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2019年12月17日火曜日

「ナポリの隣人」

昨日深夜見た映画は、貧しさに負けた悲しき物語だった。♪ 雨降りしきる夜 空っぽの手が あなたを探す でも どこを探せばいいのか わからない かつて あなたは愛してくれた 今はただ雨が降る かつて あなたは話してくれた 今は沈黙があるだけ 声は凍てつき 泣くすべもなく あなたが去ってから 胸裂く思いが数知れず 灯る …… やがて朝が訪れ それも去ってゆく …… イタリア人女性歌手が、切なく、悲しげに歌う。ジャンニ・アメリオ監督の「ナポリの隣人」という映画は、イントロの歌でもう十分に泣ける私好みの映画だ。愛の歌はフランス語、イタリア語、そして韓国語がいい。ナポリという街の名を知ったのは、十代の頃であった。オールナ ルナ ナッポリ ターナで始まる月影のナポリという歌であった。その頃の洋楽は日本語に訳され、ジャズやシャンソン歌手、ポップスシンガーが、日本語と外国語とビビンバ(混ぜこぜ)にして歌っていた。私が一番好きだったのは、「刑事」という映画の主題歌であった。♪ アモーレ アモーレ アモレミィーオ。主人公の老刑事が名優ピエトロ・ジェルミ、犯人の恋人役がクラウディア・カルディナーレであった。この映画を観終わったときから、私は映画中毒者に完全になった。「ナポリの隣人」の主人公は、街になじまない無器用な34歳の男と貧しき親子、そして老弁護士であった。汝 隣人を愛せを守っている。初めてナポリに行ったとき、レストランで、スパゲッティナポリタンをオーダーしたら、チンとプンとカンがセットになった顔をされた。同行していたコーディネーターが、そんなのはアリマセーン! パスタ・トマトソースとオーダーねと言われた。それ以来私はパスタと言えば、ほぼメイドインジャパンのスパゲッティナポリタンになった。短編で映画も作った。イタリア映画はマフィアを題材にしたのがいいが、断然いいのが貧しい市井の民を題材にした作品だ。「自転車泥棒」を見たときは、ボロボロ泣いた。荻窪の小さな映画館だった。工事現場で働く、真面目で無器用な「ナポリの隣人」は、貧乏な父が、息子のために中古のおもちゃの消防車を、買ってあげようと思う。売っている男は200ユーロだと言う。しかし金がない。でも買ってやりたい。男は自分を追い込んでいく。老弁護士は貧しきナポリ隣人のために苦悩する。幸せは行く先ではなく、帰るところだと終わる。老弁護士の隣に引っ越してきた若い夫婦と二人のかわいい子は、無理心中をしてあの世へと帰る。7、8歳の男の子と女の子が、父親に梨のジュースが飲みたいと、せがむシーンが切ない。若い妻は美しい、いつかきっと誰かにとられてしまうのでは(?) と男は悩み苦しんだのだろう。の幸せ(?) を守りたい。四人がいた。 


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