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2016年9月20日火曜日

「怒り?」

「怒り」という話題作を観た。
が、何に怒っているのかが分からずであった。
出るぞ出るぞと思わせながら、何も出なかったお化け屋敷のようであった。

後味はすこぶるよくない。
何かが足りない、超満員の観客は終わった後にみんなそんな思いであったようだ。

市橋達也が起こした、リンゼイさん殺人事件がやはりモチーフだった。
市橋達也は整形を繰り返し、女装をしたりして逃亡した。
肉体労働の現場などで働きながら男に体を売ったりして逃亡資金を稼いだ。
バイセクシャルであった。
一年以上無人島に潜んでいた。

監督・音楽・撮影が素晴らしい、編集はズバ抜けていい。全ての構図がいい。
ゲイ同士のパーティー、そしてゲイ同士のSEX、男の喘ぎ声が耳にへばりつく。
物語は淡々と進む、それは監督の狙いなのだろう。

住宅街を真俯瞰に撮影したシーンから入るのだが、きっと一軒一軒どの家庭中にも何かしらの問題が起きている、そして大なり小なり怒りが渦巻いているのだろう。


ある殺人事件の動機がよく分からず、それぞれの「怒り」の矛先が曖昧なのはやはり監督の狙いだと思うが、観客の側から見るとフラストレーションがたまる。
私に映画を観る目がないのかもしれない。

この映画と同じような群衆劇、何組かのドラマを同時進行させていく映画に「バベル」があった。
それにしても妻夫木聡という役者は凄い。
その妻夫木聡と綾野剛の全裸のベットシーンは、ゲイに映画の名作「ブエノスアイレス」を超えている。
すぐれたゲイ術であった。

作品全体が暗く重く分からない、きっとそれを狙っていたのだ。
やはり李相日監督は天才なのだ。

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