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2022年1月7日金曜日

つれづれ雑草「寅年」

令和四年400字のリングが鳴った。年末年始はひたすら修行僧の如く映画を見た。私の心情は葉隠と同じで、一日一死朝起きたらそこに死有りの気持ちでやって来た。俺たちに明日はないという映画があったが、俺には明日はない。だから今日やることは今日やるのだ。明日という字は、明るい日と書くのね、なんてヒット曲があったが、世の中にすっかり明るい日はなくなってしまった。大晦日の楽しみであった、総合格闘技の試合も強い外国人がコロナ禍で来日できずマッチメイクがメタメタになった。現役の日本人vs引退していた日本人の試合などで、中継時間が一時間以上も残ってしまった。会場に行った人は、金返せであったろう。現在世界のプロスポーツのマネーランキングのトップは、総合格闘家UFCのチャンピオンだ。全盛期のタイガー・ウッズをも超える。年収約197億円。人間は残酷を好む動物で、人と人がボコボコ殴り合い、ビシバシ蹴り合い、ギューギュー首や関節を絞め合い、血みどろになるのを見て興奮する。いっそどちらかが死んでしまったら大拍手なのだ。一人のスターは、少年院を出て、喧嘩番長となり格闘家になった。そして人気ユーチューバーにもなり、登録者数は200万人以上となり、年収10億円を稼いでいると言う。会社も8社やっているとか。路上で殴り合い、蹴り合いをすれば、暴行傷害で少年院か刑務所送りだが、リングの上ではすべてが許され(ルールはある)勝ち続ければ大金が入るのだ。年末に行なわれた紅白歌合戦などという、時代外れのNHKの看板番組の視聴率が、34%位だったとか。かつては80%を超え、70%台を普通にとっていたが、この頃は40%台をウロウロ、結果、大惨敗といえる。おそらくNHKをはじめ外注先の何人かが、どこぞに飛ばされるか、閑職に追われ座敷牢生活となるだろう。私はいつ見たか思いだせないほど見ていないが、ある映画のシーンの中で見た。倉本聡脚本、故降旗康男監督、木村大作撮影という名コンビ、故高倉健主役である。何度も見たのだが、年をまたいで映画監督を志す18歳の若者に見せた。舞台は真冬の北海道だ。倉本聡は冬が得意だ。それと手紙だ。北海道警の刑事である高倉健が、増毛駅前にある桐子と書かれた赤提灯の店に入る。雪は深く静かだ。客はいない、カウンターだけの客。座ると左奥に小さなテレビがあり、そこに紅白歌合戦が流れている。桐子という和服の女が、お銚子の酒をつぎながら言う。私この歌大好きなの、 お酒はぬるめの 燗がいい 肴はあぶった イカでいい 女は無口な ひとがいい……。故阿久悠の作詞による、名曲「舟唄」と、倉本聡の言葉とがしみじみと行き交う。女はポツンと言う。年の瀬になると、札幌ススキノのホステスさんの自殺が増えるのを知っている(?) どんな男もこの頃になると、自分の家に帰ってしまうからね。と、まあこんなやりとりが交わされる。この映画「駅 STATION」が上映された頃の紅白歌合戦は視聴率は74.9%だった。645年は大化の改新と中学時代に教った。2022年は退化の怪新の年となるだろう。文明は進化し、人間は退化する。コミュ症人間が大繁殖し、人と人の間は、人______間位に広がる。あいさつもできない。ハガキ一枚が書けない関係となる。進化論のダーウィンもまったくついていけないほど人類が退化する。つまるところマスクをした類人猿に帰って行くのだ。北朝鮮が冬の花火のようにミサイルを発射した。でもって私は確信した。目の前に映る金正恩は影武者であると。よく見ると、ビミョーに違うところがある。激太りした糖尿病の人間が、顔色ツヤツヤに激ヤセしたという例は、皆無に等しい。おそらく妹とその一派が実権を持ったのだろう。人間のクローン化などは、カップラーメンをつくる位にカンタンらしい。2日と3日箱根駅伝のランナーに声援を送った。監督が乗っている大きなボックスカーから、いいぞ、いいぞ、ここでお前は男になるんだ、ここでお前は神になれるんだ。そんな大声が聞こえた。コロナ禍の第六波がやはり来た。経済団体の賀詞交歓のパーティのニュースを見た。企業名は知っていても、大将の名は知らぬ人ばかりだ。天下国家を語る人間は一人もいない。今年は寅年。フーテンの寅さんの年だ。寅さんは旅先から葉書を出す名人であった。昨年、私は身内、恩人、身内、師匠、友人、身内と、春先きから年末まで不幸の連続だった。そのため、喪中の葉書が間に合わなかった。年賀状をいただいた方々に、心よりお詫びを申し上げる。この場をかりて、皆々様にとって幸多き年でありますようにとお祈りする。体調専一に。労働者諸君、今日も元気に働いているかい。寅さんの声がする。あ~嫌だ嫌だ、初代おいちゃんの声もある。私は最終ラウンドまでファイティングポーズをとりつづける。場末の芸人としてもっと芸を磨いて行く。人生の勝負はマイッタといったらそれで敗けとなる。虎は死んで皮を残す。人は一代、名は末代という。一日一日この言葉を大切に生きる。時には鬼にもなり、時には仏になって行く。(文中敬称略)



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