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2016年1月25日月曜日

「バサラ」



「八金(ハチキン)」高知県土佐では男勝りの逞しい女性をそう呼ぶと聞いた。
その意味はというと、男には金玉なるものが二つある、ハチキンとは2×4=8、つまり男四人分位逞しいということなのだ。
土佐の男は酒好きで働かない、女性たちがその分働くという。
坂本龍馬の姉、乙女(オトメ)さんもこの八金だったのだろう。

土曜日の夜、土佐四万十出身の映画大好き男二人と会い映画談義をした。
二人は第一回四万十映画祭を成功させた実績がある。
だが第二回となると相変わらずのパターンでお役所の役人たちが、あーだこーだと言っては非協力的となる。お役人は自らの手柄になると思えば加勢してくれる。
いつの世も変わらない習性なのだ。
ヨシ、そんならこうして、あーして、こうすればと話し合い、こうしよう、あーしようと盛り上がった。酒は土佐の名酒“酔鯨”だ。肴は当然カツオのタタキであった。

高知の明徳義塾出身の琴奨菊が見事141敗の好成績で優勝をした。
飛び切りの和服美人と場所後に結婚する、お目出度続きだ。
昔の仕事仲間、大相撲好きの土佐出身者、岩崎友太郎も狂喜しているだろう。
飲まなあいけんぜよぉ、飲まなあいかんぜよぉと、鯨の如く飲みまくったはずだ。
10年振りの日本人力士の優勝を全く予想してなかった。
解説の元横綱北の富士も声を失っていた。

着物といえば土曜日の午後五時〜六時半、両国にある国際ファッションセンターで、第七回温故知新、着物が世界と融合する日本発信のファッションショーを見た。
創作着物作家、矢作千鶴子さんが自在に反物を使ってユーラシア大陸の民族衣装にする。民謡、津軽三味線、サックス、そしてフラダンスなど音楽とも融合する。
矢作千鶴子さんはもう少しで六十歳、五人の母親とか。
長身で美人、マイクを手に自信満々に着物を通して世界平和を願うと語る姿は、新興宗教の教祖か着物を着たアウンサン・スーチーさんのようであった。
会場には若い男女もたくさん来ていて満員であった。

今、使わなくなった着物を使って、様々な服やシャツに生まれ変わらせることが静かなブームとなっている(外国人の間でも)。
近江の戦国大名に、佐々木道誉という風流な大名がいた。
常識破りの着物の組み合わせをして人を驚かせた。“婆沙羅大名”といわれた。
いわゆる傾き者(かぶきもの)である。
歌舞伎役者が戦国大名となったと思えばそれが“バサラ”なのだ。

私は佐々木道誉の影響を受けて、スーツにアロハを好んで着ていてヒンシュクを買っていた。サラバ、バサラ。この頃はあまりバサラファッションをしないが時々楽しんでいる。ヨォードスコイ、ドスコイ、週末から日曜日は土佐と着物でバサラった。
寒波大襲来、今週は真冬にアロハを着てみようと思う。

2016年1月22日金曜日

「あまりのこと」




目の前に二人の男、右に一人の男、その隣りに私、男たちとは何の関係もない。
東海道線の四人掛けに座った状態だ。
三人は同じ会社の人間であった。三十歳前後であった。
この三人はお上品なのか缶ビールも、缶チューハイも、サキイカも柿ピーも持っていない、持っていたのは会社の人事話だ。午後十一時過ぎなのに三人はシラフであった。
会社員なのに駄目じゃない一杯飲んで帰らなきゃと思ったが、三人の話を小さく畳んだ新聞を読みながら聞くとはなしに聞いた。

○△さんヤバイスヨネ、この間大阪から帰ったばかりなのに今度は金沢だって、いいじゃん金沢、新幹線が走ってるし料理うまいし、美人が多いし。
○△さんもう駄目かもね、10年間で三回転勤だもんね、やっぱあの副社長に嫌われたのがマズかったよね、だよね、あの人あの出版社の丸抱えだったもんね、そりゃーもうズブズブだったよな、○△さん正義感強いし、あの出版社嫌いだったし、でもあそこまでやっちゃなあ~、だよなあ。

