男が日傘をさすという話は聞いていたが、昨日銀座四丁目でそれを見た。
グレーのスラックスにストライプのYシャツ、左手に茶色のトートバッグ、靴は傘ばかり見ていたので足元は忘れた。
天才画家山下清を小林桂樹とか芦屋雁之助が演じたが、暑い日は確か傘をさしていた。
日傘は帽子の2〜3度減に比べて8〜10度も体感温度が下がるという。
35度の時日傘をさせば、頭の部分は25〜27度になるわけだ。
こりゃ涼しいではないかい。頭以外は熊谷とか館林で、頭の上は軽井沢高原なんだから。
頭のど真ん中を鍼灸のツボでは百会(ひゃくえ)という。
この百会を猛暑、灼熱から保護することはきっといいはずだ。
更に頭髪が薄くなっているのが気になる人には、その大敵である強い紫外線から守ることができるからベリーグッドだ。
遮光率が99%以上の生地を使用した商品を「遮光日傘」、99.99%以上は「遮光一級日傘」と呼ぶらしい。UVカットで皮膚ガン予防も期待できる。
さぁ〜どうだ、これでも日傘を買ってささねえかとテキ屋の啖呵売(たんかばい)みたいにすすめたくなるではないか。
銀座四丁目の日傘男を誰も注目することはなかった。
ジッと見ていたのは私だけだった。
ある会社に「村中(ムラジュウ)」という秀逸のアダ名を持つ背の高い男がいた。
一年中腕に傘を掛けている。そしてゆっくり胸をはって歩くその姿に榎本健一(エノケン)が唄った歌がピッタリだった。だれかがアダ名を付けたのだ。
♪〜オレは村中で一番 モボだと言われた男…曲の題名は確か「洒落男」だったと思うが定かではない。私が知る限りこのあだ名ほどピッタリ合う人はいない。
銀座、赤坂、六本木をユックリと胸をはって歩いていた。
もし、私が日傘をさして銀座四丁目辺りを歩いていたら、どんなアダ名を付けてくれるだろうか。一度やってみようかと思ってはいない。