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2016年3月29日火曜日

「おお、神よ」

※ワタナベボクシングジムより 写真:倉持壮さん



King of sports. スポーツの中の聖なるスポーツといわれているのがボクシングだ。
昨日400字のリングではなく本物のリングの前にいた。ボクシングの聖地後楽園ホールだ。

私がお世話になっている広告代理店のオーナーが応援している選手に声援を送りに行った。実は私はこの試合のことを失念していた。つまり忘れていたのだ。
私をサポートしてくれているプロデューサーの女史に、今日は福原力也さんの試合ですよと言われてギョッとした。

ヤバイ、マズイ、シマッタ、夜は人と会う約束をしてしまっている。
仕事場からお世話になっているオーナーに電話すると、みんな後楽園ホール2Fの後楽園飯店に集まっているんだよと言った。
前売りチケットはないけど当日券は未だあるらしい。
負けたら引退だからの一言がグサッと刺さった。
急ぎ会う予定の人に電話をして時間をずらしてもらった。
これから行くとオーナーに電話を入れた。
人の面倒を見ることにかけてこのオーナーの右に出る人はいない。

たくさん人を呼んでいた。
ボクシングは合法的に人を殺せるスポーツだ。
リング上で相手が死んでも罪にはならない。殺るか殺られるかだ。
同じ階級のボクサーがグローブをつけて殴り合う。
命がけだからお互いに相手に敬意を持つ、礼儀正しいスポーツの見本だ。

福原力也さんは前の試合でKO勝ちしランキング一位になったので、チャンピオンの防衛戦の相手として指定された。相手は世界ランカー、強打者で若い。
福原力也さんは全盛期を過ぎている。この試合に負けたら引退かも(?)。
甘いマスク、しなやかな体、鍛えられた筋肉、場内は力也コールに沸いた。

5Rで途中の採点がアナウンスされた。
1ポイント福原力也リード、右アッパー、左フック、右フックが入っていた。
相手はじっくりと左ボディを打ち続けた。スタミナが切れるのを待っている。
右フック、左ボディが力也選手の腹にめり込んで来た。
8Rたまらずダウン、9Rもダウン、ガクッと膝をつきカウントを聞く力也選手。

アリスの唄う「チャンピオン」の歌の世界になった。♪〜立たないで もうそれで充分だ おお神よ…。
しかし力也選手は立上がった。
悲鳴が、声援が、力也ガンバレー!力也選手の母の叫びが場内に響いた。
相手の応援もまた大きい、倒せ、倒せと。

最終回10R両者ちゃんとグローブを合わす。
力也選手最後の力を振り絞って左、左、右を出す。
共に打ち合う中ゴングが鳴った、試合は終わった。

採点はジャッジ3者共4741でチャンピオンの勝ちであった。
挑戦者福原力也選手は、すぐにリングを降りず勝者のインタビューを聞きながらリングをゆっくり去って行った。
力也よくやったぞの大声援が上がった、きっとKOで敗けるそれほど相手は強かったのだ。福原力也選手は相手には負けたが、自分には勝ったのだ。

みなさん、あなたの仕事は痛いですか、顔面が腫れ上がり、鼻血がしたたり落ちますか。殺される程ボコボコに殴られますか。日々の仕事に泣きを入れてませんか。

2016年3月28日月曜日

「雨と肉マン」



私の家の近所にサークルKサンクスが二店ある。
一店は歩いて二分位、もう一店は松下政経塾正門斜め前なので歩いて十分程かかる。先日そのサークルKサンクスのスタッフが入れ替わってしまった。

why、何故(?)近い所に遠い所のオーナー(オジサン)が来た。
聞けば10年毎に契約が見直されるのだとか。
やる気あんのとか、成績ダメじゃんとかをチェックされるらしい(詳細に)。
で、近所の方はすっかり疲れ切って、もうヤーメタとなった。
遠い方が本部からの打診で移れやとなった。やる気を出せばその方がいいからよと。
そんじゃそうすっかとなった。