とまあこんな会話があったが、すいませんと私の右にいた男が川崎で降りた、じゃなあと二人と別れて。
私はハイどうぞと立ってあげた。
そこいいですかと、立っていた若い男が座った。

オメエやけにでけえなと思うほど体がでかい。それ故キュークツである。
耳にイヤホンを入れていてキンキン音が聞こえる。
黒いジーンズにウエスタンブーツ、頭には細い毛糸の正ちゃん帽、太い毛糸のマフラー、ハーフコートのようなカーキ色の不思議なカットの服(ペンギンみたい)で、
やけに長くて太い、コッペパンの親方みたいなものにベーコンやら、トマトやらモッツァレラチーズやらを二分割の中にしこたま入れたものを、長方形の紙箱から取り出して食べ始めた。

目の前の二人の男は無言でスマホを見ていた。
右耳にキンキン音が入って来る。
ウエスタンブーツでリズムをとっている、太いパンにかじりついている。

あ~だめだ、何か言いそうな自分を制御する。
マズイ、ウルセ~なんて言いそうだ。
ガツガツすんじゃねえなんて言いそうだ。

列車は横浜に着いた。
どっと人が降りた、左側の席が空いたので移動しようと思って立ち上がろうとすると、アレッ、何だよと思った。
私のオーバーコートの隅っこに男のケツがあって引っ張られているのだ。

その後どうなったかは想像におまかせする。


昨日、琴奨菊と日馬富士は必ず琴奨菊が勝つと書いたがその通りとなった。
モンゴル出身の横綱が三人共同じように敗けた。おすもうさんはやさしいのだ。
場所後の結婚を祝ってあげた(?)。
春場所は又、9勝6敗以下だろう。

甘利明大臣があまりに露骨な賄賂を手にしていた、この首を取れなければ野党は無党を証明することになる。
サアー、ドスコイ、ドスコイ。


1月24日(日)午前10時〜TV朝日「極上!旅のススメ」に私の友人が経営する伊豆稲取の名旅館「石花海(せのうみ)」が紹介されます。是非見て下さい。

2016年1月21日木曜日

「汗水たらして」




ザマーミロ経済アナリストたち。
昨年の夏頃株がどーんと暴落すると私は予想した。
一部のプロフェッショナルは私の予想に、それ当たりと言ってくれたが、殆どはそんなこたあ〜ない。

日経平均株価は22,000円から25,000円位まで行くと経済アナリストたちは、ホラホラホラを吹きまくっていた。
名を挙げたらキリがない、テレビに出ているアホな経済アナリストたちは歴史とか、地政学を学んでいない。人間の心理学を学んでいない。学んでいるのは机上の学問だ。
テレビで顔を売って、セミナーや講演で多額のギャラ受け取るのだ。

上がる、上がる詐欺だ。
金持ちは何があってもアタフタせずにじーっと耐える。金持ち喧嘩せずという。
私は不労所得に興味がない。お金は汗水たらして稼ぐものと決めている。
昨日株価が大暴落した。年末からわずか三週間で3000円近く落下した。

マッタク頭来ちゃう、本当に口が上手くて、嘘つきで、いい加減で、ぶっ殺してやりたいわと株で大損をしたらしい6065歳位の女性。
だから言ったじゃねえか、あいつらは競馬や競輪の予想屋よりタチが悪いんだよ、アンタは欲が深すぎるからいけないと言っただろう。
そんなこと言ったって私の老後は私で守らないといけないんじゃないの、グギャー、アア―、もう最低“追証”なんて全然知らなかった、ねえお金貸してよ。
あるわけ無いだろう。
アア―もう終わり、明日一切合財持って大黒屋に行かなくちゃ、追証ってまるで借金取りと同じじゃない、ねえ幾ら損したか知ってんのぉ。
知らねえよ。
ここの勘定払ってよ、とまあ想像するにきっとこんな会話劇がアチコチであったはずだ。経済アナリストはこう言うだろう。
株が下がるなんて言ったら商売にならないと。


