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2015年9月17日木曜日

「モンゴルのことわざ」



私がこのブログを書き始めたのは、九月十七日(木)午前一時二十七分〇九秒である。NHKをつけっぱなしにしている。中米コスタリカ、世界一美しい森という映像に白いテロップがある。
「国会関連のニュースは動きがありしだいお伝えします」と。

国会周辺は“戦争法案”採決反対の人、人、人。
警官、警官、警官。
護送車のような警備の車、車、車、雨、雨、雨。
国会内は怒号、怒号、怒号。

自民党並びに政府はまさかこんなことにはと思っているはずである。
何しろ圧倒的な数を持ち、相手しているのがガッタガタの少数野党ばかり、だから全部合わせたってたかが知れてる、どうせ寄せ集めの民主党や維新なんか簡単に切り崩せる。

ここまではその通りだが、ネット社会を知らなすぎだ。
この社会の人たちの凄さと怖さを甘く見ていた。政党対政党ではないからあらゆる手練手管も通用しない。あっという間に繋がる威力に対抗できない。
政治家一人ひとりが何を語り、どう行動したかは永遠にファイルされる。
次の選挙のときにそのファイルが威力を発揮して攻め立てるだろう。

安保反対のデモとはそこが決定的にちがう。イデオロギーの問題でなく、生活者レベルの反対行動だから老若男女がネットで繋がる。数では安保デモだがその質では圧倒的に今回のデモの方が強力だ。

ある政治家はあんなデモはすぐに雲散霧消する、といったがネット社会で繋がった情報はどうやったって消すことはできない。
世界中ともオンタイムで繋がっている。
プラハの春望、エジプトもタイも、全ての打倒権力はネット社会の民衆によって成されている。永田町の政治はネット社会に対して遅れている。

現在午前二時〇一分四十八秒、NHKのテロップは変わらずだ。
映像はラグビー日本代表の五郎丸歩選手の成功率85%への驚異的プレースキックの目標を「アスリートの魂」という番組で追っている。
ラグビーは試合が終わればノーサイドだが、ネット社会を敵に回したらノーサイドはない。朝までには特別委員会の採決をするだろうが、実はここからが終わりの始まりであったことを永田町は知らされるだろう。
テレビの画面では五郎丸歩選手が45度の角度から見事にチョークキックでゴールに成功していた。

「歴史は夜動く」有名な言葉を思い出した。モンゴルのことわざにこんなのがあった。「逃げた馬はつかまえられるが、一度口から出た言葉はつかまえられない」政治家のはなった全ての言葉はネット社会がつかんで放さない。

外は雨、雨、雨である。

私も放った言葉で失敗ばかりしている。

2015年9月16日水曜日

「13発の銃弾」



「飼い犬に噛まれる」、信頼していた人間や、手塩にかけて育てた人間に裏切られたりした時に使われる言葉だ。


その紀州犬は余程凶暴だったのだろう。
身長120センチ、体重21キロであったという。犬は七歳。

千葉県松戸市の路上で飼い主など3人を噛んで警官3人に銃殺された。
首輪とリードで住宅の敷地に繋がれていたが逃げ出した。
警察官が制止を試みたが襲いかかった。飼い主の許可を得て発砲した。

警察官の拳銃の装弾数は5発のため標的に対し4発で決めるというのが暗黙のルールらしい。で、凶暴な紀州犬に対し3人の警官が発砲したのが13発、一人は全弾撃ったことになる。犬1匹に13発、何発かが命中し、何発かは外れ13発目で犬は倒れた。
この犬は前日にも人を襲っていたため発砲やむなしと判断されていた。

ある警察OBは相当警官は混乱して弾を外したといい、ある人は1匹の犬に13発なんて考えられない、実弾での訓練不足だという。何はともあれ外れ弾が人に命中しなくてよかったということであった。飼い主はどうやって繋いでいたのかは分からない。

土佐犬や紀州犬、秋田犬など日本犬は、いつでも闘う気満々である。
その気になるとリードなどブチ切る力を十分に持っている。
人間が支配できないプライドを持っている。

私が飼っていた犬にも8分の1ほど紀州犬の血が入っていたらしい。
私も愚妻も何度も噛まれた経験がある。白くて小さな犬であったが13才でこの世を去った時、大声を出して泣き続けた。銃殺された犬の飼い主はどうであっただろうか。
腹に何発も命中している姿を見て。14日住宅街でのバ、バ、バァーン!であった。

人間が飼い主を噛む場合はプライドを傷つけたか、分け前に不満の場合が多い。
何度か噛まれた傷口がまだ痛い。人の心は銃弾の如きである。
ちなみに犬は上から目線を嫌うらしい。語りかける時は同じ目線で話すといいらしい。

2015年9月15日火曜日

「シルバーの話」



あ〜夢も希望もねえ、世の中どうなっちまってるんだよマッタク。
も〜やってらんねえ、こんな気分が充満すると、流行るのは昔も今も川柳だ。
今それが静かな流行となっている。

昨日九時七分伊東行きに新橋から乗った。
キオスクで夕刊紙三紙と週刊誌一冊を買った。ヨイショと座り、まずは夕刊三紙を読む。今朝は朝刊が来ない日だった。
ここでは新聞の話ではなく、横浜を通過したあたりからパラパラと読み出した週刊誌の中で、思わず笑ってしまった川柳を紹介する。

