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2023年7月29日土曜日

つれづれ雑草「一休さん」

人間はつくづく危険な動物である。そんなことは分かり切っているが、まい日起きている事件を知ると、改めてその危険度を知る。「異邦人」という小説の中の主人公は、ただ太陽が眩しかったからという動機で人を殺した。だとすると、この猛烈な狂暑の中にいたら、目に入る人間を皆殺しにするだろう。そう思わずにはいられない。今日土曜日の昼頃所用があって、東京駅八重洲中央口にいた。そこには人が群れをなしていた。何か大事件でも起きたのかと思った。一時までには帰宅しなければならなかったので私はイライラしていた。外国人も多い、オマエどうしたらそんなにデブになるんだよと声をかけたくなる男、どうしたらそんなでっかいオケツになるんだよと思わず見入ってしまう巨大尻の黒々としたご婦人。なんでか東京駅構内で浮き輪を腰につけている若い女の子、人混みが大の苦手の私には、どいつもこいつもイライラの対象となる。人一倍理性的でない私にとって、一歩間違うとワッパ(手錠)をかけられてしまいそうな人混みだ。理由が分かった4年振りで隅田川で花火大会があるからだ。そうか、そうだったのかとイライラをポケットに仕舞い込んだ。なんで浮き輪かは分からない。おへそを丸出しにしている若い娘の集団が改札口周辺に集まっている、きっと待合せをしているのだろう。おへそ丸出しを見ていると犯罪になるので、目をそらす。気がつくと目のやり場がないではないか。何がおかしいのか、すでに酔っている若者たちが奇声を発する。手には当然ビールとか、缶チューハイとかハイボールを持っている。改札口で体と体がぶつかった。バカヤロー気をつけろ、ブチ殺すぞ、なんてことは決していわない。私はずい分とやさしい年寄りとなっているのだ。打上げ花火は人間を解き放つ魔力がある。恋は遠い日の花火じゃないなんて書いた御仁は、すてきな感性の持ち主なのだ。私が少年の頃は、花火大会イコール喧嘩、イコール荻窪警察とか杉並警察であった。キツイ説教を受けてオシマイだが。長じて私は花火は遠くから見るようになった。少年じゃないから、キツイお説教では済まない。早くて二日、長いと十日間、留置所へとなる。十二時過ぎに辻堂駅に戻って来ると、ここがまた人、人、人、なんだかこりゃと思ったら、久々に海浜公園で、辻の盆なる祭りがあるからだとか。お祭りに行くというのは、私にとってタブーである。花火大会よりもお祭りの方が留置所に行く確率は高かった。何故だろうか、二十代になってからお祭りには行かなくなった。敵対するグループを見つけると、自分が自分でなくなることが分かっていた。(すっかり大人になったのだ)愚妻は私の性格がよく分かっているので、一緒に店に入って怪しい男たちがいると、私を引っ張って、他の店に行こうと言った。遠くからヤバイ男たちが歩いて来ると、私を引っ張って、他の道へと行った。そのおかげもあって現在がある。愚妻の目の前で、何回かボカスカやったことがあるからだ。君子は危うきに近づかずをずっと心がけている。腰が痛い、腰痛バンドをしている我が身が情けない。今、もし何かあったら守るべき人間が守れるだろうかと思い、毎夜一撃必殺の技を研いている。通用するか否かは試して見ないと分からない。男はどんな時でも、守るべき者のために訓練が必要だ。私が通っている床屋さんの二代目が、肩をモミモミしてくれる。その時、失礼ですがそのお歳ですごい筋肉ですねと言う。若い頃鍛えるだけ鍛えたからね、でも今はガッタガタなんだよと話す。人混みの話から、つまんない話となった。九州を回って、奥多摩の御岳山の中へ、坂道と階段がシンドイ、お医者さんから処方してもらっていた漢方薬を服用するのを忘れて明け方宿坊の部屋の中で、ギャー、イテェ~、イテェ~となった。こむら返りを起こして、右足のふくらはぎがカチン、カチンになっていた。部屋中をつま先を立てて歩き回った。水分の補給と芍薬甘草湯は決して忘れてはならない。御嶽神社の宮司の方々、観光協会の会長さん、青梅市のフィルムコミュションの方京王電鉄のケーブルの社長さんなどに撮影へのご協力をお願いした。入間の米軍基地の近くの駅前で、私の会社にいたかわいい後輩が、「食と酒 いち」という店を経営している。その店内でワンシーンを撮るので行った。CMプロデューサーから転じて25年、かわいい奥さんと経営している。フグの調理もできる。私が行くというので、休店にしてくれていた。ゴッツイカツオのタタキを出してくれた。そしておいしい特上寿司も、おマエはなんてかわいいんだ。コロナ禍の前は三つ店を出していた。入間から青梅駅まで私たちを運んでくれた。アリガトサンよと言って別れた。残念ながら四人の子どもたちとは会えなかった。いい奴はずっといい奴、いい嫁はずっといい嫁なのだ。入間の「食と酒 いち」をよろしく。魚が抜群においしいよ。で、七月も終る。近所の自衛隊基地内で、立食のパーティをする時、700人前をつくって運ぶと言っていた。一休さんみたいなツルツル坊主が目印。(文中敬称略)






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