King of sports. スポーツの中の聖なるスポーツといわれているのがボクシングだ。
昨日400字のリングではなく本物のリングの前にいた。ボクシングの聖地後楽園ホールだ。
私がお世話になっている広告代理店のオーナーが応援している選手に声援を送りに行った。実は私はこの試合のことを失念していた。つまり忘れていたのだ。
私をサポートしてくれているプロデューサーの女史に、今日は福原力也さんの試合ですよと言われてギョッとした。
ヤバイ、マズイ、シマッタ、夜は人と会う約束をしてしまっている。
仕事場からお世話になっているオーナーに電話すると、みんな後楽園ホール2Fの後楽園飯店に集まっているんだよと言った。
前売りチケットはないけど当日券は未だあるらしい。
負けたら引退だからの一言がグサッと刺さった。
急ぎ会う予定の人に電話をして時間をずらしてもらった。
これから行くとオーナーに電話を入れた。
人の面倒を見ることにかけてこのオーナーの右に出る人はいない。
たくさん人を呼んでいた。
ボクシングは合法的に人を殺せるスポーツだ。
リング上で相手が死んでも罪にはならない。殺るか殺られるかだ。
同じ階級のボクサーがグローブをつけて殴り合う。
命がけだからお互いに相手に敬意を持つ、礼儀正しいスポーツの見本だ。
福原力也さんは前の試合でKO勝ちしランキング一位になったので、チャンピオンの防衛戦の相手として指定された。相手は世界ランカー、強打者で若い。
福原力也さんは全盛期を過ぎている。この試合に負けたら引退かも(?)。
甘いマスク、しなやかな体、鍛えられた筋肉、場内は力也コールに沸いた。
5Rで途中の採点がアナウンスされた。
1ポイント福原力也リード、右アッパー、左フック、右フックが入っていた。
相手はじっくりと左ボディを打ち続けた。スタミナが切れるのを待っている。
右フック、左ボディが力也選手の腹にめり込んで来た。
8Rたまらずダウン、9Rもダウン、ガクッと膝をつきカウントを聞く力也選手。
アリスの唄う「チャンピオン」の歌の世界になった。♪〜立たないで もうそれで充分だ おお神よ…。
しかし力也選手は立上がった。
悲鳴が、声援が、力也ガンバレー!力也選手の母の叫びが場内に響いた。
相手の応援もまた大きい、倒せ、倒せと。
最終回10R両者ちゃんとグローブを合わす。
力也選手最後の力を振り絞って左、左、右を出す。
共に打ち合う中ゴングが鳴った、試合は終わった。
採点はジャッジ3者共47対41でチャンピオンの勝ちであった。
挑戦者福原力也選手は、すぐにリングを降りず勝者のインタビューを聞きながらリングをゆっくり去って行った。
力也よくやったぞの大声援が上がった、きっとKOで敗けるそれほど相手は強かったのだ。福原力也選手は相手には負けたが、自分には勝ったのだ。
みなさん、あなたの仕事は痛いですか、顔面が腫れ上がり、鼻血がしたたり落ちますか。殺される程ボコボコに殴られますか。日々の仕事に泣きを入れてませんか。