大関琴奨菊が横綱白鵬にがぶり寄りで勝って一気に株を上げた。
私から見ると注射一本(自発的負け、八百長ともいう)っていう相撲だった。
気が付くと土俵際だったと、白鵬とは思えない敗北の弁。
白鵬は日本人に優勝させて協会に恩を売り、一代年寄にしてもらう。
そう思って相撲を取っていた。余りにミエミエだった。
琴奨菊ファンのみなさんゴメンなさい。

今日はきっと日馬富士が負けるだろう。
外れたらゴメンです(予想ですから)。
相撲協会は親方株を持っている人の投票で来たる理事長選を戦う。
31回も優勝して前回の理事選に勝てなかった。
どこへ行っても大不人気の大横綱元千代の富士が、理事長を目指して親方票を集めているとか。人望は金では買えない。

私の知っている夜の店では、来てほしくないお客No.1だ。
株はとっくに暴落している。さぁ〜ドスコイ、ドスコイ。ガンバレ十両里山よ
勝ち越しまであと少しだ。
ガンバレ琴奨菊、優勝と結婚まであと少しだ。ドスコイ、ドスコイ。

2016年1月20日水曜日

「おしおき」



芸能ネタを書くのは芸がないのだが、人間社会の嫌な一面を新聞の一面で見たので書く。SMAPというグループがこれほど社会を動かす存在だとは思わなかった。
ボスが交代したかのように、いつもはリーダーとして真ん中にいた中居正広が左隅に行き、真ん中に木村拓哉がいた。SMAPのボスが変わったのだ。

このシーンをスポーツ新聞や夕刊紙は、中居正広の公開処刑とか、公開降格、見せしめとバカでかい文字で書いていた。一年で数百億の価値があるというSMAPには、四方八方、天地左右から様々な願いと圧力があったのだろう。
芸能界はオドロシイ、スサマジイ世界なのだ。

会社社会でも入社以来とことんお世話になった先輩をいとも簡単に裏切る。
あなたのためならこの命たとえ火の中水の中、どこまでもついて行きます、なんて誓った上司があえなく権力闘争に負けて左遷島送りとなると、あれもチクリ(密告)、これもチクリチクリまくって寝返ってしまう。
これが社会だ、これが会社だ、これが組だ一家だと、ゴマスリ、チクリ屋が出世をする。

中居正広、香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎の顔は見えない恐怖におののいているようであった。ジャニーズ王国は鉄の掟をもっているという。
これにて王国はその怖しさを世に知らしめた。後継者は決まった。
これから何十年も王国は繁栄するのだろう。

5人共に同じ背広であった。
その背広を着ている時、どんな気持ちだったのだろうか、オイ木村お前が真ん中に立てよ、何言ってんだよ、リーダーは中居お前じゃないか、オレは5人でずっと音楽してたいんだよ、真ん中には絶対立たないよ。そんな会話があったのだろうか。
オレたち5人絶対あの人(女性マネージャー)の恩を忘れずに前に向かって行こう。
いつかきっと恩返しをしよう。だってオレたちただのガキだったんだから。


才能ある5人の人生はずっと長い、育ての親の恩を忘れずにいてほしいと願う。
敏腕マネージャーがまた、スターを育てることを願う。
自分で王国をつくればいいのだ。世の中にはスターが必要なのだ。

タレントとは才能のこと、その昔気むずかしい大スターにCM出演を依頼した時、ドーンと机をたたき、オレはタレントじゃねぇ、CMなんかに出れるかと叫んだ。
私は言った、それじゃオレは才能がないと言ってるのと同じじゃないですか。
その大スターは今も大スターをやっている。マアマアと中に入って話をつけてくれたのはマネージャー。スターにはマネージャーが何より大切なのです。
裏切り者には痛い痛いおしおきが待っているのです。(文中敬称略)

