その雲の形はまるでいつか見た胃カメラで撮影した自分の胃袋の様であった。
その雲は次々と変形し、やがて胎児の様になっていった。
雲に常形なしという。
同じ雲が二度とない様に、人生に同じ日はない。
正岡子規は「秋の雲は砂の如く、冬の雲は鉛の如く」と書いていた。
「雲は天才である」と書いた石川啄木は借金の天才であり、嘘つきの天才であったという。
11月21日早朝の雲はやがて赤みを帯はじめやがて血達磨の如くなっていった。
不摂生と不規則が正しい規則の様な生活を重ね重ねして来た。
闇雲に生きて来た人生にケジメをつける歳にもなって来た
赤い胃袋の様になった雲に語りかけた。オイ俺の胃袋、お前には随分無理をかけたな、よくがんばってくれたありがとうよと。
晩秋から初冬にかけての雲が一番好きだ。
今は未だいくつかの戦いの中にいるプロのはしくれとして命を注ぎ込む。
青い空に白い雲がぽっかり浮かんでいる人生などは望むものでない。
また今日が始まった。
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