この世にこんなに美味しい食べ物はなかった。
と言ったのは、美輪明宏さんであった。私は丸山明宏さんの方がなじみやすい。
ある食べ物番組のゲストとして、メケメケとかヨイトマケの唄で有名な美輪明宏さんが出演していた。先週の土曜日の夜十一時半~十二時であった。美輪明宏さんは長崎県出身であったから、やはり思い出の食べ物となると、チャンポンと皿うどんであった。なんだフツーじゃないかと思ったのだが、やはりフツーじゃなかった。
最も美味しいと思った一品として、目玉焼きと共に皿にのったコンビーフと言った。
(二つで一品料理)目玉焼きは実はむずかしいのだ。
例えば結婚してすぐにシマッタこの女性とは結婚すべきでなかったと思うのが、ある調査によると(私ひとりです)目玉焼きが上手いか、下手かにある。
白身の部分が円形か、あるいわ異型か、黄身の部分が固すぎないか、はたまたグニョグニョでないか。それは円形の白身のまん中あたりにちゃんとあるか否か。
又目玉焼きの引き立て役(あるいわ主役)としてコンビーフが何気なくあるか否か。
ロースハムエッグなどは邪道である。
又、目玉焼きにプチトマトとか、パセリやセロリ、いわんやレタスなどは論外である。
白い大きめな皿に、目玉焼きのみ、そのすこし離れたところにコンビーフが何気なくあるか否か。
美輪明宏さんはこんな目玉焼きをはじめて食べた時の思い出を語っていた。
コンビーフといえばなんと言ってもノザキのコンビーフと大六法、小六法全書に載っている(ウソです。)
私にとってはノザキのコンビーフ、それも台形が法律である。
何故台形になったかと言うと、保存性を高めるため。
面積が大きい側から肉を詰めることで缶の空気を抜き、肉の酸化を防ぐのだと、ノザキのコンビーフの人が言っている。11年にプルトップ式ができたが、やはり巻き取り鍵式でないとダメだとファンは声を大にして言っているらしい。
コンビーフは誰が考案したか知らないが、実にアイデア抜群の開け方ができるのだ。
黄身の部分にお箸の先かナイフでプチッと刺すと、かなりもったいぶって黄身が割れて、白身の部分にとろり、どろりとしたたり落ちる。
白身の円形のふちにはほんのりと焼きコゲがある。
目玉焼き三回にコンビーフ一回位のリズムで食べるとベストである。
私は目玉焼きをつくらせたらかなりのものである。
火加減が命、フライパンの大きさ、ちゃんと水平か。玉子を落とす高さ、油の温度。
フタをするタイミング、勿論油の量が決め手となる。
バターはダメ。ゴマ油もダメ。
日清オイリオ(綿実油)がいいのだ。
目玉焼きは一流シェフでもむずかしいのだ。ぜひやってトーライ。そしてノザキのコンビーフのご用意を。
ちなみに目玉焼きは一皿に一つが基本です。明日から一週間、少々とり混んでいますので400字のリングは休筆します。