「ゴールドラッシュ」




“ベルサイユの豚”何だこりゃと大きなネオン輝く看板を見た。
ベルサイユ宮殿で育てた豚かと思ったが、caféであった。その側に有名な牛たんの店“ねぎし”があった。先週木曜の夜、私は渋谷PARCO前を腹を減らして歩いていた。

創作料理“鍋の蔵”なんて店もあり、“薄利多賣屋半兵ヱ”などという気合の入った店もある。渋谷の夜は店の看板を見て回るだけでも楽しい。
一人で食事をする時はイロイロ迷ってしまう。
渋谷は若者の街、特にセンター街は無国籍状態だ。

インド人がカレーどうですとチラシを配っていた。
むむ、カレーかと思ったが一人で食べるカレーはどことなく華麗ではないと思った。
カレーは二人で差し向かい、辛い、辛いを言いながら汗をタラタラ流し合うのがいい。
カレーうどんは突発的事故が起きるので、どんなことが起きても大丈夫な服でいなければならない。

ウロウロと40分ほど歩いて、ハタとある看板が目に入った
そこには「バーグといえばゴールドラッシュ★一度食べたら止められない!!」
脳内にアツアツジュージューのハンバーグワールドが広がった。
入り口にケバブの屋台、エレベーターには西部劇風のポスターやチラシがベタベタ貼ってある。ドル紙幣のレプリカや、ライフルやグランドキャニオン、インディアンなどのイラストや写真、大・中・小・極小のビラがこれでもかと貼られている。
石塚英彦さんやパパイヤ鈴木さんが「まいうー、まいうー」と貼られていた。

小さなエレベーターから降りると、五、六人が木製の長椅子に座って待っている。
店内はかなり広く、とても暗い。若い男女やグループがワイワイやっている。
お一人ですかと言われたので、一人と応えた。
それじゃこちらへと中へ、中へと案内された。ジュージュー音がしていた。

私が案内された席は二人掛け、左右共に同じであった。
左には40歳位の会社員風の男、首から白いナプキンをたらしている。
メガネがハンバーグから発散される熱い飛沫で曇っている。
その前にでっかいチーズハンバーグが二つ、太いソーセージが二本、大盛りライスが一つ、何度も来ているのか堂々としている。
当然太っている。
右には大学生二人、会話の中で大学の学食の話をしていた。

こちらの前には、トロトロチーズハンバーグがズラリと横に3つ、じゃがいもとグリーンピースやコーン、大盛りライス。
メニューを見ると、150g、200g、300gなどのボリュームメニュー。
私は150g、グリーンサラダ、グラスビール、ライス無しをオーダーした。

テーブルの上に白い大きな四つ折りの紙ナプキンが2枚、何故2枚かはすぐに分かった。
左の男が教えてくれた。
一枚はこうして下さい、アツアツハンバーグが運ばれて来たらそれを半分のせて残りの半分を手前でこうしてハンバーグをかくして下さい、店員さんがソースをかけると、ジュバァーと飛び散り服に引っかかるから、ハンバーグがおとなしくなるまでかくすのです。
なるほどありがとうと言った。もう一枚はこうして服をガードして下さい。
あっ、それはいいんです、キライなんです赤ちゃんのヨダレ掛けみたいなので、あ、そうですか。

ゴールドラッシュか、シアトルの街はよかったなとずっとむかしを思い出した。
右の若者たちはスマホを見たりいじったりしながら、黙々と食べ進みペロッと食べた。
どんより暗い中でやっとこさ新聞の活字を追いながら、アツアツジュージューのハンバーグを食べ終えた。
しばし残りの記事を読み、で、立ち上がると左の男がワンドリンクサービスありますよと教えてくれた。とても人のことが気になる親切な人なのだ。
ビール飲んだからいいの、アリガトネと言ってレジに向かった。
男の口の中から太いソーセージが突き出ていた。腹も大きく突き出ていた。
合計1900円、所要時間約一時間であった。ゴールドラッシュには親切な味があった。