ページ

2022年11月26日土曜日

つれづれ雑草「達人に感謝」

突然テレビの画面が黒一面となった。プチンという音と共に。16年前壁にへばりつけたナショナルのビエラが寿命を迎えたのだ。フランスvs日本のラグビーの試合を見ていた。いよいよあと2日後サッカーW杯が始まるというのに。深夜一時頃黒い画面を見ながら私は失意のどん底気分になりながら、手にしたリモコンの電源を押し続けた。ナショナルのテレビは生産していないことは知っていた。明るいナショナル、みんなのナショナルは、かつての家電メーカーではない。私からテレビを取るということは、キリスト教徒から聖書を取り上げるのに等しい。何故なら信仰する映画が見れなくなる。映画は私にとって不眠の友であり、夜と朝の間の愛人でもある。濃密な関係なのだ。近所の電気屋さんで買ったのだがご主人が亡くなり、息子さんが後を継いで修理専門になっている。店頭販売はしていない。映画のない長い長い時間、仕方なく本屋大賞受賞作の時代小説を読み始めたが、これが大外れ、書き出しの二行を読んでこりゃ外れだなと思った。友人に頼んでアマゾンで買って置いた一冊だった。案の定時代小説の定番物語である。藩内の権力闘争であった。やっと50ページ位読んでやめた。こういう時は「北原白秋」の詩集を読むと乱れた心は安定する。日本語の神様である。この神様は道を外した恋愛を行っているので人間的である。そうこうしている内に朝刊が来た。未だ暗い、かなり寒い。朝刊をインスタントコーヒーを飲みながら読む。嫌な見出しばかりだ。新聞といえば朝日新聞の部数が400万部を切ったとか。日本の政治家に人物がいなくなったように、アメリカもいなくなっている。防衛費を膨大にしてその財源を国民一人ひとりの税金にと企んでいる。まるで再軍備だ。いずれ戦争に参戦する日が来るだろう。歴史は繰り返すという。それにしてもテレビがついてないのは心細く時間が経つのが遅い。朝七時半頃愚妻が降りて来たのでテレビがブッ壊れたよと言った。あっそう長く使っていたもんねえ、テレビを一日中つけてるからよと言った。電気屋さんの電話番号を調べてくれよと言った。スマホが少し使える。朝九時半頃電話する。もしもし○╳の○╳だけど買ったテレビが壊れたんだと言ったら、わずか2分位で息子さんが、あ~ビエラですね、16年前に取りつけましたが、もう生産していない、部品がないのでスミマセンと言われた。ケイズ電気よ、ケイズ電気と愚妻は言う。なんだよそれはと聞けば、辻堂駅の北口にある大型の電気屋さんであった。私はそういう所は大嫌いなので行った事がない。私の体をメンテナンスしてくれる平塚の達人はメカに強いので電話するとダメだと思いますよと言った。ヤバイW杯が見れないではないか。息子に電話すると、よく持ったんじゃないとつれない返事。オ~イ、ケイズ電気に行くぞどこだそこは。先日使うだびむせび泣いていた洗濯機が壊れて、やたら小さい洗濯機を買って来ていた。どこの国の製品だか分かんないけど、もうこれでいいのよと言った。ケイズ電気に行けば安いのがたくさんあるわと言った。夫婦で買い物なんていうことは記憶にない。人の群れが苦手なのだ。ずっと昔中国の万里の長城に行った時、中国人の群れに吸収されて、圧迫死されそうになった経験がある。で、ケイズ電気は恐ろしく広いのだが、お客さんがいない、ガランガランである。聞けば出店は成功でないとか。ケイズ電気通が言った。持って帰れる小さいのにすると決めていたので、テレビを売っているコーナーで小さくて安いのに即決定。私の買い物は5分位で決める。どこの国のテレビだが分からない。平塚の達人はメーカーは別々でも、中は殆ど中国製ですよと言った。店員さんの若い男はとても親切、これにしたいけどと言ったら、在庫があるか調べて来ますと言った。15分ほどしたらありましたと言って四角い箱を持って来た。やったぁ~である。小さいから軽い、若い女性店員が親切に対応してくれた。ウェットティッシュのおみやげをもらった。さぁ~買って帰ったはいいが、どうやって配線をつなぐのか、大騒ぎの始まりであった。そしてやはりここで平塚の達人へお願いとなった。わざわざ来てくれた。鍼灸の達人はメカの達人でもある。悪いな、悪いね、悪いわね、と言いつつ達人を見つづける。所要時間約30分、オッ、オオオ、テレビがバッチリ映像を見せたのだ。スゴイね、スゴイヨ、スゴイワネと興奮した。それにしても私は使えない人間なのである。達人にたくさん御礼をしたかったのだが手持ちがなかった。いずれ盛大に御礼をする。「聖なる証」という宗教画のような映画を見た。十代の少女は九歳の時に処女を失った。その相手は少し年上の兄であった。そして二人は結婚した。そう告白する少女は、数ヶ月食物を口にしていないが生きている。一人の女性がこの不思議な少女に食事をさせて、すべてを記録して報告をするようにと仕事を与えられる。さて少女は……。ケイズ電気とは、K'sデンキであった。夫婦で電化製品を買うなどという、恥ずかしいことをした私は罪悪感を重く感じているのだ。




0 件のコメント: