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2025年2月14日金曜日

400字のリング 「老人と山/無言の山」

バンザイ、バンザイみんなバンザイ。旧日本陸軍が戦争でバンザイを叫びながら玉砕した話ではない。二月十三日の夜八時頃の東海道線内の話だ。この日、強風の影響でダイヤが乱れに乱れていた。朝、辻堂から東京へ向った時は、今日はやけに風が強いな位であった。鞄を持たずオーバーコートのポケットに入れられる物を入れていた。この日は手帳や資料が必要なかった。“世界は人間なしで始まった。世界は人間なしで終るだろう”ある学者がそう書いていた。が、俺が乗った列車内は、ギュー、ギュー詰めの、人、人、人。東京駅に行くとホームは会社帰りの人であふれんばかりであった。グリーン車もフツー車も人の列車詰めであった。さして急ぐこともないのだが、愚妻の好きな駅弁を買っていたので、それを持ってウロウロできない。仕方ネエな乗るかと人の列につながった。「全員死刑」という映画があったが、「全員無言」である。アウシュビッツの収容所みたいだ。列車が来た。ウォォォ~ン満員でないかい。ドアが開くと降りる者はいない。もう乗れないんじゃないと、心をざわめかせていると、人が入って行く、入って行く。後からズイズイ押されて俺も入って行く。駅弁を頭の上に上げながら。でもってギューギューの中へ。ふとある映画を思い出した。周防正行監督のヒット作「それでもボクはやってない」実話を基にした映画だ。一人の若者が列車の中で、この人痴漢ですと訴えられ、警察に連行された。若者は一貫して僕はやってませんと調書を取らせない。こうなると日本国の警察は意地でも外に出さない。結局、若者は拘置所に一年近く入れられた。裁判官は事件現場を映画のセットのように再現させることにした。勿論監視カメラも同じように取りつける。乗客も監視カメラに写っていたように、老若男女を配置した。結果、訴えた女性のようにはどうしてもならない。事件は女性の訴えた通りではなかった。そして無罪放免となった若者は怒ることすら忘れたようになっていた。(ずい分昔の映画なので正確ではない)確か“加瀬 亮”が演じていた。女性には男と違い、たわわな乳房があり、ハチ切れんばかりのヒップがある。超満員の列車内でこれらに触れないようにするには、バンザイ、バンザイしっかないすよ、と列車慣れした後輩に聞いたことがある。冗談じゃないっすよ、オバサンにチンポまさぐられたことがある。でも男は訴えることはできないっすからね。とにかくバンザイ、バンザイしかないっすよ満員電車の中では。俺は耐えに耐えたが、大船駅でなんとか降りた。パニック障害みたいになっていて、金魚みたいにパクパク息を吸った。みんなまい日こうして働いているんだ。それなのにこの国では大企業だけが儲って、物は値上げ値上げ。中小・零細はバンザイ、バンザイなのだ。今は亡き「人生幸朗師匠」じゃないが、「責任者出てこい!」だ。アメリカ通に聞いた話ではトランプは日本国の責任者“石破 茂”と記者会見が終った後、顔を見ずにプイッとすぐ去った。すでに石破 茂の名前を忘れていたとか。ちなみに東京周辺でいちばん痴漢が多い列車は、埼京線と武蔵野線らしい。諸兄気をつけるべし。
(文中敬称略) 


 
 
 





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