いつも行く店、行く処、いつも乗るタクシーの運ちゃん、白タクの運ちゃん、占いのお姉さん、磯辺焼きのオッサン、花束売るオバチャン、みんな口を揃えて十一月は酷くヒマだった。
十二月になればと思ったけどやっぱりチョボチョボだという。
あれだけの災害の年だから余程の神経の持ち主でないと盛り上がらないのだろう。
過日2人の親愛なる兄弟分と飲み会をした。
赤坂の和食屋さんから銀座へ、そして六本木へ。午前2時頃歌が始まった。
イエーイ、1人は日本コピーライター級チャンピオン、ご存知「兄弟船」を熱唱、もう一人は日本キャスティング級チャンピオン、いつも矢沢永吉なのに(レパートリーが多いのだが)小林旭の「ギターを抱いた渡り鳥」だ。
オカマ?のマスターはやさしくていいおじさん。同じ年位なのですっかり昔話で盛り上がり、お客さんは我々三人だけ。
イイネ、仕事の話や、お金の話は一切なし。
ただひたすら食えなかった頃の話、三畳間とか四畳半とか、洗面器で豚肉のすき焼きとか。
イイネ、イイネこんな夜はと別れたのでした。
何しろキャバレーに何の根拠もなくギターを持った渡り鳥が来る時代の話なんだから。
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