遠い方はどうする閉めるかとなったが、オイラがやるというオーナーが現れたらしい。
そこで近い所にいたオバサン、オジサン、バイトのお兄さん、お姉さんをソックリ移してもらって経営をスタートした。外は同じで中の人だけ総入れ替えをしたのだ。

私は実にやりにくいのだ。
以前であればツーカーの仲だったから、アレよろしくねといえばソレをとっておいてくれたし、アレとソレとコレとポーズをつけて言えば、葉書と切手と日刊ゲンダイと理解してくれたもんだ。

サークルKサンクスの調理された食べ物は全部ダメで買ったことはない、しかし肉マンだけは時々買った。横浜中華街の肉マンや、神楽坂五十番の肉マンや、神戸の豚マンと比べたら天と地だ。中に入っている具材がスッカスカなのだが、そのダメさ加減が妙に切なくていいのだ。運に見放された演歌に出てくる女性のように。


♪〜京都にいるときゃ 忍と呼ばれたの 神戸じゃ 渚と 名乗ったの 横浜の酒場に 戻ったその日から あなたがさがして くれるの待つわ 昔の名前 出ています…。
小林旭の大ヒット曲「昔の名前で出ています」だ。

昨日の夜近所のサークルKサンクスに白い肉マンが二個売れ残っていた。
まるで男に捨てられた白い乳房のようであった。京都に行って来たせいか、セロテープとウーロン茶を買って帰りながら、京都にいるときゃ〜と口ずさんでいた。

雨がザアザアと強くなった。
雨の中一人の男と一人の女、傘をさす男の左手に白い肉マン、冷えた両の手を温めるように白い肉マンを持つ女の十本の指、血のような色をした赤いマニキュア、そこに車が通り水しぶきをあげた。泥水がハネて二人の白い肉マンを黒くした。
こんな映像シーンを頭に浮かべながら、雨の中を歩いた。

2016年3月25日金曜日

「許せシマウマよ」



人間は無能で頼りなく、臆病で残酷だ。
水曜日ゴルフ場に一頭のシマウマが乗馬クラブから逃げ出して来た。
シマウマは、フェアウェイやバンカー、グリーン場やクラブハウス側の道やらを走り回った。あるいは逃げまわった。
それを追う人間は10人、20人、30人と増えていった。
ある者は投げ網を投げ、ある者はそっとなだめに近づいた。

シマウマはそんな者共を後足で蹴った、馬鹿野郎と。
知恵のない者たちはただオロオロしまくった。その姿は頼りなくて情けない。
そしてシマウマはゴルフ場内の池に入った。
人間は吹き矢に麻酔薬を忍ばせシマウマの体に刺した。
やがてシマウマは力なくとなり、かわいそうに溺れ死んだ。
ゆっくり時間をかければきっと疲れ切るのに、それを待たずにこれ以上ゴルフ場を荒らされてはヤバイと思って殺したのだ。

今日私は尊敬する大先輩、麻生哲郎さんの個展を見るために京都にいる。
最終日になんとか間に合った。
時間があれば東山動物園へ行って、シマウマを見ようかと思ったりしている。
シマウマよ許せ愚かな人間を。


2016年3月24日木曜日

「タスカルブレッドは、助かるぞ」




本日はご報告。防災×国際協力=「タスカルブレッド」がついにリリースされました(3/23)。
首都圏限定/災害から社員を守り、国際協力もできるタスカルブレッド推進プロジェクト!おいしい非常食でCSRをしませんか?

