その日、姉に連れられて一人の若者が私を訪ねて来た。
若者は現役のプロボクサーである。日本ランキングに入っていた。
お姉さんは私が通うからだリフレッシュ工房に勤める人。
カチンカチになった私の首、肩、腰をほぐしてくれるとても上手で優しい人だ。
若者は所属するジムから離れたかった。試合がしたかった。
ボクシング界は芸能界と同じ移籍は足抜けと同じ御法度であった。
どんなに酷いジムの会長でも一から教えてくれた会長から離れ、他のジムに移るのは至難の事であった。
目的のない練習は若者の心身を疲れさせた。
童顔でありパンチを受けていないのか色白の顔はとてもキレイだった。
会長は金を寄越せという。
私は弁護士と相談しあくまで法に従って身分を守る事、即ちボクサーはボクシングをしないと食べていけない事を主張した方がいいとお姉さんに言った。
どうやって解決したかは定かでないが12月12日、新しく所属したジムから試合に挑むと若者が電話があった。
色々ご心配かけました、頑張りますと。きっと応援に行くよと言った。
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