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2018年10月26日金曜日

「東京は遠かった」

♪〜ち、ち、ち、ち、ち、ち、ちち。僕の恋人 東京へ行っちち 僕の気持ち(心だったかな)を知りながら なんで なんで なんで どうして どうして どうして そんなに東京がいいんだろ 僕は泣いちっち 横向いて 泣いちっち 淋しい夜はいやだよ 僕も行こう あの娘の住んでる東京へ・・・。その昔三人ひろしという人気歌手がいた。「守屋浩」、「かまやつひろし」、「井上ひろし」だ。このやたらに、ち、ち、ち、が出てくるのは、守屋浩の大、大ヒット曲「僕は泣いちっち」だ。ホリプロダクションという、大手芸能プロダクションがあるが、その基礎は「守屋浩」が築いたと言っても過言ではないだろう。ホリプロ初代社長の堀威夫は、守屋浩の恩を忘ればずっと役員にしていたと聞いた。今、なぜこんなことを書くかと言うと、過日乗った列車の中で、70代中頃のオジサンが車窓を眺めながら、その歌を口ずさんでいたのだ。私の胸はトキメイた。話しかけるべきか否か悩んだ。おじさんはなかなかいいスーツを着ていて、靴がよく磨かれていた。持っている茶色の鞄もかなりの代物に見えた。列車が平塚橋を渡るころ、鞄の中から小田原名物鯛めし弁当を出した。その間もち、ち、ち、ちち、僕の恋人 東京へ行っちちを口ずさんでいる。小田原の鯛めしといえば、うす桃色の鯛おぼろが大半を占める。オジサンがゴフォンとせきをしたら、鯛おぼろが少々飛んだ。私は思い切って、スイマセンなんで守屋浩なのと聞いたら、詳しくは言えない。いろいろあったんだと言った。十代の時はじめて東京に来た時、本当に東京は遠かった、と言った。東京って何なんですかね、私は嫌いなんですと言って。鯛おぼろを口にした。口周りに鯛おぼろがついた。“井上ひろし”の「夜に咲く花」もよかった。♪〜及ばぬ恋とあきらめました。だけど恋しいあの女性よ ままになるなら もう一度 一夜だけでも・・・。こんな歌が生まれない時代になってしまった。“かまやつひろし”の歌は、♪〜下駄を鳴らして奴が来る 腰に手ぬぐいぶら下げて・・・。確かそんな歌がヒットした。昨日深夜一枚のFAXが届いた。高校一年の時の同級生からだった。なんでも野球部の同窓会があって、そこに一人の先輩が来た。その先輩と私が縁浅からぬ仲だったと知ってビックリした。で近々会おうぜと書いてあった。あの頃、「僕は泣いちっち」が流行っていた。(文中敬称略)


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