先夜昭和五十三年製作「黄金の犬」を借りて来て見た。
大映製作、総指揮徳間康快、監督山根成之である。
原作は当時流行作家だった「西村寿行」であった。
旧作のコーナーにあった。
何故借りて帰ったかというと、昭和五十三年に荻窪の”大映パルサス”という映画館で見た記憶があったからだ。
大映がニッチモサッチモ行かず、徳間書店のボス徳間康快が経営にタッチした。
当時映画界の鉄の掟だった”五社協定”がガタガタと崩れていた。
東宝、東映、大映、日活、松竹の五社に所属する俳優は他社の作品に出ることは許されなかった。
「黄金の犬」はその五社協定の終りを示すエポック的作品の一つであった。
何しろ主役が故鶴田造二だ。
故夏木勲(死去した時は夏八木勲)故地井武男、二人共東映、池玲子(巨乳で有名だった、生死不明)と三田佳子、やはり東映。
藤巻潤(大映)三上真一郎(松竹)故岡田英次(フリー)故平田昭彦(東宝)故小沢栄太郎(フリー)政治家の汚職事件の秘密データをマイクロフィルムにして犬の首輪につけた小さな物入れに隠す、それを追って北海道から青森、岩手とハチャメチャな展開が繰り広げられる。
後年国際派女優なんて言われた島田陽子(所属と近況不明)も登場する。
西村寿行の作品といえばありとあらゆる女性を必ず犬のように四つん這いにさせて犯しまくり、奴隷化する。これがベストセラーの要因でもあった。
三谷昇や森田健作(現千葉県知事)なんかも出ていた。
警察学校の警察犬も大動員というか、”大動犬”(一匹の日本犬に皆殺しにあう)刑事鶴田造二VSゾンビのような殺し屋地井武男。
ハチャメチャなストーリーもこれ位目茶苦茶になると二時間以上楽しめる。
特別出演で当時売り出し中だった故菅原文太(新東宝ー松竹ー東映)もダンプの運転手でチョイと出る。
徳間康快怖るべしの映画なのだ。
旧作の映画はそれを映画館で見た頃の自分を思い出す楽しみがある。
昭和五十三年ひたすら働いて、ひたすら映画を観て、そして飲んでを日々繰り返し、夢を追っていた。
床に敷いた寝袋に入ってちょい寝をしていた。
「睡眠負債」はその頃から貯まっていたのだ。