「シルバー川柳傑作選」とタイトルにあるから私たちのことである。
「先ねるぞ 安らかにね と返す妻」なるほど、
「老いるとは ふえる薬と 減る記憶」そうなんだよな、
「マイナンバー ナンマイダーと 聴き違え」ウマイ!
「年賀状 出さずにいたら 死亡説」聞いたことあるある。
「耳遠く あの世のお呼びが 聴こえない」いいではないか、ずっと生きていれば、
「改札を 通れずよく見りゃ 診察券」これはけっこう切ない。
「シルバーだ 銅(どう)にも動かぬ 我が体」これもウマイ!
他にもいいのがたくさんあった。

48才から91才の人までが投稿していた。
まてよ、笑っている場合じゃないとページをめくった。
チクショー若い頃なら、チクショーあの頃なら、チクショーせめて10才若ければと一日中チクショーと思っている。

45才まで手帳も持たず、電話番号は殆ど覚えていたから電話帳も持たず、一日何本打合せやオリエンがあってもメモも取らず、どこへ行くも身一つだったのに、チクショー、チクショーなのだ。つまりはシルバー川柳の対象として生きている。
いいか、プロはな、あっ忘れましたは一つも許されないんだ、なんていっていたのが、いけねえまた忘れちまった。
なんだまた同じこと聞いてとなり、カバンはどんどん重くなる。
不眠症だから熟睡感は一年365日ない。
元旦から大晦日まで半熟卵みたいなのだ。

最後に「目覚ましの ベルはまだかと 起きて待つ」この経験かなりあるもんねえ、なのだ。朝早い打合せの時、目覚ましをかけてそれが気になり起きてしまうのだ。
チクショーといいながら時計の針を見るのだが針は一秒ずつしか動かない。
十秒は意外と長い。ウサイン・ボルトの100メートルのタイム9.79秒(この間の世界陸上)なんてそんなに速くねえかもなどと思うのだ。


シルバーを笑う若者よ、十秒は長いが歳を重ねるスピードは速いぞ、あっという間に三十代、ぞっと思うと四十代、ガチョーンとシルバーまで一気だから一日一日を大切にだ。
どんな大金持ちでもどんな貧乏人も時間は平等だ。

こんな言葉がある。
「酒もやらず、女もやらず、100まで生きたバカがいる」二十代ならまずは遊びたまえ、三十代ならいいものを食べたまえ。
大金持ちのソフトバンクの孫正義、ユニクロの柳井正、楽天の三木谷浩史たちに共通しているものがある。顔相が貧しい。金ばかり追っている人間共通の貧相だ。
彼等が何兆円持っていても命を手に入れることはできない、やがて死ぬ。
そしてあっという間に忘れられる。いい遊びをして来なかったからだ。
良い文化を作ることに貢献していないからだ。

「シンドラーのリスト」という映画の主人公がこんな言葉を遺している。
「金は汚く稼いでもいい、美しく使えば」シンドラーは稼いだ金で、アウシュビッツに収容されていた人間を何千人も救けた。
ユダヤ人の中でシンドラーの名を忘れる者はいない。
わずかな銀貨(シルバー)を手にするためにイエスを売った。
ユダの悪名も忘れることはない。(文中敬称略)

2015年9月14日月曜日

「面白さと後味」



野心と野望、名声、出世、そして肩書と金と金。
アメリカ人を主に形作っているのはほぼそれに尽きる。
“人類”を愛することはない。

殺人、強盗、強奪、大事故の惨劇と死体、銃撃、その決定的瞬間こそビジネスだ。それを生業とするパパラッチがいる。勿論アメリカにとって最大最高のビジネスは戦争だ。
全てはジョブ(仕事)なのだ。戦争はいちばんの公共事業なのだ。

面白くて観た後極上に後味の悪い映画は大好きの一つである。
「タクシードライバー」や「ディア・ハンター」「羊たちの沈黙」などだ。
そこまでは遠く及ばないが、今日的テーマとしてはそれを超えるほど後味が悪い。

先週の金曜日の夜、「ナイトクローラー」という映画を観た。
ニュースで大洪水の被害を見すぎてアタマの中が濁流化した。
一度リセッションするためだ。テレビ局は視聴率を上げるためならスクープ写真がほしい。動画なら高値がつく。

それが残忍で残酷で悲惨なほどその写真を撮った者はテレビ局に高く売れる。
買うか、買わないか、買うならいくら出す、出さなければ他局に売る。
10万ドル、5万ドル、いや15千ドル、これ以上は出せない。
売る者と欲しい者が露骨にやりとりする。

低視聴率のテレビ局の女性ディレクターは2年契約だが、今のままではそれが切られてしまう。なんとしてもスクープ写真がほしい。スタッフに次々と命令を下し、虚勢を張り、厚化粧で年齢を隠しているが、内心は焦りまくっている。
失業の身から一躍スクープ動画の持ち主となった男は、そんな女性ディレクターの心を見破り、揺さぶり、成り上がって行く。アメリカンドリームへの野心と野望に熱えて。

日本のテレビ局もほぼ同じで視聴率戦争のために各局日々消耗戦をしている。
低視聴率にあえぐフジテレビの厚化粧のMC安藤優子を思い出してしまった。
「グッディ」という番組が「バッディ」といわれ視聴率は1%台で、いつ打ち切られるかに追い込まれている。近々消えて行くのだろう。
ついでに大嫌いな木村太郎もテレビから消えてくれたら乾杯だ!
アメリカという国はマネーと祖国を愛すが、永遠に“人類”を愛さないだろう。


さてもしあなたの目の前に人に襲われて血まみれになり、息も絶え絶えとして死にそうになっている人がいる。あなたの手には動画写真を写せるメカがある。
あなたはどう行動するでしょう。
(一)大声で助けを呼ぶ、
(一)携帯で119番か110番にかける、
一)そのシーンを撮って保存する。
その写真に一秒につき100万円とかそれ以上の値がつくとしたら。