東京都では、平成二十五年四月に東京都帰宅困難者対象条例を施行し、以下の二つのことを企業に対して義務付けています。
・大規模災害発生時には、むやみに移動を開始せず職場や外出先等に待機すること。
・事業者は従業員向けの3日分の水と食料の備蓄をすること。

私は認定NPO法人ホープワールドワイド・ジャパンの代表理事、加藤敦さんから商品のネーミングとラベルデザインを頼まれた。
アートディレクターの三宅宇太郎君と共にさまざまな方向からデザインを検討した。
三宅君には、プロがデザインをしたがプロっぽくない、がよく見ているとプロの仕事、そんなデザインを頼んだ。ペヤングソース焼きそばのようなシンプルで飽きの来ないものをであった。
結果いいデザインを生んでくれた。

「タスカルブレッド」は缶詰パン、乾パンでなくウエットでとても美味しい。
味はプレーン、メイプル、チョコレートの三種。製造は(株)ボローニャ本社。
タスカルブレッドは、世界の飢餓救済活動にも活かされる。
また障がいのある方の就労の雇用にもつながっていく。
一缶498円(税抜き)“タスカルは助かる”から生んだ。
タスカル非常食は、この他にも順次生まれる。

人に迷惑ばかりかけている、私の罪滅ぼしのボランティア活動のひとつなのです。
詳しくは認定NPO法人ホープワールドワイド・ジャパンを。
または、タスカルブレッドで検索を。
ずい分と時間がかかったがとにかくカタチになって良かった。



2016年3月23日水曜日

「個室の思い出」



三十代の頃の事で年月日は正確に覚えていないがその時の切迫したやりとりは忘れられない。目白駅のトイレの中での事だ。

朝八時半頃私は小用をするためそこに行った。
トイレの中は混んでいて小用をするにかなり並んだ。
右に小用があり左に大用が四つ五つであったと記憶する。
ある高名な漫画家さんの仕事場が目白駅側にあり原稿を受け取りに行った。

で、トイレの大用には三人並んでいた。
その中に五十代中頃の紳士風然とした人がいた。
三番目に並んでいたその人は随分とアブナイ状態だったのだろう。
自分の前の二人がすんなり出て来た人と入れ替わった。
が、その後大用の扉はなかなか開かない。

こりゃ何やってんだ早くしろと大声で叫んで扉に思い切り蹴りを入れた。
ガーン、ガーン、人の事を考えろ、いつまで入ってんだ、バーン、バーンと空手チョップを入れた。着ていたスプリングコートの裾が大きく揺れた。
多くのギャラリーが用をしながら、あるいわ並びながらそれを見ていた。
紳士(?)の声が震えていた。

そしてまた、早くしろ!と怒鳴った時、中から若い男の声で、いま出ますからそこを離れてください、とやはり震える声で言った。
何言ってんだ、離れられるかと怒鳴った。

私たちギャラリーはもうこの人はアブナイ出てしまう、つまりもらしてしまうと覚悟した。と、その時前に入った人が気を利かせたのか、アッサリと出すものは出したのか扉を開けて出て来た。紳士(?)はおっ、天の味方とばかりに一気に大用の中に入った。
若い声の主がそっと扉を開けて出て来た。
トイレの中はホッとした空気が流れ固唾を呑んでたギャラリーはそれぞれ次の行動に移った。短い様であり、長い時間でもあった。


昨夜家に帰り東京新聞の夕刊を読んだ、そこに、トイレ習慣に変化/「座り男子」外でも急増/の大見出し、中日本高速道路、SAPAの個室増設と横見出しがあった。
半面近い大きな記事だった。座り派が多くなった。個室の中でスマホをいじるからだ。
勿論「尿が飛び散らない」というキレイを求める人が多い。

ある調査によると洋式に座って小用を済ますが33.4%とか。
年々トイレが近くなるのは私だけではあるまい。トイレに座り込んでiPadで本を読んだり、スマホでラブコールなどはやめていただきたい。

もし私が目白の紳士(?)のようなケースになったらそれは想像におまかせする。
記事を読んで思い出したトイレの落書がある。
ナンベンワナンベンモデル。