は来ないだろう。
友と東京ドームを後にしながら「ポール牧」があそこに出たら最高だったなと言ったら、バカ言ってんじゃないよと言われてしまった。
そうかな、指パッチンの芸人ポール牧とポール・マッカトニーのジョイントなんかいいと思うんだけどなぁー。ポール牧は自分であの世に行っちゃったけど。
ポール・マッカトニーは100歳でもきっとギターを左手で弾きながら、2ビート、4ビート、8ビートで愛と平和と明日への「NEW」を唄い続けていてほしい。
伝説は決して死ぬ事はない。
ジョン・レノン、ジョージ・ハリスンに捧げる歌を唄っている時、オーロラビジョンに若き日のビートルズのメンバーの写真が現れた。
音響、ビジュアル、照明全て第一級のコンサートだった。
チケットを入手してくれた御礼に東京駅八重洲口の居酒屋でアジと黒ソイの刺身を頼み、あんまりイマイチだったので水炊き二人前を頼んだ。こちらは更にイマイチであった。
友にまた借りが出来てしまった。最後のおじやがマアマアだった。
次は十二月十二日「矢沢永吉」をヨロシク!なのだ。
そうそう、来年三月にビートルズをそっくりパクッた「レットイットビー」という四人のメンバーが日本で公演する。世界中で大人気、みなさんぜひチケットを入手して下さい。
ビートルズにソックリです。見た目も曲も。
伊勢エビとバナメイエビの違いですがいい味出しているのです。